1台に2番号

携帯電話は、私たちの日常生活に溶け込んだ密接な存在になりつつあります。そして、これは仕事のための道具としても同じです。それどころか、今や携帯電話は仕事のツールとして欠かせない存在となっている方も多いのではないでしょうか。私の場合、ジャスト・イン・タイムで連絡を取ることが死活問題にまではなりませんが、それでも意外に外出することが多い仕事なので、携帯電話が使えると安心感がありますね。

職場で携帯電話が支給されているわけではないので、個人用の携帯電話を使うことになりますが、このときに気になるのが、携帯電話の番号を相手に伝えておかなくてはならないこと。電話番号は、扱いにどうしても気を遣ってしまう個人情報の一つですよね。

以前なら、こうした場合の対策は仕事用にもう1台携帯電話を持つ…という方法しかありませんでしたが、最近では1台の端末に複数の電話番号を割り当て、仕事用と個人用を使い分けるサービスが提供されるようになっています。私も、職場の緊急連絡網に「携帯電話の番号を登録するように」と言われ、個人用の番号をそのまま使うのはちょっと抵抗があったので、「1台で2番号」の環境にしています。


NTTドコモのFOMA端末で「1台2番号」を実現するための方法は、実は2種類あります。どちらも2つの番号への発信が同じ端末に着信する…ということでは同じなんですが、それを実現するときのアプローチ…というか、思想が全く異なるシステムです。

一つ目の、以前からあった方法が「マルチナンバー」。これは、1台の端末に最大2つまでの付加番号を設定して、どの番号でも発信や受信ができるサービスです。1台2番号どころか「1台3番号」が可能…ということになりますね。

ただ、気をつけなくてはならないのは、あくまでも電話番号が増えるだけで、どの番号への着信であっても着信する側にとっては同じ扱い(一応どの番号への着信かは画面に表示されますが)ということ。端末を2台持っている場合には、片方の電源を切ってしまえばそちらだけ着信拒否!なんてこともできてしまうわけですが、マルチナンバーではそうも行きません。仕事用と個人用を切り分ける使い方をしたい場合には、グループに分けて着信音を個別に設定するなど、さらに一工夫が必要になります。

もう一つのポイントは、発信するときにどの番号を使うのかを常に意識していなくてはならないこと。標準でどの番号を発信に使うかは設定できるのですが、それ以外の番号を使うときにはその都度指定しなくてはなりません。普通は、電話する相手によって個人用の番号で発信したいか、仕事用の番号で発信したいかは決まっているわけで、電話帳とのひも付けができれば便利なんですが、これが可能な端末はないようです。


そして、もう一つの方法が「2in1(つーいんわん)」。こちらは、1台の端末に2回線の契約を載せてしまう…という形のサービスです。AナンバーとBナンバーの2つの契約で、端末側ではAモード、Bモードとデュアルモードの3つのモードを切り替えて使うことになります。電話番号だけでなく、メールアドレスも2つ使えるようになります。

2in1対応端末では、電話帳もAモード用、Bモード用に分かれていて(以下「A電話帳」「B電話帳」)、Aモード時はA電話帳を参照してAモードで発信します。このとき、B電話帳に登録された番号から着信があっても、登録されている名前は表示されません。徹底的な切り分けぶりです。Aモード時にはBナンバーへの着信には反応せず、留守番電話で受ける…というような設定も可能になっています。メールの方も、Aモード時にBアドレスに届いたメールは、Bモードに切り替えるまで表示されません。

デュアルモードの時は、A電話帳からの発信はAナンバーで、B電話帳からの発信はBナンバーで発信します。2つの番号とメールアドレスを、2台の電話を持っている以上の利便性で使い分けられる仕組み…と言って良いでしょう。


2in1は、より多くの機能を提供しているだけに、料金もマルチナンバーの525円/1番号よりも高い840円からとなっています。現在、携帯電話の料金には地上回線の基盤整備・維持を負担する「ユニバーサルサービス料」が課せられていますが、これはどちらの場合でも番号数分必要になります(現在は8.4円/1番号)。

そして、結構くせ者なのが、2in1は「2回線の契約」になること。主回線であるAナンバーを解約しても、Bナンバーの契約は自動解約にはなりません。Bナンバーは、解約する他にもFOMAカードを発行したり、他のAナンバーと2in1契約をしたり…という選択肢があります。

2台の携帯電話を持っていた人が、片方の番号をBナンバーにして2in1契約をすることもできるんですが、これが2年縛りの契約だったりすると話が少々ややこしくなります。「縛られている途中」に2in1をやめようとすると、サービスの解除ではなく契約の終了になるので、9,975円の解約金が発生する…という場合も出てきます。

最初にも触れたとおり、一見同じサービスのようで、実はかなり異なるマルチナンバーと2in1。「契約」の煩わしさを嫌ったのと、番号単価の安さが決め手で、現在はマルチナンバーを契約しています。ただ、先に触れたような不便さもあるので、実は今でもまだ2in1に切り替えようかどうかちょっと迷っています。


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