8%に慣れよう

4月1日から、私たちが店頭などで支払う消費税の税率が8%になりました。前々からわかっていたことではあるわけですが、それでもいざ増税されてみると、やっぱり気分の良いものではありません。
今回は、「消費税分還元セール」の類が禁止されていることもあり、小売店ではきっちりと従来の消費税5%を前提とした価格設定から約3%分(厳密に言えば105分の3、ですね)を値上げしている例が多いようです。しかし、消費税率5%の内税でキリのいい価格に設定されていたところから、105分の100を掛けて税抜き価格を算出し、そこに8%を加えれば、とんでもなく中途半端な数字になるのは当たり前。先月まで1,980円で売られていた商品が2,036円になっていたりするわけで、レジでは今まで以上に1円玉が乱れ飛ぶようになっています。造幣局では、しばらく製造を中止していた1円玉を久しぶりに作ったのだそうですね。
こうなってくるとありがたみが出てくるのが、小銭のやりとりが不要になる電子マネー。私の場合は、昨年末にグリーンスタンプと交換して以来、楽天Edy(えでぃー)を活用しています。レジに「Edyでお願いします」と伝えて、おサイフケータイのAQUOS PHONE Xx 206SHを所定の場所にタッチするだけで「しゃり~ん」と音が流れれば決済完了。実にお手軽です。
Android向けに提供されている楽天Edyアプリでは、現在の残額を画面で確認できるだけでなく、オンラインでチャージしたり、利用額に応じて楽天スーパーポイントや他社の各種ポイントを貯められる連携設定ができたり、さらには楽天スーパーポイントとの相互交換ができたりします。楽天のユーザー囲い込み戦略に乗せられているのは自覚できますが、確かになかなか便利です。せっかくなら、レジで手渡されるレシートも、端末に電子データで取り込まれると面白いんですけどね。紙資源の節約にもなりますし、家計簿管理にも役立ちそうですし。


今回の増税に合わせて、従来は消費税込みの価格のみを表示する総額表示が義務づけられていたところに、「税抜き価格+税金」で表示する外税方式も一時的に復活したため、巷の価格表示は双方が混在してかなりややこしいことになっています。
気をつけなくてはならないのは、消費税5%が加算された内税の価格から、「消費税抜きの本体価格+消費税8%」という外税表示に変わったときに、ぱっと見では数字が下がっているために「安くなった」と誤認しやすいこと。税込み価格が小さく書いてあることが結構多いので、値札を注意深くチェックする必要があります。理屈では分かっていても、総額表示に慣れきった感覚だとついつい騙されます。
そして、どうしても気になるのは、105分の3以上の金額を上乗せした金額が設定された商品。消費税増税にかこつけた便乗値上げ?と勘ぐってしまいます。自販機商品などの「数値をキリのいいところで丸めるため」という理由以外に、「流通の各段階で消費税分が上がっているから、最終の小売価格は増税分以上に上昇してしまう」なんて理屈が並べられることがありますが、これは厳密に言えば間違い。事業者は、課税対象になっている仕入高分に対して、消費税相当額分の控除を受けることができます。仕入れた物品等に掛けられている消費税は、その物品を卸した業者が国に支払うものなので、流通の各段階でダブって課税しないように、このような仕組みになっています。最終的に消費者の手に渡るモノにかかっている消費税分は、8%より上乗せされることはありません。
ただし、だからといって105分の3を超える部分は全て便乗値上げと決めつけてしまうのも気の毒な話。いわゆるアベノミクスの効果で物価は上昇し始めていますから、消費税が増える以前に原価自体が上昇している…という要素もあります。厳密にどこまでが税金分でどこまでがそうでないのかは、非常に難しい問題です。もちろん、最大の問題はそれら物価上昇分を吸収して余りあるだけの所得の増加が見えてこないことなんですが。


税率移行時の過渡的な表示として、「本体価格+税(税額を明示しない)」なんて書き方の値札も見られる現在、どうしても必要になるのが、8%の消費税額を計算すること。内税表示の商品と同じ土俵に乗せないことには、どちらがより安価なのか判断できません。
電卓を持ち歩いて、値札を見る度にひとつひとつ叩いて確認しても良いのでしょうけど、あまりにも面倒ですよね。やっぱり、暗算できた方がベターです。振り返ってみると、総額表示が義務化される以前は、3%や5%を上乗せした金額がどのくらいになるのかを感覚的に掴める技能が身についていた気がします。
とりあえずは「100円ごとに8円」というところから始めれば、あとは8の段の九九さえちゃんと使えれば概略の税額が分かるでしょう。問題は、それよりも細かいところをどう身につけるかなのでしょうけど、私が意外に取っつきやすく感じているのが、「12.5円ごとに1円」という感覚。5%時代の「20円ごとに1円」よりも格段に面倒くさくなっているはずなんですが、見方を変えれば12.5円は100円の半分の半分のさらに半分。パーセンテージを描いた円グラフの上に、ホールのケーキを八等分したイメージを重ねてみましょう。ほら、わかりやすくなった気がしませんか?…普通の人はしないかもなぁ(苦笑)。私がそう感じられるのは、2進数で考えるコンピューターの世界とのつきあいが長いせいかも知れません。


便乗値上げされているのかも?という疑念を確認するために必要になるのが、3%に相当する金額の計算。厳密に言えば、最初にも触れたとおり増税分は増税前の総額の105分の3、あるいは増税後の総額の108分の3になるわけですが、3%との差はせいぜい0.2%程度。よっぽど高額の買い物にならない限り、影響は微々たるものです。
そして、私たちの世代より上の皆さんなら、3%の計算にはかなり慣れ親しんだ経験があるはずです。まだ消費税8%の全面適用が始まって3週間経たないくらいですが、面白いもので3%の計算はすっかり頭が思い出しています。実は、5%に3%を足せば、既に消費税8%の計算はできていることになる(端数処理があるので厳密に合わないこともあります)んですが、ダイレクトに8%が計算できた方がずっと楽です。
もっとも、1年半後にはさらに消費税率が10%に上がる計画もあるわけで、そうなれば今必死で頭を鍛えても、また一からやり直しになってしまいます。税額が暗算できたところで、せいぜい脳の老化防止くらいしか効果はないのかも知れませんね。


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