昨シーズン限りで現役を引退した、元中日ドラゴンズの山崎武司氏が、金曜日・21日の楽天イーグルスとのオープン戦に出場しました。イーグルスは、彼が再ブレイクを果たした球団ですし、星野仙一監督とはドラゴンズ時代も含めて数多くの思い出があるはずです。両球団でファンから愛されてきた彼にとって、最高の最後の花道になります。
山崎「選手」は、「4番・指名打者」で先発出場。1打席だけ打席に立ちました。残念ながら、結果はセカンドゴロ併殺打でしたが、全力勝負で最後の雄姿を見せてくれました。私は残念ながらリアルタイムでは観戦できず、夜のスポーツニュースで見ることになりましたが、それでもこんな場面を見られたのはとても嬉しかったですね。
今回、中日ドラゴンズは山崎氏を正式に選手として試合に出場させるために、この日1日限りの選手契約を結び、支配下選手登録を行いました。オープン戦の場を借りて、昨シーズン限りで引退した選手の引退セレモニーなどが開かれることは結構ありますが、こうしてきっちりと手続きを踏んで行われるのは、日本プロ野球では初めてらしいですね。
この「1日契約」、メジャーリーグでは「One-day Contract」としてかなり一般的に行われているのだそうです。球団の功労者が引退したときに、球団が自球団所属の選手として引退セレモニーを開くために、1日だけのマイナー契約を結びます。私たちの記憶に新しいところでは、松井秀喜氏が昨年7月にニューヨーク・ヤンキースと結んだ1日契約がありますね。
日本以上に多くのチームを渡り歩く選手が多いメジャーリーグ。思い出深い古巣で現役生活の最後を迎えたい選手は多いはずですが、誰もがそうして思い通りのキャリアを送れる訳ではありません。これは、そんな選手たちへの球団からのプレゼント…ということになるわけですが、セレモニーのためだけとはいえ、「契約」というスタイルを守るところが、いかにもあの国のお国柄と言えそうです。もっとも、この1日契約にしても、元選手の意志だけで簡単に行えるわけではありません。誰もがこの待遇に納得できるような、記録にも、記憶にも残るひと握りの選手たちに認められた特権でしょう。
山崎氏の場合、別に1日契約を結ばなくても、この日を引退試合として、そこに出場することは制度的に問題ないはずなのですが、こうして契約を結んだことにより、ドラゴンズは山崎氏に対して「メジャー級」の敬意を示した…と言えそうです。普段はどうも地味なイメージのドラゴンズらしからぬ(?)、粋な計らいですね。もっとも、この球団の経営陣が実は意外に革新的な空気を持っているのは、谷繁選手兼任監督・落合GM体制を決断したところからも見えてくるわけですが。あと1週間に迫った今シーズンの開幕も、実に楽しみです。
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