Windows 10 Technical Previewの最新ビルド・Build 10049の提供が始まりました。今回も、前回のBuild 10041と同様に、プレビュービルドのインストール方法を「速い」と選択している場合にのみ、Windows Updateから提供されています。Build 10041から2週間後という短期間での更新で、ビルドナンバーはたったの8しか進んでいませんが、今回のビルドには非常に大きなトピックがあります。Webブラウザーの「Project Spartan(すぱるたん)」が、初めて導入されたんです。

これまで、Windows標準のWebブラウザーと言えば、もちろんInternet Explorer(IE)…ということになるわけですが、IEはWindows 95時代にデビューしてから約20年間、バージョンアップを繰り返しながらも同じブランドで使われ続け、気がつけばメジャーなブラウザーたちの中では最古参になりました。ネームバリューは随一となったわけですが、一方で業界標準から外れた独自仕様が問題視されることが増えていきました。

そのIEからブランドを一新するとされるProject Spartan(この名称は開発コードで、正式名称は未定です)は、IEの抱えてきた様々なしがらみを脱ぎ去って、Mozilla FirefoxやGoogle Chromeと同様に最新のWeb標準に則る「モダンブラウザ」になると聞いています。しかし、それはIEの「個性」であったモノをきっぱり捨て去り、より激しい競争の中に自ら漕ぎ出すことでもあります。そこでいったい何をウリにするつもりなのか…非常に興味のあるところです。


Windows 10 Technical Preview(Build 10049)のデスクトップ Build 10049へのWindows Updateが完了すると、タスクバーには水色のタイルに地球儀を模した絵の描かれたアイコンがピン留めされます。これがProject Spartanです。Windowsストアアプリとして提供されていて、非常にシンプルなUIのデザインが印象的です。コンテンツの表示エリアが広いのがいいですね。

タブレットモード、縦表示画面表示については、FirefoxやChromeとほぼ同じ、標準に則った表示ができているようです。SSK Worldでも、レイアウトの崩れ等はありません。高解像度画面のCF-RZ4で起動すると、フォントの表示もスムーズになります。MacのSafariと比べるとまだまだかな?と思うわけですが、これがSpartanの…というよりもWindowsの個性ということなのかも知れません。

Windowsストアアプリということもあり、タブレットモードでの全画面表示、タッチでの操作にきちんと最適化されています。タッチ向けのゆったりした間隔のメニュー、タッチのみでスクロールさせると非常に細いスクロールバーが表示され、マウスポインタを載せるとポイントしやすい太めのスクロールバーが表示される…というのは、Spartanに限らずストアアプリ共通のUIですね。


SpartanのReading View Spartanには、「Reading View」という表示モードが用意されています。Windows 8.1のIE11でも同様のモードがあったそうなんですが、実は全く使ったことがありませんでした。ブログ記事のページのように、メインの「読み物」が1つあるページの場合に、その文章だけをシンプルに抜き出して表示する機能のようです。

ちょうどブログが電子書籍になったような感覚で、読みやすくはなると思うんですが、文章中に貼り付けた画像が全てカットされてしまうのはちょっといただけません。今どき、文字情報だけで全ての情報が完結することはほとんどありません。記事上にあるハイパーリンクはクリックできるように残しているんですから、画像もAlt文字列などを使ってリンクのみを残すとか、もう少し元記事の内容を伝える方法があるのではないでしょうか。

「Make a web note」機能 「Make a Web Note」というタイトルが付いたボタンもあります。このボタンを押すと、Webページ上に手書きのペンやマーカーを書き込んだり、テキストのコメントを貼り付けたりして、お気に入りとして保存したり他のアプリと共有したりすることができる…らしいんですが、共有機能は「共有先が見つからない」エラーになりますし、保存もウマく動作していないようです。まあ、最初のプレビュー版ですから仕方ないところなのかも知れませんが。

面白い機能ではありますが、妙に既視感があります。考えてみると、OneNoteでWebページをクリップして書き込みを加える機能を、Webブラウザー上に焼き直しただけ…といえないこともありません。

音声認識を活用した「パーソナルアシスタント」・Cortana(こるたな)との統合も目玉機能の一つだそうですが、Cortanaの日本語版サービスがまだ稼働していない状況では、評価のしようがありません。音声認識でWeb検索を行うこと自体は、既にAppleやGoogleなどが実用化しているわけですが、Cortanaが彼らとどれだけ差別化されているのかは気になるところです。


先ほどもちょっと触れましたが、今回が広く一般に行き渡る最初のプレビュー版ということもあってか、動作が全体的に不安定です。一部機能が正常に動作していないだけでなく、タブを新しく開いたり切り替えたりするのにとんでもなく待たされることがあったり、タスクバーのアイコンをタップしてもちゃんとフォアグラウンドに出てこなかったり…だいたい、Webブラウジング中にしばしばエラーメッセージを吐くこともなく突然強制終了します。

まあ、製品として出てくるまでにはまだ3ヶ月ほどあるようですし、今の段階で安定性や速度を云々するのはあまりにも時期尚早ですよね。現段階では、「こんなモノにしたいんだなぁ」という雰囲気を感じ取っておくくらいにしましょう。

用意された機能が、実用的な速度で安定して動作してくれるのなら、方向性自体は悪くないと思います。正式版のリリースまでに残された時間も少なくなってきましたが、是非とも快適・快速な次世代ブラウザーに仕上げていただきたいものです。


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