パナソニックから、レッツノートの最新モデル・CF-AX3が発表されました。型番を見ればわかるとおり、既に登場しているレッツノート唯一のUltrabookであり、液晶画面が360度開いてタブレット形態に変形してしまうノートパソコン・CF-AX2と外形は全く一緒。しかし、内部のコンポーネントは一新されています。
CPUには、コードネーム「Haswell(はずうぇる)」で呼ばれてきた、第4世代のIntel Core i7が採用されました。主に待機時の消費電力を大幅に削減し、パフォーマンスを向上させつつ省電力性能が向上しているのだとか。
実際に、CF-AX2で9~9.5時間(カタログ値;JEITAバッテリー動作時間測定法(Ver.1.0))と書かれていたバッテリーでの動作時間は、CF-AX3では13時間と大幅に伸びています。ほとんど重量は増えていない(つまりバッテリー容量は大幅に増えたわけではない)中でこれだけ動作時間を延ばせるのが、Haswellの実力と言うことなのでしょう。
もう一つ大きく変わったのが液晶ディスプレイ。これまで、ディスプレイの表示品質面ではあまり評価が高くなかったレッツノートでしたが、今回は11.6型のサイズはそのままに、フルHD解像度(1920×1080ドット)のIPS液晶を採用しています。このデバイスが普通に使われていれば、画面表示は大幅に見やすく、綺麗になっているはずです。
「普通に」という表現に引っかかるものを感じた方もあるかと思います。これまでのレッツノートでは、ストイックに低消費電力に注力するあまり、カラーバランスが悪いなど、チューニング次第でどうにかなりそうな要素まで優先度が低くなっているように見受けられました。さすがに、今回は自ら広告で大きく取り上げて宣伝していますから、そんなにヒドいことにはなっていないと思うんですが、こればかりは現物を見てみなくてはわかりません。
駆動回路が画素数に比例して増えていくTFT液晶の場合、高解像度になるほど消費電力面では不利になります。繰り返しになりますが、ストイックにバッテリーライフにこだわってきたレッツノートが、今回こんなに豪華なディスプレイを奢ってきたのは、CPU周りでの大幅な省電力化が実現したからこそかも知れません。これもHaswell効果と言うことになるのでしょうか。
CF-AX2は、Windows 8に対応するために相当に気合いを入れて開発した新製品だったと思います。これをそのまま生かした上で、内部コンポーネントの入れ替えによりさらにレベルの高い性能を手に入れたCF-AX3は、確かに魅力的な製品ではあります。
しかし、せっかく別次元の省電力性能を持つHaswellが採用されたのですから、もう少し別方向の進化もできるはずです。CPUの消費電力が少なければ、その分だけよりコンパクトな製品を作ることも可能になっているはずですし、CF-AX3もそうしたように、他のデバイスに電力を振り分ける選択肢も出てきます。
ソニーは、超軽量・超薄型で長時間のバッテリーライフを実現する、VAIO Proシリーズを発表しています。富士通は、3200×1800ドットという超高解像度のIGZOディスプレイをUltrabookに載せています。これらのインパクトの強さと比べると、CF-AX3はどうしても地味と言わざるを得ません。レッツノートに関しては頑固一徹が持ち味のパナソニックなんですが、ここはもうひと声、ぶっ飛んだ提案を聞いてみたい気がします。
余談ですが、デスクトップPC向けの第4世代Core iシリーズCPUを採用した製品は、演算性能が高すぎて、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」、いわゆる省エネ法の適用対象から外れてしまうのだとか。法律の定義に照らし合わせると、パソコンの範疇を超えて、スーパーコンピューターなどと同じ扱いになるのだそうです。
個人で買う分には大した問題にはならないのですが、企業で導入する場合は、方針として省エネ法への対応を謳っていたりすると、最新機種が採用できない…という問題になってきます。省電力性能がより高いことは間違いないのですから、政府には何とか法整備を進めてほしいものですね。PCのパフォーマンスはほぼ一定の法則で向上してきているのですから、先を読んで法律を改正することは出来たような気がするんですが…。
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