Microsoft社が、自社のブログ上で、様々なデバイス向けに提供される次期OS・Windows 10を、「190カ国の、111の言語でこの夏に発売する」と書いています。
以前は「今年中に」という表現にとどまっていたWindows 10の発売時期ですが、これでかなり時期が絞り込まれたことになります。おそらく、北半球で一般的に「夏」と認識される7~8月頃には、巷に出てくるのでしょう。欧米で学校の新学期が始まる9月には、何とか間に合わせたい…という思惑も見えてきます。
現在のWindowsの言語別のユーザー数を考慮すれば、111言語の中に日本語が含まれていない可能性は限りなく低いと言えます。日本でも、Windows 10はこの夏の話題の一つになりそうです。
しかし、現在の状況を見ると、本当にそんなスケジュールで間に合うのか?と疑問を感じざるを得ません。もっと率直に言うのなら、無謀とすら思えます。
7~8月頃にWindows 10をプリインストールした製品が店頭に並べられるためには、その数ヶ月前には製品版(RTM)として確定し、生産工程に回されなくてはなりません。逆算すると、そろそろOSそのものはほぼ仕上がっていなくてはならない…ということになります。
以前のWindowsなら、発売から半年を切ったこの時期には、一通りの機能が実装されたパブリックベータ版が広く公開されていました。しかし、現在私たちの手元にあるのは、どう見ても「作りかけ」としか思えないTechnical Preview版。1月下旬に公開されて以来、細かい不具合の修正こそいくつかあったようですが、OSとしての完成度には全く進展がありません。
一つ確信が持てるのは、現時点でベータ版すら提供されていない「パーソナルアシスタント」・Cortana(こるたな)の日本語版は、製品版のデビューに間に合わないだろう…ということ。Windowsでは、画面上に表示されるテキストについては多国語版を同時に開発しているらしいのですが、音声認識が肝になるというこの機能には、どうしても言語の壁が立ちはだかるはずです。
最も恐れているのは、Cortanaに限らず、この「出来損ない」の状態のままでWindows 10が製品版として登場してしまうことです。あらゆるサイズのデバイスで共通のプラットフォームにしたい…というWindows 10の思想自体は、実現できるのなら理想的だと思うのですが、中途半端な状態で出てきては、Windows VistaやWindows 8のように「失敗作」の烙印を押されかねません。ただでさえ他のOSに存在を脅かされつつある状況で、これは致命的です。
時間的に間に合う方法があるとすれば、夏のギリギリまで開発・熟成を進め、プリインストールされた商品を送り出す前にネットワーク経由でのアップデートを始めてしまうことでしょうか。これなら、モノを用意する必要がないので、それほど手間がかかりません。また、既存のWindows 7/8.1ユーザーの移行を早められるかも知れません。すでにこれらのユーザーには無償で提供することが決まっているわけですしね。
現在プレビュー版を使っているユーザーに対しても、「8月xx日から順次製品版に置き換わります」…なんて言えるのならカッコいいんですが、そこまでMicrosoft社が腹をくくってくれるのか。それは非常に困難な気がしますが…まあ、しばらくは様子を見ましょう。とりあえずは、できるだけ早く新しいビルドを一般公開して、私たちを少しは安心させてほしいものです。
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