7月になりました。7月1日は、私が住んでいる浜松市の市制記念日です。1911年7月1日に町から市に昇格した浜松市は、今の浜松駅周辺だけを市域とする小さな市で、人口も約3万6千人だったのだとか。それから今年でちょうど100年。今や人口は当時の20倍以上の政令指定都市に、面積に至っては200倍近くになりました。
100周年の今年に限った話ではないんですが、市制記念日には市営の美術館や博物館などの施設が無料で開放されます。平日であることが多いため、なかなか積極的に利用するわけにも行かないんですが、なかなかありがたいサービスではあります。
「100周年だしね」と適当に理由を付けて、今年は無料開放されている施設に足を運んでみることにしました。平日の金曜日ですが、たまには仕事も休ませてもらって、のんびり楽しみましょう。
私が選んだ行き先は、浜松市楽器博物館。公立の施設としては全国でここだけという、楽器をテーマにした博物館です。1995年に、200m超の超高層ビルや2つの音楽ホールなどが複合された施設・アクトシティ浜松の一部として開館しました。
ここを訪れるのは、開館直後の頃以来16年ぶりになります。もともと、音楽は趣味のひとつですから、音楽を奏でる道具である楽器を、改めてじっくり見てみたい気分になったんです。娘は平日で幼稚園がありますから、彼女は通園バスに送った後で、妻とふたりで出かけることになりました。
浜松市楽器博物館には、世界各地から集められた数多くの楽器が展示されています。楽器は見るだけではちょっと物足りなくて、実際に鳴っているところが見てみたい!と思うわけですが、これについては録音や動画で多くを聴いたり、観たりすることができます。音楽を聴くことで、一気にその場の雰囲気がその地域の色に染まるのが面白いところです。楽器という「モノ」だけでなく、これを使って演奏される世界各地の音楽という文化も展示されているわけですね。
楽器はアジア、アフリカ、ヨーロッパなど地域別に分類されているほか、ピアノ製造が盛んな浜松だけに、鍵盤楽器には特別に多くのスペースが割かれています。私自身も鍵盤楽器には思い入れが強いですから、このコーナーの展示は見ていて楽しいですね。実際に演奏できる状態で保存されているものも多く、この日も展示品のピアノのデモ演奏が行われていました。
以前訪れたときにはなかった新しい展示が、電子楽器のコーナー。電子楽器との付き合いもかなり長いですから、これまた楽しめる展示です。電子楽器と言えばテルミンなどの独特な構造や奏法を持つものもありますが、ここの展示は鍵盤付きのシンセサイザーや電子オルガンなどに力が入っています。この展示が増やされたのは、日本の電子楽器の雄・ローランドが、2005年に本社を浜松に移転させたことも大きく影響しているんでしょうね。今や、ヤマハや河合楽器などと並ぶ「楽器の町・浜松」の顔のひとつになっています。
もう一つ楽しいのが、いろいろな楽器の演奏が体験できる体験ルームです。楽器というのは、弦を擦ったり、本体を叩いたり、あるいは管に息を吹き込んだり…といった何らかの方法で空気を振動させ、音が出てくる構造になっているわけですが、この振動を直に身体で感じることができます。ついつい長居をしてしまうコーナーです。
気がつけば2時間以上、じっくりと展示に見入ってしまいました。これを無料で見せていただくのでは申し訳なく思ってしまいます。普段でも入場料は400円と、展示の濃さと比べればずいぶんリーズナブルな気がします。楽器を演奏する方でなくても、きっと楽しめますよ。是非行ってみてください。
隣接するミュージアムショップでは、音楽をモチーフにしたいろいろなグッズが販売されていて、これまた結構楽しめます。カジュアルなものから高級なものまでいろいろとありますが、総じて安っぽさはなく品を感じるのが印象的ですね。地元の博物館からお土産を買ってくるのもなんか変な感覚なんですが、ちょっと買い物をしてきました。
結構気に入ったのが、グランドピアノをかたどったマウスパッド。新調したばかりのパソコンの脇に早速出して使っています。
もう一つ、小さな手帳が目に留まり、買って帰ってきました。これのポイントは、中の罫線が五線であること。出先で思いついたメロディーなどを、その場で書き留めることが出来るんです。まず5本の線を書いてからメモを始める…というこれまでのパターンと比べると、ずいぶん直感的にできるので、より新鮮に記録できそうです。
もっとも、最近は日々の暮らしに忙しくなってしまったのか、メロディーが思い浮かぶこと自体ずいぶん減ってしまった気がします。それでも、こうした道具がきっかけになって何かが動くこともあるはずです。最近休眠状態のMusic Worldですが、また何かアクションが起こせるといいな…とは思っています。
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