スマートフォンをAQUOS PHONE ZETA SH-02Eに機種変更してから、1ヶ月少々になります。新しいデジタル・ガジェットを手に入れると、とにかく何でも試してみたくなる質なんですが、近年はいろいろと忙しくなってしまい、じっくりレビューできる余裕もなかなかありません。
特に、購入直後の昨年12月は、マイホームの完成・引っ越しというタイミングに重なったこともあり、様々な用件に忙殺されて走り回りました。ただ、そのための道具としてのスマートフォンの活躍の場は多く、結果的には現実的な利用環境の中でのロードテストになっていたかも知れません。
実に多様な機能を持つようになったスマートフォンではありますが、それでも一番基本的な通信手段は音声通話。その場で相手と強制的に双方向通信を確立してしまう即時性の高さは、ここぞという場面ではやっぱり必要です。先代のF-05Dには、富士通がらくらくホンで培った技術をフィードバックして、通話音声の信号を電算処理することでより聞きやすく、伝わりやすくしよう…という機能が搭載されていました。
SH-02Eの場合、そこまでややこしい技術は搭載されていないようです(もしかするとわざわざアピールしていないだけかも知れません)が、これとは別のアプローチで通話の快適性を補助する機能が装備されています。実は、SH-02Eには音声通話で相手の声を聞くためのスピーカーの穴がありません。液晶ディスプレイ面全体が振動することで音声を伝える「ダイレクトウェーブレシーバー」が採用されています。
スピーカー穴が空いている従来の機種の場合、耳の穴を正確にスピーカー穴に合わせないと全然声が聞こえない…ということになりますが、ダイレクトウェーブレシーバーならディスプレイ面にアバウトに耳を当てれば声がしっかり聞こえます。しかも、騒々しい場所にも結構強いんですよね。どうやら、声はディスプレイ面が空気を震わせて音になっているだけではなく、直接皮膚から骨格に伝わっているようです。いわゆる骨伝導スピーカーと同様の仕組みですね。
なかなかよく出来た「スピーカー」だと思うんですが、ちょっと気を付けなくてはならないのが、耳以外の部分がディスプレイ面に触れないようにすること。ディスプレイ面はタッチパネルでもあるわけで、不用意に触れると予期せぬ動作をすることがあります。別のアプリが起動して電話アプリがバックグラウンドとなり、音声通話が中断されて慌てる…ということが何度かありました。どうも、耳が触れているときにタッチパネルの操作を受け付けなくする仕様にはなっていないようです。
スマートフォンの持っている情報の中で、私が最も重要だと考えているのが位置情報。地図アプリ上に現在位置を表示してルート案内などをさせるほか、iコンシェルが提供している現在地の天気情報や現在地からの終電情報なども、現在位置が正確に把握されていてこそのサービスです。
位置情報を把握するために重要な働きをしているのがGPSですね。人工衛星からの電波を使って、三角測量の原理で位置を特定します。実は、F-05DのGPSの性能は実にお粗末で、常時GPSを有効にしてあっても、地図アプリを起動したときに現在地を捕捉するのにかなり苦労していました。最近は、携帯電話のGPS機能を使って、実際にその場所に行ったことを確認するスタンプラリーのようなキャンペーン企画が結構見られますが、正確な位置を表示してくれないので、なかなかスタンプが押せません。
これと比べると、SH-02EのGPSはずいぶん正確に現在位置を返してきます。地図アプリを起動してから10秒以内には、ほぼピンポイントで現在地周辺の地図を表示できます。どうしてF-05Dとこんなに違うのかはよくわかりませんが、これなら活用しよう!という気になれますね。
GPSといえば、もうひとつ気になるのが、スマートフォンを利用するカーナビのサービス。Androidでは標準でGoogleマップが利用できますし、NTTドコモではケータイ時代から「地図アプリ」が提供されていて、これらでも行き先を指定して現在地からのルート検索はできるんですが、私が考えているのは、車載の純正カーナビに代わる、もっと本格的なものです。
純正品はデザインやインターフェースが車と統合されていて、盗難にも遭いにくいのがよいところなんですが、最近気になっているのは地図データが古いこと。車を購入した4年半前のままですから、新東名が載っていないどころの話ではありません。地図を更新しようとすると、相当な費用もかかります。
NTTドコモは、carrozzeria(かろっつぇりあ)ブランドでお馴染みのパイオニアとの協業で、ドコモドライブネットというサービスを提供しています。音声コマンドや交差点・分岐点での拡大表示、渋滞を考慮したルート再検索などの、カーナビとしての基本的な機能はもちろん、通信回線を使って常に最新の地図データを取得できます。スマートフォンとBluetoothで接続してジャイロセンサーなどを活用できる専用のクレイドルも用意されていて、これを使えば車載カーナビ専用機と遜色ない精度も得られるようです。
SH-02Eの4.9型の画面サイズなら、カーナビとしての使用も十分実用的なレベルと言えそうです。月額315円の利用料+実売1万円弱のクレイドルという費用負担(通信料はおそらく定額の範囲内でまかなえます)も、新しいカーナビの機器を買いそろえるよりはずいぶんお手軽に感じます。導入をちょっと検討してみましょう。
そんな諸々の機能はともかく、モバイル機器にとって一番大事なのがバッテリーでの動作時間です。2,320mAhの大容量バッテリーを内蔵し、省電力性能に優れたIGZO(いぐぞー)ディスプレイを装備したSH-02E。シャープでは、「2日間使える」と謳っています。容量はF-05D(1,400mAh)の1.6倍以上とはいえ、何しろアレは満充電から半日持たなかったわけですし、2日間動くというのはにわかには信じがたい話でした。
実際に使ってみるとびっくり。確かにバッテリー残量の減り方はかなりゆっくりです。普段からメール送受信、Webサイト閲覧やSNSへのアクセス、さらにはそこそこの量の音声通話…と、かなりヘビーに使い倒していた私の12月の使い方だと、さすがに2日間まるまるはちょっとつらいところですが、それでも朝に満充電にして仕事に出かければ、外で充電しなくても、余裕で家に帰ってこられます。
遠慮なしの使い方で丸1日を乗り切れる…というのが、モバイル機器のスタミナの必要ラインだと思っていますが、この定義で行くならば、SH-02Eには、私が巡り合ったすべてのデバイスの中で初めて、単体で合格点を付けられます。本体重量はF-05Dよりも30g近く重いんですが、バッテリーを別に持ち歩かなくてよいのですから、総合してみれば圧倒的な軽量化です。モバイルバッテリーには防災面での価値があると思っているので、相変わらず持ち歩いてはいるんですが、出先でつないで使うことは全くなくなりました。
大容量化したバッテリーの効果はもちろんですが、スマートフォンで最大の電力を消費する部品といわれるディスプレイで、大幅な省電力化を果たしたことが効いているはずです。シャープが社運を賭ける新デバイス・IGZO、確かにすごいです。ただ、グローバルなサプライチェーンが浸透した世界で、オンリーワンであることは必ずしもメリットではありません。IGZOをライセンス供与するという展開も考えられますが、シャープは技術流出を嫌がっている節もありますし…どんな展開になるのやら、不安ですね。
今回のテーマからすると余談なんですが、この1か月間で結構重宝したのがSMS(Short Message Service)。70文字以内の非常に少ない文字数ですが、電話番号さえわかればNTTドコモ、au、ソフトバンク…と、どの会社の端末にも送ることができます。
SMSそのものは、ずいぶん昔からあるサービスなんですが、海外では普及していたものの、日本で他社製端末にSMSが送れるようになったのは、ようやく2011年になってからでした。その代わりに、日本ではeメールを携帯電話で扱う形で進化したわけですが、おかげでメールアドレスはドメインを抱え込んでしまい、電話会社の移動が少々面倒になっています。だいたい、未だにvodafone.ne.jpなんてドメインでメールをやりとりする友人もいますしね。…懐かしいなぁ、ボーダフォン。
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