現在、私の自作デスクトップPCではWindows 8.1 Pro Updateを使用しているわけですが、巷ではそろそろ「次のWindows」が話題に上るようになってきました。コードネームでは「Threshold(すれっしょるど;「敷居」「入り口」などの意味)」と呼ばれてきた次期Windowsでは、Windows 7世代までで使われていたスタートメニューが復活し、Modern UIアプリのウィンドウ内での実行がサポートされるなど、デスクトップ環境での操作性が上がるのだとか。かつてのスタートメニューの隣にWindows 8のスタート画面のタイルが並んだ「新スタートメニュー」のスクリーンショットなども公開されています。
もっとも、「Windows 9」で決まりだろう…と言われていたその名称については、私はもう一ひねりした新しい名前が付くのではないか?という気がしていました。「9」という数字は「8」「8.1」の続きという印象が強く、正直なところ最悪と言っても良かったWindows 8の斬新すぎるユーザーインターフェースへの評価を考えると、継続しているイメージを持たれるのは不利に働きそうです。とはいえ、「Vista」のような全く新しい名前を付けるのも、これまたパッとしなかったVistaへの評価を考えると、あまり良いイメージがありません。結局のところはWindows 9に落ち着くんだろうな…と思っていました。
ところが、発表された正式名称は私たちの想像の斜め上を行っていました。次期Windowsの正式名称は「Windows 10」。何と、9をすっ飛ばしてもうひとつ上の数字へのステップアップです。私の思っていたような「連続性を断ち切りたいから」という理由の他、「『Windows 9』を検索するとWindows 95やWindows 98がヒットしてしまうから」、さらには「古いプログラムでWindows 95/98を検知するバージョンチェックに『Windows 9』という文字列へのマッチングを掛けているモノがあるから」など、いろいろな憶測が乱れ飛びました。まあ、名前なんて決めたモノ勝ちですからね。ある意味、何でも良いわけです。
Windows 10については、既にTechnical Preview版というバージョンが公開されていて、ダウンロードさえすれば誰にでも使える状態になっています。開発状況としてはベータ版以前の段階で、「Windows 10はこんな感じになる予定ですよ~」程度のデモ版という位置づけです。ただし、Microsoft社としては、後で述べるとおり、このバージョンで一般から集められた意見をWindows 10の製品版には積極的に反映していくつもりのようです。
Microsoftアカウントでサインインして、所定のアンケートに答えていけば、Windows Technical Preview版のインストール用DVDのISOイメージ(32bit版・64bit版選択可)をダウンロードすることが出来ます。4GB近くある巨大なファイルですが、10分もかからずにダウンロードが完了してしまうのは、さすがは最大1Gbpsの光ファイバー回線です。
従来は、この後はISOイメージをDVD-Rに焼き込んで、Windowsがブートできる新しいパーティションを確保して、DVD-Rからシステムを起動させてWindowsのインストーラーの指示に従う…という手順になるわけですが、Windows 8.1 Pro Updateを使用している我が家の場合、もっと経済的で簡単な方法が使えます。それは、Hyper-Vで仮想マシンを用意して、そこにインストールすること。既に3台の仮想マシンを設定してあり、4つのシステムが同時に稼働できる我が家にとっては、ごく普通の選択肢です。
Hyper-Vの仮想マシンを起動するときには、光ディスクドライブのディスクからブートする他、ディスクのISOイメージを読み込んでそこからブートすることも出来るので、わざわざDVD-Rに焼く必要がありません。インストール作業自体も実にスムーズ。数分間待っていれば、システムファイルのコピーは終わり、初期設定に移っていきます。Windows 8.1で使っていたアカウントを使えば、ストアアプリの情報(どれをインストールするかは後で選択することになりますが)など主要な設定は自動的に移行されます。
Windows 8の頃のHyper-Vは、OSのインストールこそ出来たものの、ゲストOS上で使えるリソースは非常に制約が大きくて、それこそWebブラウザの互換性確認くらいにしか使う気になれませんでした。しかし、Windows 8.1になって、ゲストOSにもWindows 8.1以降を使えば、音声デバイスやクリップボードなど、様々なものをホストデバイスから借りることが出来るようになりました。場合によっては、USBデバイスまでも共有できるようです。今回セットアップしたTechnical Preview版も、これらの機能が使える「拡張セッション」に対応していますから、物理的に新しいパーティションを確保して導入するのとほぼ同条件で使うことが出来ます。
初期設定が完了すると、デスクトップ画面が表示されます。この状態での見た目はWindows 8.1のデスクトップ画面とあまり変わりません。ただし、現状で公開されているのは英語版を始めとした3言語のみなので、各名称やコメントは全て英語。それでも、多言語対応の機能として、日本語を表示したり、日本語IMEを使ったりすることは可能です。ATOKもちゃんとインストールできました。
右下のタスクトレイのすぐ上の部分には、「Windows Technical Preview for Enterprise」と書かれています。「Windows 10 Technical Preview」ではありません。実はこれは結構重要なポイント。このバージョンはあくまでも企業システムの管理者等向けに、新しいWindowsの見た目や動作等を確認してもらうためのもので、来年「Windows 10」として登場するものが、これと同じようなものになる保証は全くない…という性質のものです。言い換えると、「今度のWindowsはこんな風にしてみたいんだけど、どう思いますか?」というレベルの試作版。時々仮想マシンとの接続が切れてしまうこともありますが、多少の不具合は大目に見なければなりません。
この「どう思いますか?」をなるべくたくさん拾うため…ということか、Technical Preview版には「Windows Feedback」というアプリがプリインストールされています。ユーザーの操作の中で、Windowsの作法として気になった点を見つけると、このアプリが画面右側からせり出すような小さなメッセージボックス(「トースト」と言いますが)を開いて、私たちに質問を投げかけてきます。私たちはアンケートに答えていけば、ひとつひとつがWindowsの開発に役立つ意見として収集される…という仕掛けのようです。もっとも、現状では英語版のアプリで質問も英語なので、実際に意見を挙げてみるところまでは行っていませんが。
スタートメニューは、以前からの噂の通り、Windows 7以前のスタートメニューの隣に、Windows 8.1のタイルが並んだスタート画面のようなものが並んで表示されるものになりました。Windows 8の新しい作法に慣れようと頑張ってきた私にとっては、逆にちょっとまごつく表示なんですが、Windows 7からの移行に際しての違和感はかなり低減されそうです。
タイルの中には、Windows 8のときと同様に、そのアプリでの最新情報が表示されるライブタイルもあり、スタートメニューを開いている間でも定期的に情報が更新されます。スタートボタンを押すだけでリアルタイム情報が確認できるのも、Androidスマートフォンのウィジェット的な便利さがあるかも知れません。
先にも書いたとおり、一部不安定な挙動も見られるんですが、まだ製品版とはほど遠い状態なのですから、仕方ないところです。実際に使いながら、引き続き状況を確認してみようかと思います。日本語版が正式に公開されたら、フィードバックも出来るといいな…と思っています。
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