先週末に、我が家に…というよりは妻の店に来客がありました。3月に妻の店が開店して、電話帳や地元のフリーペーパーに載り始めてから、ハンドメイドの作家さんたちや商品をお買い求めになるお客様方の他に、いろいろなモノを売り込もうとする業者の皆さんが、電話をかけてきたり、直接門を叩いてきたりします。今回の「お客様」も、そういった部類の方でした。
最初は数週間前に店を訪れて、妻に売り込みたいサービスの説明をしたのですが、妻は「主人に聞かないと決められない」と回答。すると、「是非ご主人に説明させて欲しい」とのことで、改めて私が在宅のときに来店することになっていました。私の方も、さすがにそこまで言われて門前払いするわけにも行かず、話を聞いてみることにしました。
来店したのはYさんという女性。彼女が売ろうとしているモノは、法人向けの携帯電話サービスでした。「法人向け」とは言うものの、妻のような個人事業主でも、いわゆる青色申告の事業者なら利用できることになっているのだそうです。
現在我が家では、私、妻、お義父さんの3台の携帯電話回線を契約しています。これらをまとめて法人契約すると、「社員」間の通話が無料になりますが、それだけなら通常のファミリー割引だって同じ。このサービスの場合、通常の個人向け契約から追加料金なしで、1回線あたり1,050円分の無料通話が付いてきて、これは毎月各回線間で融通し合うことが出来ます。現在、3回線で3,150円分も通話はしていませんから、無料通話分のない現在の状況よりは、その分割安になります。これは嬉しいですよね。
ところが、一つ問題がありました。このサービスを利用するためには、キャリアの乗り換えが必要になります。ソフトバンクの「ホワイト法人」というサービスなんですね。現在、NTTドコモと契約している私たちの場合、年間契約の中途解約になるので、1回線あたり9,975円の違約金が発生しますし、半年ほど前に買ったばかりの新しいスマートフォンの代金支払いも相当残っています。
しかし、これらについては一部をキャンペーンのキャッシュバックなどで相殺していただき、最終的な月々の支払いは、実質的に今までより安くしてもらえるとのこと。特に、iPhoneに機種変更すると、ソフトバンクからは月額支払い面で手厚い支援が受けられますが、それ以外のスマートフォンやガラケーの場合でも、MNPによるキャリア変更ということで、かなり頑張っていただけるようです。
それ以上に問題だったのは、私の方にソフトバンクと契約することにかなり抵抗感があったことです。これまでにも、事あるごとにネガティブなコメントを連発してきましたからね。妻も、それを知っているからこそ、最初は「主人に聞いてみないと」と答えざるを得なかったのでしょう。
しかし、一番良くないのは食わず嫌いで門前払いしてしまうこと。とにかく、私の思っていることをぶつけながら、Yさんの話を聞いてみることにしました。
そもそも、ソフトバンクという企業に対しては余り良いイメージがありません。既存の規制を打破しようとするときの強引な姿勢、思い通りに行かないときには競合企業を買収してその資産を自分のモノにしてしまう企業戦略は、正直なところ大嫌いです。携帯電話事業自体も、最初はボーダフォンから兆単位のとんでもない金額で買収してスタートさせました。
しかし、好き嫌いだけで切って捨てるのは大人げありません。いろいろと騒動を引き起こしながらも、ソフトバンクがここまで携帯電話事業を育ててきたのは確かですし、他社にも多大な影響を与え、業界全体がずいぶん動かされてきたはずです。ソフトバンクの参入がなければ、現在の通信業界は全く違った姿だったことでしょう。おそらく、もっと高い利用料で、不便な環境を強いられていたのではないでしょうか。
ソフトバンクの孫正義社長からは、お金儲けのために仕事をしている…というイメージをあまり受けません。かといって、慈善事業家というのもちょっと違います。あの人は、もっとシンプルに「世界征服」を目指しているのではないか?と思うことが多々あります。まあ、ああいう人だから、いろいろあるのは仕方ないのでしょうね。このあたりの話にはひとまず目をつぶることにしましょう。
しかし、避けて通れないのは通信そのものの品質の問題。昔からの「つながらないソフトバンク」というイメージからすると、現在彼らの流している「つながりやすさNo.1」というCMは、にわかには信じがたいところです。しかし、冷静に状況を見直してみれば、状況は改善していて当たり前ではあります。
ソフトバンクは、昨年「プラチナバンド」と呼ばれる900MHz帯を獲得したことで、NTTドコモやauと対等にエリアカバー戦略が打てるようになりました。今回、改めてソフトバンクのサービスエリアマップをWebサイトで見せてもらいましたが、プラチナバンドについては、たった1年でカバーしたとは思えないほどの広範囲に色が塗られています。ただでさえ事業展開の攻撃的なことでは随一の会社です。相当気合いを入れて広げてきたのでしょう。色を塗られた面積を鵜呑みにしてはいけないのでしょうけど、少なくとも相当多数の基地局で対応を進めたことは確かです。
また、最近はスマートフォンに対応した大容量のデータ通信対策も急務ですが、これについても、都市部では高密度に基地局を配置して、通信状況を改善するべく動いているようです。ウィルコムから譲り受けたPHS基地局のロケーションも活用しているのかも知れません。また、Wi-Fiホットスポットの展開に最も熱心なキャリアでもあります。
すべてがまともに機能すれば、かなり快適に使える可能性はあると思います。そもそも、ユーザー数がNTTドコモの半分強しかいないこと自体、ソフトバンクにとっては相当有利なんですけどね。
もう一つ不安だったのが、端末に不具合があった場合の修理サポート体制。特にiPhoneの場合、修理はApple社に送付しなくてはならず、相当待たされる上にかなり修理費用が高額になることがあるそうで、泣いている人が多いと聞きます。しかし、今回は法人向けのサービスということで、営業スタッフの皆さんが付いていただけるのが強みになります。Yさんたちも、相当頑張るつもりのようです。
「アベノミクス」とやらで経済回復への期待が盛り上がっているところもあるようですが、私たちの給料はいっこうに増えません。月々の出費を減らせて、しかもまともに通信が使えるのならありがたい話です。繰り返しになりますが、一番良くないのは食わず嫌いで門前払いしてしまうこと。今回はソフトバンクに乗ってみようか?ということにしました。
一番びっくりしたのは妻のようです。「まさか乗り換えるなんて思ってなかったなぁ。ソフトバンクは嫌いじゃなかったの?」と言われました。いやいや、君子豹変す…ですよ(笑)。本来の意味の通り、この豹変がプラスの転換となれば良いですね。思い切って、新しい環境に乗り換えてみましょう。
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