金曜日・21日から、巷ではiPhone 5の販売が始まったのだそうです。去年の今頃にも、「5」が出るぞ、出るぞ…と噂に上り続けていましたが、結局登場したのはよく見ないと違いがわからないようなiPhone 4Sでした。もっとも、内部的にはその前のiPhone 4からかなりの性能向上があったと聞いてはいますけどね。
今月12日に発表されたiPhone 5は、4や4Sと比べるとちょっとだけ縦に画面が長くなり、筐体はこれに合わせてちょっと長くなったものの幅は全く変わらず、その上でより薄く、軽くなりました。しかも、内部処理の速度は4Sから倍増しているのだとか。デザインのテイストはどちらかと言えばキープ・コンセプトといった趣ですが、順当に進化はしているのかな?という印象です。
iPhone 5に使われている新OS・iOS 6は、これに先立って従来のiPhoneやiPad、iPod touchなどでも導入できるようになりました。数多くの改善点があるのでしょうけど、巷での最大の話題になっているのは、刷新されたマップ(地図)アプリの、劇的なまでの地図としての品質の低さのようです。ソフトバンクから発売されている端末なのに、福岡のヤフードームがまともに表示されないのはさすがにいただけません。ライバル社の技術基盤であるGoogle Mapと決別しようとしたのでしょうけど、まだ中身が全然整っていない…というところにアップル社の苦悩を感じます。
巷では大フィーバーとなっているらしいiPhone 5の発売なんですが、私にとってはそのこと自体よりももっと気になる話題があります。iPhone 5を販売するソフトバンクモバイル・auの両者が、発売日に合わせてLTEのサービスを開始することを発表していたんです。
LTEについては、以前にも話題にしたことがありますが、現在各社の携帯電話で採用されている第3世代(3G)の次の世代に当たる通信規格です。LTEは、厳密に言うと3Gの延長線上に「真の次世代」となる4Gの技術を投入したもので、「Super 3G」「3.9G」などと呼ばれてきましたが、現在ではLTEそのものを「4G」と呼ぶ流れになっていて、auもソフトバンクも「4G LTE」と名乗ってサービスを始めます。
既にサービスを始めているNTTドコモのXi(くろっしぃ)、イー・モバイルのEMOBILE LTEと合わせて、自前の基地局で一般向けに携帯電話サービスを提供する4社が全て、LTE世代への移行を始めたことになります。auもソフトバンクも、現時点でLTE対応端末はiPhone 5だけ…という状況ですが、この冬の新製品では、Androidスマートフォンやデータ通信端末などLTE対応端末のラインナップを拡充していくはずです。
LTEは、3G通信とのハンドオーバー(基地局の乗り換え)を考慮して作られている規格ということもあり、現在巷に出ているLTE対応端末は全て3Gとのデュアルモード端末として設計されていて、LTEサービスエリア外では3G通信が行えます。このため、FOMAがデビューした頃のような「全然電波がつながらない」ということはなく、実用上は大丈夫そうです。それでも、サービスエリアがどう展開されていくかは気になるところです。
現在サービスを提供中のXiやEMOBILE LTEでは、LTEのサービスエリアは主要都市の市街地をカバーした程度の段階で、現在積極的にエリアを拡大中です。これと比べても、auやソフトバンクのエリア展開はさらに攻撃的で、プレスリリースによると、今年度末には先行する2社を逆転するかも知れないほどの勢いです。
auはまだLTEのサービスエリアについて具体的に公開していませんが、ソフトバンクは既に地図でエリア展開計画を公表しています。これによると、10月末にはXiのサービスエリアを軽々と凌駕する予定になっていますが、さすがにこれはハッタリとしか思えません。少なくとも、これが実効性のあるエリア表示だと考えると痛い目に遭うことでしょう。
ソフトバンクの場合、既にAXGP方式のSoftbank 4Gもサービスインしていて、こちらのエリアも徐々に広がってきています。2種類のLTE(AXGPもTD-LTEというLTEの一種と互換性があります)をどう共存させていくつもりなのか、ソフトバンクの手綱さばきにはちょっと注目したいところです。あっさりAXGPが斬られてしまったら(その可能性は多分にあると思っていますが)寂しいですね。
現在使っているXi対応スマートフォン・F-05Dの2年縛りがまだ3分の2ほど残っている私は、まだ次の機種のことなど考える段階にはありませんが、次回の2年縛り明けとなる2013年末頃には、各社のLTEサービスエリアが3Gの助けを借りなくても十分実用レベルになっている可能性があります。
XiでLTEのポテンシャル自体は体験済み。来年末のことなんてどうなるかわかりませんが、あとはサービス品質、料金システムなど様々な条件を考慮して、どのLTEを選ぶのか…という選択があるかも知れません。
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