中止、延期、それとも強行?(1)からの続きになりますが、11日の地震の影響で、実に多くのものが中止や延期を発表しています。
私の地元・浜松市でも、今後行われる様々なイベント等について案内されています。直近の3月から4月に予定されていたものが中止になるのは仕方ないのかも知れませんが、一番びっくりしたのは、5月に開催される浜松では最大規模の祭り・浜松まつりが中止されること。被災者の皆さんの心情を考慮して…ということだそうです。
ゴールデンウィークに全国から100万人以上の観光客を集め、昼間の凧揚げ合戦、夜の御殿屋台引き回しに町内の練り歩き…と盛大に行われる浜松まつりは、浜松にとって観光の最大の目玉となっています。地元の産業に与える影響も大きいと思いますが、特に夜のまつりは華やかに明かりをともして行われるものですし、市内の至る所で飲めや歌えやの大騒ぎにはなりますから、「こんな状況なのに」と批判の声が上がるのも理解はできます。
しかし、もともと浜松まつりは男の子が生まれたのを祝って端午の節句に凧を揚げる「初凧」をルーツに持つお祭りです。今では観客もずいぶん増えましたが、本来は地域の住民が中心になって、自ら参加する色彩の強いものです。今回の事態は、安易に自粛ムードに流されるのではなく、本来まつりが持っていた意味を見つめ直すチャンスにもなり得たと思うのですが、残念ながらそうはならなかったようです。
浜松まつりで凧を揚げるために、子どもが生まれた家の家族や親戚一同、さらには地元の自治会は、何ヶ月も掛けて準備を進め、この時期になるともうほとんど仕上がっている段階です。既に相当な資金もつぎ込まれたはずです。本番まであと1ヶ月少々という「直前」まで来て、市の側の事情で中止させられる訳ですから、市を相手に損害賠償が多発することも考えられます。来月の市長選で再選が確実視されている鈴木康友市長は、そこまで考えて中止にゴーサインを出したのでしょうか。是非とも伺ってみたいところです。
市からは、各町の自治会に対して「町単位での実施も遠慮して欲しい」と自粛を要請しているようです。これに対して各自治会がどう対応するかも気になるところです。統一の凧揚げ会場での凧揚げが禁止されたとしても、他にもできることはいろいろあります。安易な乱痴気騒ぎにはしない!という意気込みがあれば、意外に面白い方向に事態が進む可能性もあると思うんですが…期待しすぎでしょうか。
大規模なイベントばかりでなく、日常生活に近い様々なサービスも、中止や一時中断といった対応の対象になっています。楽天がメールマガジンの配送を全面的に停止したことは、先にも話題にしたところです。他のネット店舗も、同様にメールマガジンの配信は止めています。最近になって、「地震直後にメールを送ってしまいすみません」とお詫びのメールを送ってきたところもあります。システム管理との兼ね合いで、仕方がなかった面もあるでしょう。大事なのは、「すみません」をどう伝えていくかの対応です。
メール関連でいえば、携帯電話などに送られてくるファーストフードなどの商品割引クーポンの送信も中断されています。これは、主にネットワークへの負荷を軽減することを狙っているようですが、結果的にこれまでよりも高く買い物をしなくてはならないことになり、これがひいては消費意欲の減退、景気のさらなる冷え込みにつながらないか心配しています。…要するに、私自身が経済的に厳しい中で泣きたい思いをしているだけなんですが(苦笑)。
工場や物流が被害を受けたことで、これまで当たり前だと思っていたことも上手く行かなくなります。コンビニや書店に行くと、書籍・雑誌類の入荷が隔日になっている旨の張り紙が出ています。週刊誌は、毎週決まった曜日の発売日には届かない…という事態が起こることになります。無理に毎日運ぼうとすると、今度は燃料不足でまともに荷物を運べなくなる危険性があるのだとか。知恵を絞りながら、今できる範囲のところで頑張っていくしかありません。
ちょっとびっくりしたのが、Microsoft社がInternet Explorer 9正式版のダウンロード公開を日本語版のみ延期したこと。同じく日本市場への投入が延期されたApple社のiPad 2などとは違い、モノを用意しなくても良いソフトウェア製品なのに何故?と思ったわけですが、ダウンロードに対応するためのサーバーが、やはり大量の電力を必要とするため、節電への取り組みの一環として延期されているのだそうです。
iPad 2にしても、IE9にしても、日本だけが進歩の流れから取り残されていくことになっているわけで、不安な思いがあります。一方で、まだまだ世界のトップクラスの技術力を持つ日本で生産されている、様々なデバイスの生産や出荷が滞れば、世界全体の進歩を止めてしまうことにもなります。止まってしまうのは単に国内の経済活動だけではありません。これからじわじわとその影響は見えてくるはずです。
いろいろと中止や延期の話をしてきたところですが、私が見た全ての中止決定の中で一番の衝撃だったのは、うちの職場の退職者や異動者を送る送別会が中止になったこと。出張している間に、トップのツルの一声で決まってしまいました。幹事として前日まで準備に走っていた私の身からすると、中止はまさに青天の霹靂でした。
確かに、うちの職場の送別会は例年通り結構盛大に行われる予定だったんですが、何もそこまでしなくても…という気はします。特に、長年勤め上げた定年退職の皆さんを送る場であると思うと、果たして中止する必要はあったのでしょうか?…寂しさが残る年度末になりそうです。
コメントを残す