「俺の話を聞け!5分だけでもいい~」と来れば、クレイジーケンバンドの「タイガー&ドラゴン」ですよね。リリースは2002年という、もうひと昔前の曲なんですが、私にとっては、NTTドコモのCMでスマートフォンに扮する渡辺謙が着うたとして「俺の、俺の、俺の話を聞けぇ~っ♪」と歌っていたのが印象に強く残っています。オリジナルも相当に濃い曲ではあるんですけどね。
そんなフレーズをタイトルに持ってきた今回のテーマは、音声認識について。スマートフォンに話を聞かせて操作する…という技術が、ずいぶん身近になっています。
スマートフォンが登場する前からあった、音声認識を活用する機能が、メールなどの文字入力。ケータイに話しかければ、それが文字になって画面に入力されます。
以前から、音声入力に対応した機種は持っていましたが、全然使ったことはありませんでした。そんなことをしなくても、キーから文字を入力した方がずっと正確で、操作していればそのうち慣れるものだと思っていましたからね。音声入力は、キーからの入力に強烈なアレルギーがある人か、あるいは障害などがあってキーの利用が困難な人が使うもの…という認識でした。
しかし、スマートフォンのARROWS X LTE F-05Dを使い始めてからは、ちょっと事情が変わりました。というのも、スマートフォンのタッチパネルをベースにしたユーザーインターフェースでは、どんな入力方法を選択したとしても、画面を見ずに文字を入力するのはほぼ不可能。「目が離せない」状況での入力インターフェースとして、音声入力も無視できない存在になってきました。
音声入力なら、ややこしい文字入力の操作は不要で、ただ認識開始のボタンを押すだけ。しかも、ちゃんとかな漢字交じりで変換し、複数の候補を挙げてくれて、その中にはたいていちゃんと正解がありますから、短い返信文程度なら全く文字は打つ必要がありません。声を出すことが許される環境なら、十分実用的です。
もう一歩進めて、音声での指示に対して返答をしてくるシステムも登場しています。これについては、iPhone 4SでSiriというのが登場して話題になりました。端末の様々な機能を、カーナビの音声認識操作のように特定の決められたコマンドワード(例えば「自宅に帰る」とか)を入力するのではなく、自然な会話文から意図をくみ取って実行するシステムです。10月の登場当初には日本語には非対応で、慣れない英語で四苦八苦しながら遊んだ方もかなり多かったようです。
Siriは3月のiOSのアップデートで日本語に対応し、auのCMでもなかなか流暢にコミュケーションが取れているように見えるデモンストレーションを見せていますが、これに先立ってNTTドコモも同様のサービスである「しゃべってコンシェル」の提供を始めました。Androidアプリをインストールすれば、無料で利用できるサービスです。早速私もダウンロードして試してみることにしました。
Siriと同様に、しゃべってコンシェルも音声認識エンジンはクラウド側で動作しているようで、端末に向かって話しかけると少々待たされ、この間に通信が発生します。確かに、小さなスマートフォンの体力的には余裕のないプロセッサ、そして限られたメモリ空間だけで処理させるには、あまりに高度すぎる処理のような気がします。
肝心の動作の方なんですが、これは正直なところまだまだ発展途上という印象を受けます。自然文解析ということにはなっていますが、実際には認識してもらえるのは端末の機能で対応できるようなキーワードに限定されてしまいます。Siriでは、直接機能とは関係ない問いかけにも、お茶目な回答がいくつか用意されていると聞いていますが、しゃべってコンシェルの場合は一応そんな回答も用意されているものの、遊び心には欠ける印象を受けます。
また、ちゃんと文章は読み取ってもらえているようなのに、回答がどうもとんちんかんな場合も結構見受けられます。もっとも、これは端末の機能の方がある程度限られている以上仕方のないところもあります。あまりにも「ごめんなさい」「わかりません」といった類いの回答が多すぎると、それはそれでストレスになりますし、バランスが難しいところです。
音声認識というインターフェース自体は、人間の自然な感覚に近いもので、大きな可能性を持っていると思います。映画やTVドラマでも、多くの未来的世界で採用されています。今はまだ体験版のお遊び程度で提供されていますが、きっとまだまだ進化していく技術です。
そのためには、コンピューターの処理能力もまだまだ伸びていく必要があるのでしょうね。パソコンでネットサーフィンやメールの読み書きをしている程度だと、「もう処理能力なんてこれ以上要らないよ」と感じている方も多いのではないかと思いますが、そんなことはありません。まだまだコンピューターにやってもらえることはたくさん残っています。
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