日本プロ野球はクライマックスシリーズ(CS)のファーストステージが終了。両リーグともリーグ3位のチームがファイナルステージに進むことになりました。「下克上」という嫌なキーワードが、少しずつ現実味を持って近づいてきます。
今シーズンのリーグ優勝チームはどちらも、一見余裕の戦力で他を引き離していたように見えて、実は意外に危うさも抱えたチームのような気がしています。短期決戦の難しさもありますし、油断は出来ません。
CSに参加できなかった各球団では、早くも来季に向けた準備が始まっています。戦力外と判断した選手にクビを宣告するのは良くある話ですが、このときに監督も交代させることがしばしば行われます。しかし、今年は意外なくらい監督を替える話が出てきません。今年は下位に沈んだチームでも、選手育成などの面で成果が出つつあると判断されているようです。実績のある監督を招聘する金銭的余裕がない…ということもあるかも知れませんけどね。
そんな中で、早々と監督の交代が決まっていたものの、新体制がなかなか発表されなかったのが我らが中日ドラゴンズ。巷ではドラゴンズOBを軸にいろいろと監督候補の名前が挙がっていました。落合博満元監督をクビにした頃から、この球団の人事の考え方はとても理解できなかったんですが、それでも順当に行けばあの人が本命で、大穴はあの人あたりかなぁ…と、漠然と考えを巡らせていたところでした。
しかし、発表された新体制は、私の…というより巷の様々な予想を見事に裏切るものでした。新監督には、今シーズンに史上「最もゆっくり」通算2,000本安打を達成した谷繁元信選手が、選手兼任監督として就任します。豊富な経験とリーダーシップを持ち、指導者の声がかかってもおかしくない人材だと思いますが、彼自身が現役続行にこだわっているはずだと思っていた私は、監督候補の選択肢としては全く考えていませんでした。まさか、プレイイングマネージャーという手を使ってくるとは…昔からいくつか先例のあることではありますが、保守的と思っていたドラゴンズの経営陣からそんな手が出てくるなんて、にわかには信じられませんでした。
しかも、新設されたゼネラルマネージャー(GM)職として、落合氏がドラゴンズに戻ってきます。落合流の人事編成の下で、谷繁監督が陣頭指揮を執る…8年間一度もBクラスに落ちることのなかった落合政権と同じように行くかどうかはわかりませんが、あの黄金時代を支えた師弟関係ですから、期待するなという方が無理な話です。少なくとも言えるのは、来季が非常に楽しみでワクワクすること。絶対、落合監督の頃以上に面白くなります。
現経営陣をばっさり切って、落合氏を再び監督に招くかも知れない…というあたりまでは、予想しているメディアもありましたが、この展開には誰もが寝耳に水だったようです。最近、ネット上では予想をとんでもない方向に(多くの場合期待以上に)裏切ることを「予想の斜め上」と表現するようですが、ああ、これが「予想の斜め上」の実例なんだ…とつくづく感じましたね。
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