秋の風物詩にもいろいろありますが、SSK Worldとしてはどうしても外せない秋のイベントのひとつが、アップル社の新製品発表会です。毎年この時期になると、iPhoneの新モデルが発表されています。我が家でもiPhoneが使われるようになりましたから、以前までの単なる様子見と比べると、結構真剣に情報を拾います。
今年は先週火曜日・9月9日(米西海岸標準時、日本時間では10日未明)に開かれたイベントでは、iPhone 6とiPhone 6 Plusの二つのスマートフォンがお披露目されました。従来からの最大の変化は、画面サイズの大型化。iPhone 6は4.7型、iPhone 6 Plusは5.5型の液晶画面を持ち、これに合わせて筐体自体も大型化しています。もっとも、縦横サイズが肥大した代わりに厚みはスリムになり、重量も意外に増えていません。…まあ、この辺りについてはすでに情報がダダ漏れでしたから、全く驚きはありませんでしたね。
細かく見ていけば、他にもハードウェアはいろいろな面で向上していますが、NFC対応も含めて驚くほどのモノはなく、順当な進化に見えます。日本のユーザー向けに見ていくと、NTTドコモがサービスを開始しているVoLTEに対応し、WiMAX 2+やSoftBank 4Gの通信方式であるTD-LTEも利用可能であるところはポイントになりそうです。個人的には、相変わらず防水対応になる気配さえ見せないのは、携帯電子機器のあり方として間違っていると思うんですが。
iOSは、今回iOS 8にメジャーバージョンアップされ、妻が使っているiPhone 5でも近々アップグレードが提供されるようです。iOS 8では、組み込みの多くのアプリが機能強化されている他、アプリ間の連携が強化されていたり、サードパーティーの文字入力システムが利用できるようになったり(あのATOKも使えるようになりそうです)…と、様々な部分に手が入っています。iPhone 6世代でユーザー体験が進化するのは、この新しいiOSに負うところも大きいはずです。
…といった感じなんですが、振り返ってみると、画面の大型化などのハードウェア強化も、iOSの機能向上も、これまでiPhoneがAndroidスマートフォンに対して不利だと言われてきたポイントを改善し、同等のところにようやく追いついた…という見方も出来ます。もっとも、これが実際に不利だったのかどうかは結構難しいところです。大画面よりもコンパクトな携帯デバイスが欲しい!というニーズは相当量存在すると思いますし、外部の開発者に公開される部分が増えるということは、それだけセキュリティ上のリスクが増大することを意味します。
今回、アップル社が「One More Thing」として発表したApple Watchにしても、デザインにこそかなりこだわっているのが見えてきますが、無線通信でiPhoneと連携させて使う子デバイス…という意味では、やっていることはAndroid陣営とあまり変わりません。既に同様の製品は巷に結構出ています。もちろん、ハードウェアの見た目だけが問題ではなく、実際どのように使えるのかが重要で、利用モデルを上手に演出してきたアップル社が、来年初頭にどんな風にApple Watchを離陸させるのかは注目したいところです。
アップル社が、本当にAndroidに追いつきたくて今回の新製品たちを開発・発表したとは思っていません。ユーザー体験をより進化させようと考えた結果、たまたま同じ方向に進んでいる…という方が正確な気がします。さらに見方を変えてみると、各社の新製品発表会が軒並みつまらなくなってきたように、実は「スマートフォン」という枠組みの中でできることはかなりやり尽くされていて、ハードウェア面でもソフトウェア面でも、そろそろ行き詰まりつつあるのかも知れません。
しかし、行き詰まっているのだとしたら、それは今までにないような全く新しいコンセプトに飛躍できるチャンスである…とも言えます。それがどんなものになるのかは、今は全く想像も付きませんが、それが登場するのはそう遠い未来でないような予感があります。そして、それはiPhoneともAndroidとも別のどこかから出てきそうな気がしています…とはいえ、Microsoft社あたりから出てくるともちょっと思えないんですが。ともかく、私の「2年縛り」が解けるのもまだ先ですし、楽しみに待ってみたいと思います。
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