東日本大震災の影響で日程進行が遅くなった日本プロ野球よりも一足早く、アメリカ・メジャーリーグではレギュラーシーズンが終わりを告げています。メジャーリーグを目指して海を渡る日本人選手もずいぶん増えて、もはや何人行っているのかよくわからない状態。テレビニュースでも全員を並べるのはさすがに疲れ気味です。
Wikipediaによると、現在マイナーリーグでプレイ中の選手なども含めて、アメリカに行っているのは投手12人、野手4人の合計16人のようですね。日本で一流と呼ばれる成果を上げた後に、FAやポスティングなどの自らの意思を通す手段で渡米した人がほとんどですが、メジャーリーグでもトップで活躍できる人はほんの一握りです。
そんな中で、メジャーリーグでも最高レベルの評価を受け続けてきた日本人選手と言えば、その筆頭はやはりイチロー選手ということになるでしょう。1994年に日本球界では史上初の200本安打超えを達成して以来、日本を代表する走攻守揃ったトッププレイヤーとして活躍してきた彼は、2000年にポスティングシステムでシアトルマリナーズに移籍。その後は、昨シーズンまで10年連続シーズン200本以上の安打を打ち続け、2004年にはシーズン262本のメジャー史上最多安打を記録するなど、記録にも記憶にも残る数多くの実績を積み重ねてきました。ただひとつ残念なのは、チームとしてはなかなか勝てていないことではあるわけですが。
そのイチロー選手が、今季はあの1994年以来最低と言えそうな成績でシーズンを終えました。シーズン打率が3割を切ったのもあの年以来なのだとか。今年の安打数は184。メジャー入り以来続けてきた200本安打以上が、11シーズン目にして途切れたことになります。
イチロー選手は現在37歳(今月22日には38歳になります)。今シーズンの成績の悪化を「年齢による力の衰え」と見る人たちもいます。また、「衰えを見越して打撃改造をしたら失敗した」なんて見方もあるようです。とっくに引退している人も多い世代です。年齢の影響が取りざたされるのは当然の流れかも知れません。
今シーズンの成績だって、私たちが期待するイチローとしては不満たっぷりではありますが、並の選手よりは十分働いているレベルで、彼でなければ1番打者として合格点が付けられる(フォアボールが少ないことは何か言われるかも、ですが)のではないかと思います。もちろんそれで収まってしまっては寂しい…というのが私たちの彼に対する見方ですし、彼自身もそれを良しとはしないはずです。
私の勝手な思い込みかも知れませんが、彼はボロボロになるまで現役にこだわり続けるタイプには見えません。彼自身の中で納得できるレベルのプレーが出来なくなったところで、あっさりとユニフォームを脱ぐのかも知れない、と思っています。ただ、それは今季や来季といったごく近い将来ではないような気はしています。
本当のところがどうなのかは、本人にしかわからないところです。しかし、長年の間自らの肉体を極限まで追い込み、極限まで使いこなして過ごしてきた人でしょうから、衰えてきたのかどうかは自分でわかることでしょうし、それをどうカバーしていくのかも常に考えて実践してきたはずです。ただひとつ言えるのは、「今年はウマく行かなかった」ということであり、それが来年も続くのかどうかはまだわかりません。
彼に対しては、どうしても「年間200安打が10シーズンで途切れた」ことへの質問が集中します。これに対する彼の答えには、いかにも彼らしい独特の言葉が選ばれました。「なぜか晴れやかですね」。200本狙いという周囲からのプレッシャーに一区切りが付いて、ほっとしている…というのが正直な心境のようです。
もっとも、それは来年以降は200本以上を狙わない…という意味ではなく、「その可能性を生み出せる状態でありたい」という言葉も残しています。この言葉が聞ければ大丈夫です。今年はそこにたどり着くまでに16本足りませんでしたが、それは絶望的な差ではないような気がします。また来年には、彼はあっさりと200本以上のヒットを放って私たちの期待に応えてくれそうです。
それにしても、彼自身も触れたようですが、これが11シーズン目で本当に良かったと思います。既に10シーズン連続200安打以上はメジャーリーグでも史上最高ですからね。これが中途半端にタイ記録では、私たちも収まりません。
私には、同年代から生まれた伝説の打者のキャリアに、リアルタイムで立ち会っている喜びを感じていたい…という思いがあります。その夢をあと何年見せてもらえるのか。これからは、私自身の身体の衰えを比べながら(比べること自体彼に失礼だ!というツッコミは却下)、ちょっとドキドキすることも増えそうですが、それがどう続き、どう終わるのかまで含めて、楽しみであることには変わりありません。
今回の話題からするとちょっと余談ではありますが、日本の中日ドラゴンズで46歳にして現役続行中の山本昌投手が、右足首の手術を受けて来季の復帰を目指していることが明らかになりました。今さら言い直すまでもなく、来季の現役続行が前提というわけです。
目の上のたんこぶ(?)だった工藤公康氏が今季は浪人状態ということで、暫定的にではあるものの現役最年長投手になったわけですが、今季は2軍戦での登板すらない状況で、どうなっているのか、このまま引退なのか…と心配していました。
彼も、私がそのキャリアにリアルタイムで立ち会っていることに喜びを感じる伝説の投手のひとりです。ここまで来たら、どこまでも追いかけさせてもらいます。いつになるのかはわかりませんが、きっとドラゴンズで迎えることになる彼の引退試合には足を運びたいものです。
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