先日から何度か話題にしていますが、CF-MX3に限らず、最近のレッツノートに標準で搭載されているのが、モバイルWiMAXによる無線通信機能。もともとは、郊外地域でブロードバンド環境を実現するために、各家庭までの残り数kmを接続する「無線ブロードバンド」として策定されたのがWiMAX規格で、これに移動体通信を実現するハンドオーバー機能を追加したものがモバイルWiMAXだそうです。
日本では、2.5GHz帯の周波数域を使い、UQコミュニケーションズが「UQ WiMAX」として2009年からモバイルWiMAXのサービスを提供しています。サービス開始当初から、高速な常時接続のモバイル通信サービスとして私も注目してきましたが、実際に利用するのは今回が初めてになります。
CF-MX3には、「WiMAX Connection Utility」というデスクトップアプリがインストールされています。WiMAX機能のON/OFF、インターネットへの接続を制御します。このアプリが起動している間は自動的にインターネットに接続するように設定することができます。
また、タスクトレイに常駐している「無線ツールボックス」のオプション設定では、有線または無線のLANが接続されているときにWiMAXを無効にし、有線・無線のどちらのLANにも接続できないときにWiMAXを有効にする…という設定ができます。WiMAX Connection Utilityと組み合わせれば、LANかWiMAXのどちらかで常にインターネットにつながっていようとする設定になるわけで、「つながりっぱなし」に近い環境が実現できるかも知れません。
もちろん、本当に「つながりっぱなし」になるかどうかは、きちんと電波がつながるかどうか次第。ホットスポットのすぐ近くに行くしかない無線LANはともかくとして、WiMAXが外出先でどのくらいの性能を発揮するのかは未体験ゾーンです。試しに、朝の通勤時に、無線LANはOFFにして常時WiMAXに接続する設定でCF-MX3を使ってみました。
浜松駅までの遠州鉄道鉄道線の車内では、WiMAXは実に安定した接続性を見せてくれました。電車とは言え、駅の間隔は非常に短く、2分おきくらいに停車することになります。移動速度は、最高でもせいぜい時速70~80km程度ではないでしょうか。時速120kmでの移動中でもハンドオーバーが可能な設計になっているモバイルWiMAXにとって、このくらいの速度の移動ならお手の物です。
しかし、時速270km以上で突っ走る新幹線はさすがに過酷なようです。結構頻繁に接続が切れて、再接続を試みるのが分かります。トンネル内では全くつながりませんし、トンネルが少ない愛知県内でも、常時接続とは言えない状況です。新幹線では、車内で無線LANが使える車両もありますから、結構込んでいて速度が遅いこともあるとは言え、こちらを活用した方が良いでしょう。
もっとも、定額での利用データ量に上限のないWiMAXだからこそ、純粋に接続品質で比較できるわけです。実質的に従量制の他社LTE回線なら、データ通信を無線LANにオフロードするのは必須です。
無線LANとWiMAXとの切り替えは意外にスムーズです。切り替えている間は接続が切れてしまいますが、一度認証さえしておけば、一連の動作が自動化されているため、煩わしさはありません。
しかし、いくら使用量の上限がないとは言え、UQ WiMAXの利用料金は1年契約の使い放題で月額3,696円(税抜)と、それなりの負担になってきます。これだけスムーズに接続を切り替えてもらえるなら、月々の通信量制限があっても、月額1,000円前後で契約できる、NTTドコモ回線を使ったMVNO(Mobile Virtual Network Operator : 回線を他社から借りて通信サービスを提供する「仮想移動体通信事業者」)各社のLTEの方が魅力的に見えます。
2週間弱の間、YouTubeの動画もいくつか視聴しながら、全く手加減なしで使って、WiMAXがさばいた受信データ量は1.26GB。少しだけ意識して通信量を制御すれば、「1ヶ月あたり1GBまで定額」や「毎日30MB」のサービスでも、十分やって行けそうな気がします。
ところで、MVNOといえばほとんどがNTTドコモ回線で、ソフトバンクモバイルやイー・モバイルの回線を使った業者も見かけますが、auの回線を使った業者を全然見かけません。これは、auだけ3Gの通信規格が異なり、同じハードウェアを転用できないことが要因なのだと思うんですが、一方でKDDIはこの状況を跳ね返すべく、LTEのサービス品質をものすごい勢いで向上させてきました。おそらく、現在面的にエリアが最も充実しているLTEはauの回線でしょう。今後は、au回線を使ったMVNOの展開にも結構期待できるかも知れません。
コメントを残す