巷では冬のボーナスが出てきたところでしょうか。今回は、企業の業績が回復してきているということで、ボーナスが増えている方が結構いらっしゃるようです。私のところにも、金額は昨年度とほぼ変わらないものの、無事冬のボーナスが振り込まれました。まだまだ厳しい状況の皆様もいる中で、いただけるだけでも実にありがたいことです。
もっとも、住宅ローンでかなりの部分が消えていきますし、他にも年末年始の準備などどうしてもお金は入り用になります。将来に向けての貯蓄も重要です。実際に自由に使える部分はごくごく限られています。必要なもの、欲しいものはいろいろありすぎて、ボーナスを全額使えたとしても全然足りませんが、我が家での生活をより快適に、より楽しくできるために、今回は何が購入できるのか考えてみるつもりです。…そもそも、何か買えるだけの余裕があるのかどうかが怪しいところですが(涙)。
さて、買い物をするときに切っても切れない存在が消費税。商品を購入したりサービスを提供してもらったりするときに課せられる、価格の5%分の税金です。私たちが企業などに支払った消費税は、彼らから国へと納められることになります。
その消費税の税率が、平成26(2014)年4月1日から8%に上げられることが決まっています。増加する分は3%、本体価格100円あたり3円ということになるわけですが、これが20万円のパソコンを買おうとすると6,000円の増、2,000万円でマイホームを建てる人なら60万円の増となるわけで、こうした高額の買い物を予定している人たち(私もその中に入る訳なんですが)としては、消費税が上がる前に何とか駆け込みで購入してしまおう…という計算が働きます。
ところが、私たちが支払わなくてはならない(企業が納めなくてはならない)消費税が5%か、8%かを判断する条件は、意外に判定が面倒です。場合によっては、今すぐ購入しようとしても消費税率は8%…となる場合もあり、この場合は既に手遅れと言うことになります。もっとも、きちんと場合分けを押さえておけば、今からでも対応できる部分もあります。ちょっと勉強しておきましょう。
消費税が5%になるか、8%になるかは、原則的には「資産の譲渡」がいつ行われるかが基準になります。例えば、店頭に並んでいる商品を購入する場合には、店頭で代金を支払うと同時に、商品という「資産」が譲渡されます。ですから、この場合はシンプルに「4月1日以降に購入すると8%」ということになります。
しかし、実際には、支払い…もう少し厳密にすると支払いを行うことを取り決める行為である「契約」と、「資産の譲渡」が同時に行われない場合が意外にたくさん存在します。これらの行為が年度をまたぐ場合に、消費税をどう取り扱うのかは、論理的に考えようとしても結構面倒な問題になります。
そこで、今回の消費税率変更の前後について、取り扱い方法を明確にするために、いくつかの場合で経過措置が定められています。なお、経過措置の適用を受ける上で、施行日である4月1日の他に、「指定日」として半年前の10月1日が定められています。指定日の前日・9月30日までに行われていたアクションが、消費税率を決定する上で重要になる場合があります。
個人で購入する最も高額な買い物は、おそらく家でしょう。家の場合も、注文住宅なら契約を結んだ後で工事が始まり、実際に施主に引き渡されるのは何ヶ月も後になります。こうした場合の取り扱いは、「工事の請負等の税率に関する経過措置」として定められています。
経過措置としては、9月30日までに契約が済んでいれば、「資産の譲渡」である引き渡しが4月以降になっても消費税は5%になる…と定められています。ただし、変更契約により10月1日以降に増額される場合、「増額された分については消費税8%」という、少々面倒な計算になるのだそうです。「指定日までに既に定まっていた契約に関する分は、施行日を過ぎてから引き渡される場合でも旧税率(5%)を適用する」というのが原則になっています。
一方、10月1日以降に契約した場合には、引き渡し日により税率が変わることになります。3月31日までに引き渡されれば消費税は5%、4月1日以降なら8%です。先に触れた変更契約云々のくだりも、10月以降の変更分は別契約と同様の扱いになる…と考えれば、もう少しシンプルになります。
ちなみに、BESSのWebサイトでは、既に税込み価格は消費税8%で表示されています。BESSのログハウスの場合、契約が成立した後に海外の工場にログ材のカットをオーダーし、船便で材が送られてくることになりますから、これから契約してもとても3月31日までに引き渡してもらうのは無理です。引き渡しが4月1日以降になることが確実ならば、指定日以降施行日以前の現時点で結ぶ契約でも、消費税率は8%になります。「消費税8%」はもう始まっているんです。
切符・入場券等の場合、購入するのは3月31日以前でも、実際に使用するのは4月1日以降になる場合が結構あります。しかし、この場合、実際にこれらを使用してサービスの提供を受けるのが4月1日以降だったとしても、利用権という資産はあらかじめ譲渡されている…という考え方になり、3月31日以前の購入なら消費税は5%ということになります。
定期券の場合なら、有効期間が4月1日以降を含むものでも、3月31日までに購入していれば全期間について消費税は5%となります。テーマパークの1dayパスポートなどで、有効期限が4月1日以降の場合でも、3月31日までに購入していれば消費税は5%。我が家にも、「ダッフィー&シェリーメイを雇いに行く」ために購入してあるTDRのパスポートがありますが、東京ディズニーシーに行くのが4月以降になったとしても、入場するときに追加の3%分の消費税を求められることはありません。
もっと身近なところで問題になりそうなのが、通信販売の取り扱い。これも、契約と資産の譲渡は同時に行われないのが普通です。
基本的に考え方は全く同じで、10月1日以降は、3月31日までに注文した場合でも発送が4月以降になるのなら消費税は8%ということになります。また、9月30日までに注文していたものなら、4月以降に届けられることになっても消費税は5%のままです。
ただし、通信販売の場合、経過措置として「指定日前にその販売価格等の条件を提示し、又は提示する準備を完了した場合」には、3月31日までの注文なら4月以降の発送でも消費税は5%になる…と決められています。カタログ通版で、9月30日までに作られたカタログによる注文なら、この条件を満たすことになると考えられます。しかし、ネット通販の場合は頻繁に販売条件が変更されますから、この経過措置が適用されることはまずないでしょう。
年度内ギリギリになって駆け込み注文が殺到したときに、年度内に発送されるかどうかで消費税が変わる…というのは何ともスッキリしませんから、おそらく通信販売を行う業者の多くは年度末の一定期間受注を制限するでしょう。現在、私が購入を考えている商品の中にはBTOのパソコンがありますが、消費税5%での購入を狙うなら、かなり早い時期での決断を迫られることになりそうです。
今回の消費税率変更に際しては、「消費税分還元セール」の類が禁止されています。このため、各業界ではきっちりと3%分を上乗せしてくることが想定されます。また、税込み金額のみを表示する「内税方式」が標準だった小売業界でも、一時的に税額を別表示する「外税方式」が認められますが、これも企業に対して3%分を確実に転嫁させようという政府の意図が見えます。もっとも、「新生活応援セール」など、値引きセールを行う名目はいくらでも付けられますからね。それぞれが何とかするのでしょう。そこに私たちもウマく乗せていただきたいものです。
ちなみに、消費税の取り扱いについては国税庁のWebサイトで様々な事例を挙げながら紹介されています。こちらで実際に確認していただくのが一番確実です。もし、今回私の書いた内容に問題があった場合には、お知らせいただければ幸いです。随時勉強して修正させていただこうと思っています。
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