木曜日・9月26日に、日本プロ野球パ・リーグの東北楽天ゴールデンイーグルスが、今季のリーグ優勝を決めました。この日の試合は、埼玉西武ライオンズにリードを許していたものの、中盤に逆転。マジック対象チームの千葉ロッテマリーンズが先に試合に敗れ、イーグルスはこの試合に勝てば優勝決定!ということになりました。
ここで、今や押しも押されぬ日本球界のエースとなった田中将大投手が、1イニング限定で抑えに登場。今季の貢献度MAXの彼を是非胴上げ投手に…という思いだったのでしょうけど、よりによって彼は1アウト2・3塁、一打サヨナラの場面を招きます。しかし、さすがはマー君、ここからを持ち前の集中力で退けて無事試合終了。星野仙一監督は7度宙を舞いました。
イーグルスのオーナー企業である楽天では、この週末は優勝セールの開催中です。星野監督の名前や背番号に引っ掛けて、「1,001円均一」「77%OFF」「ポイント最大77倍」などのキャンペーンが繰り広げられています。まあ、ドラゴンズファンの私にとっては、どこか懐かしい企画ばかりなんですが。
2004年に、当時の近鉄バファローズとオリックスブルーウェーブが合併する…という話に端を発し、プロ野球界が激動の渦に飲み込まれました。この年は、プロ野球史上初のストライキが行われるなど、いろいろ紆余曲折はありましたが、結局この年に50年ぶりの新規参入球団として誕生したのが東北楽天ゴールデンイーグルスです。
件の2球団に在籍した主力選手は合併後のオリックスバファローズが抱え込み、あとは他球団も含めて戦力外と見なされた選手たちの寄せ集めでスタートせざるを得なかったイーグルス。まともに戦えという方が無理な話で、1年目のシーズンは38勝97敗1分けという記録的な成績でぶっちぎりの最下位となりました。
そのイーグルス1年目のシーズン・2005年の8月に、仙台まで試合を見に行ったことを、今でもしばしば思い出します。この試合は、当時のイーグルスにとっては実に貴重な勝ち試合だったんですが、そのことよりも仙台の皆さんの熱い声援の方が印象的でした。
一からチームを作っていくという困難なプロジェクトに立ち向かう選手たちと監督、コーチ陣。そしてそれを温かく見守り支え続けるファンの皆さんと一緒に、このチームを応援していきたいと感じました。それ以来、私はパ・リーグでは一貫してイーグルスを応援し続けています。あの試合の日に仙台で買った野球帽は、今でも大事に使っています。
すぐに収益を生み出すようなものではない球団経営に、楽天がどのくらい本腰を入れて取り組むのかが心配だったんですが、新興企業らしい実にドライな経営判断に呆然とすることもありながら、それでもここまで球団を手放したりせずに、じっくりと育ててきたように見えます。9年目が「たった9年で」なのか「9年もかかった」なのかはわかりませんが、これだけ巨大な組織が真っ当に機能するようになるまでには、相応の時間がかかるということなのでしょう。
既に先に触れていますが、現在イーグルスの現場指揮を執るのが星野仙一監督。2010年のシーズン終了後に、満を持して…という形で迎え入れられました。これまでに、中日ドラゴンズ、阪神タイガースでリーグ優勝をしてきた優勝請負人。一時は結構叩かれたこともありますが、実績のある監督で、ついに優勝を狙いに行くのか?という目で見ていました。
しかし、その1年目のシーズンが始まる直前に起こってしまったのが、あの東日本大震災。イーグルスの本拠地・仙台に限らず、日本全国が大きな影響を受けて、結局この年のプロ野球のリーグ戦は開幕を遅らせることになりました。
このシーズンから、イーグルスは「50年ぶりの新規参入球団」という顔だけでなく、「大震災からの復興を東北地方とともに歩む球団」という新しい顔を持って歩き出したような気がします。チームは2年連続で、クライマックスシリーズへの進出を惜しいところで逃しましたが、これまで温かい声援を送り続けてくれたファンの皆さんに、今度は自分たちが頑張る姿を見せて恩返ししたい…という思いが伝わってきました。
大震災の被害を受けたことが今シーズンの優勝に直接つながっているとは思いません。それは、あくまでも9年間の地道な歩みの賜物に他ならないと思うんですが、震災以後の選手たち自身、そして多くの人たちの思いが、さらにプラスとなる力になって働いた…ということはあると思います。
イーグルスは、9年間応援し続けてきた仙台の皆さんに、「鷲(Eagles)の恩返し」がまずひとつできたのではないでしょうか。月並みな表現ではありますが、本当に良かったと思います。
もちろん、まだまだこれからもたくさんの恩返しを見せてほしいものです。まずは今年の日本シリーズ出場を目指して、クライマックスシリーズも勝ち進んでもらわなくてはなりませんね。ドラゴンズが日本シリーズの相手に出てくる可能性はとっくに消滅していますから、私は余計な心配なく応援できそうです。
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