妻の雑貨屋のために、Webサイトの構築を手伝っているところです。妻は、すでに1年以上前から「開店準備ブログ」という形でWeb上での宣伝活動はスタートさせていました。地域密着型の口コミ情報戦略としては非常に強力で、ここまで傍から見ているだけでも相当の成果があったと思うんですが、一方でどうしてもブログだけではカバーしきれない限界もあります。
ブログという媒体は、基本的には投稿された記事を時間軸上で整理するシステムです。常に最新の情報を提供するためには非常によくできたスタイルなんですが、恒常的に案内したい情報を整理しておく仕組みは、基本的に持ち合わせていません。また、高度にカスタマイズされた表示形態を用意したい場合にも、基本的にテキストデータを投稿して決まったひな形に収める…というブログでは、融通の利かない場面があります。
店舗が正式にオープンして、日常的なリズムが出来てくると、店舗のコンセプト紹介や営業時間、店舗へのアクセス方法など、常に入手しやすい位置に置いておきたい情報が増えてきます。妻の雑貨屋の場合は、ほかの作家さんに販売の場を提供するレンタルボックスという形態を採っているので、レンタル条件の案内や作家さんの紹介などもこの手の情報に区分されると思います。
そこで、店主ブログを公開したのと同じ頃に、私が提案して店名を冠した独自ドメインを取得しておきました。どこかのレンタルサーバーにこれを割り当てて、常時案内する情報を掲載した店舗のWebサイトを立ち上げよう!という目論見でした。Webサイトへのアクセスだけでなくメールアドレスなどにも独自ドメインを使えるのは、ブランド戦略としての強みになります。ドメイン取得は、基本的に早い者勝ちですからね。思い立ったが吉日です。
そして、独自ドメインの意外な強みがもう一つありました。妻が、とあるフリーペーパーに店の広告を掲載してもらおうと相談したんですが、ブログのアドレスを載せようとしたところ、「はまぞうはウチの競合サービスだから、hamazo.tvの入ったアドレスは載せられない」と言われたのだとか。こんな場合にも、特定サービスとの紐付けが表に出てこない独自ドメインは強みになります。
店のWebサイトを構築する上で、私はかなり思い切った方針を決めました。それは、まずスマートフォン用のWebサイトを準備する…ということ。従来なら、Webサイトはまずパソコン向けのものを用意して、次に携帯電話用、さらに余裕が出てきたらスマホ用という順番で展開されるのがよくあるパターンで、実際に、商用サイトではありませんがSSK Worldも同じような手順で整備を進めてきました。
もっとも、私の場合は15年以上も続けてきたWebサイトですから、新しく登場したものに対応していったら必然的にこの順番になっただけの話で、これから新規にWebサイトを立ち上げようとするのなら、この手順にこだわる必要は全くありません。必要なものを用意できさえすればよいのです。
今回、店のWebサイトの主なターゲットになるのは、妻と同じように手芸を趣味にする主婦の皆さんや、その前後の年齢層の女性たち。自宅のパソコンにかじりついてWebサイトをチェックするイメージはあまり浮かばない人たちです。むしろ、いつでも、どこでも携帯端末で情報にアクセスするのが彼女たちのスタイルだと思います。そして、そのための端末として、スマートフォンが使われる比率が急速に高まっているようです。
機能面で非常に制約が多い携帯電話(フィーチャーフォン)向けWebサイトと比べると、スマホ用Webサイトはパソコン用Webサイトにできることがほぼすべて実現可能で、Twitterや各種SNSとの連携も容易です。jQuery Mobileというよくできたフレームワークがあるので、シンプルな記述で素早くサイトが構築できますし、多様なプラットフォームの仕様差も吸収してもらえます。
つまり、最少の労力で極力大きな宣伝効果を得ようとしたら、スマホ用Webサイトから整備していくのがよいだろう…と思ったわけです。おそらく次に必要なものがあるとすれば携帯電話用。パソコン用は、極論すればわざわざ用意するまでもないと思っています。今どきのパソコン用Webブラウザーなら、スマホ用デザインでもちゃんと見られますしね。
スマートフォン用のサービスを優先していく考え方は「スマホファースト」と呼ばれ、IT業界でも今話題になっているようです。私は、情報を伝えたいターゲットを考慮した上でこう判断したわけですが、彼らの考え方はさらに一歩先を行っていて、近いうちにスマートフォンがパソコンに代わってWeb閲覧手段の主流となっていく…と踏んでのシフトチェンジです。
Web閲覧だけでなく、企業での社員たちの仕事のやり方も、机の前でパソコンに向かっていたのが、タブレット片手にどこに出かけても情報にアクセスする形に変わっていく…と思っている方々もいるようです。もっとも、私はこれには懐疑的です。情報を閲覧するだけならタブレットやスマホで十分役に立つと思いますが、仕事で使う場合にはどうしても情報の入力をする必要があり、そのためには現在の技術ではまだキーボードが必要な気がします。
同じ理由で、私はまだまだパソコンはスマホやタブレットに駆逐されるところまではいかないのだと思っています…というよりも、生き残ってくれないと、私のやりたいいろいろな作業が出来なくなってしまいます。もっとも、私が念頭に置いているのは楽曲制作や3次元CG作成で、これらは膨大なCPUパワーを必要とするのが「パソコンでなくちゃ」と思う理由なんですが、これらでもタブレット等での対応が可能になってきているのも確かです。近年、モバイルデバイスでも演算能力は大幅に向上していますし、いよいよ足りなければクラウドの支援を受けるという手もあります。あっさり現実はひっくり返るのかもしれません。
現在設計から制作に移っている店舗のWebサイトでは、先にも触れたとおり、店舗の紹介、営業時間、アクセス方法、レンタルボックスの利用規約、参加している作家さんの紹介といったコンテンツを用意する予定です。もちろん、すでに展開しているブログへのリンクも設置します。また、これも先に取得しておいた店舗用のTwitterアカウントのタイムラインも、サイト内に表示する予定です。
コンテンツ管理には、SSK Worldと同様にMovable Typeを使おうかと思っています。すでに4.xの頃から単なるブログにとどまらないCMS(Contents Management System;コンテンツ管理システム)としての機能を持っていたMovable Typeですから、対応は十分可能なはずです。総ページ数はそれほど多くないので、SSK Worldのようなトリッキーな高速化対策は不要でしょう。
一つ迷っているのが、SSK Worldとの間でリンクを張るかどうか。そこそこのアクセス数があるSSK Worldとの連携は、みなさんに見ていただく上では役に立つと思うんですが、私の勝手気ままなコンテンツ展開が、店に迷惑をかけてしまわないかどうか心配しています。自宅の所在も世界中にバレてしまいますし…って、あんな派手な建物の写真を公開しておいて、今更何を気にしているんだ?という話もありますけどね。
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