以前にもちょっと触れたことがありますが、私たちが建てようとしているログハウスは、経年変化が結構大きな建物です。そして、その中で最も独特かつ顕著なものと言えそうなのが、セトリング(Settling)と呼ばれる変化です。これは、積み上げられたログ材の壁が、乾燥による収縮やログ材自身の重量による圧縮で「沈んで」いくこと。これが理由で、ログハウスの天井は数cmから、ものによっては10cm以上下がることもあるのだそうです。
ログ壁が沈んでいっても、扉や窓はこれに合わせて縮んでいってはくれません。また、部屋の中などのログではない壁もやっぱり沈みません。普通に建ててしまうと、互いに干渉して歪んでしまいます。そうならないために、ログハウスには特有の仕掛けがいろいろ埋め込まれています。窓の上には、最初からログ壁が沈み込む分の隙間が空けてあります。ログ以外の壁は最初から少し低く作られていて、天井との間にはネジで調整できるつっかえ棒が入れてあります。階段は、1階と2階の間にかけるハシゴのような構造になっていて、こちらもボルトで取り合いが調整できるようになっています。
セトリングのために、内外装の設備も設置方法に大きな影響を受けます。基本的に、ログ壁にはログとログをまたぐ形でものを設置できないんです。そもそも、そんなに大きなものは壁に取り付けないんですが、一つ例外になりそうなのがキッチンの吊り戸棚。セトリングに合わせてスライドしていく土台を壁に取り付けて、その上に吊り戸棚を取り付ける…という形で、影響を回避することになります。吊り戸棚をやめて、単独のログに留められるオープンな棚にする方法もあるんですけどね。
新築からの数年間は、セトリングに対応するためのメンテナンスが必要です。しかし、これは木の家であるログハウスが「生きて」いることの表れでもあります。当然のこととして受け入れて、成長を見守るつもりで楽しみたいと思っています。
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