日本プロ野球はペナントレースが終了し、クライマックスシリーズが始まっています。私は野球を見るのも結構好きなんですが、気がつけばSSK Worldでは野球の話題を取り上げることがめっきり減りました。
理由は、ひとえに中日ドラゴンズが近年低迷していることに尽きるかと思います。気がつけば3年連続のBクラス。発表されたときは「予想の斜め上を行く」と評して期待していた落合-谷繁体制でしたが、残念ながら今のところ成果は上がっていない…と言わざるを得ません。
選手兼任で2年間采配を振るってきた谷繁元信監督は、今季限りで選手は引退し、来年からは監督に専念するようです。今シーズンは、野村克也氏の持っていた通算出場試合数の記録こそ更新したものの、実際には故障もあって、それほど試合には出ていませんでした。
毎試合、先発オーダー表に「8番・キャッチャー・オレ」と躊躇なく書き込めるような状況ならともかく、彼に限らず多くのプレイイング・マネージャーが、選手としてのキャリアの終盤に監督を兼任するわけで(戦後間もないころには「新人選手兼監督」なんて変わった経歴の方もいらっしゃったそうですが)、チーム全体に目を配りつつ、だんだん思いどおりにならなくなる自分自身のカラダの調整を進めていくのは、大きな負担になっていたはずです。やっぱり、プレイイング・マネージャーというのは大変で難しいのでしょうね。
采配に集中できる「谷繁専任監督」には大きな期待が集まると共に、もう言い訳の余地がない…というプレッシャーも掛かってくるはずです。大変な状況は改善するどころか、さらに大変になるのでしょうけど、私も来年に期待したいと思います。
谷繁「選手」は、プロ生活27年、44歳の大ベテランということになりますが、今年は他にも40代以上の選手たちが数多く現役を引退します。輝かしい実績を残した選手ばかりですが、個人的に残念なのは、過去に3度もノーヒットノーランや完全試合を達成し損ねている西口文也投手が、43歳にしてついにユニフォームを脱ぐこと。4度目のリベンジを是非見たかったんですが…。
ここで「40代の」ではなく「40代以上の」とあえて書かなくてはならない理由は、もちろんその中にドラゴンズの山本昌投手がいるから。2014年の新語・流行語大賞では「レジェンド」の受賞者として登壇した「投げる伝説」も、さすがに今季限りでユニフォームを脱ぎます。
山本昌投手は、水曜日・10月7日にマツダスタジアムで行われた今季最終戦となる対広島東洋カープ戦で先発。50歳57日で日本プロ野球史上最年長の試合出場記録(先発出場、先発登板も)を更新しました。「打者1人限定」ということで、カープはこの試合の勝敗にクライマックスシリーズの出場が掛かっている中で、引退試合の記念登板なんて失礼だ…という意見もあったようですが、親子ほども年の違う丸佳浩選手と真っ向勝負。高めの変化球でセカンドゴロに打ち取り、公式戦最後のマウンドを降りました。あの不格好な全力投球のフォームも含めて、実に彼らしく、たった3球とはいえ記憶に残る登板でした。
この試合、さすがに広島まで見に行くわけにはいきませんでしたが、スカパー!のお陰で、ハイビジョンの鮮明な画像で生中継を見ることができました。山本昌投手がアメリカ留学で開花し、日本に呼び戻されてリーグ優勝に貢献した頃には、名古屋のAMラジオ局の雑音だらけの中継にかじりついていたことを考えると、隔世の感があります…って、あれはもう30年近く前の大昔(1988年)なんですよね。
昔は40代になってもプレーする野球選手はまれだったんですが、最近は結構よく見かけます。しかも、何とかギリギリしがみついている風ではなく、若手選手と対等以上に競い合っている選手がほとんどです。
トレーニング技術の進歩により、選手たちのカラダが長持ちさせられるようになったり、潜在能力をより引き出せるようになったり…という面はあると思います。しかし、そもそも誰でも簡単に40代を現役で迎えられるわけではありません。そこにたどり着くまでに相当な実績を残していることが最低条件になります。実績が残せなければクビ…が基本の世界ですからね。実際に、今年も、既に20代も含めた多くの選手たちが来季戦力外の通告を受け、引退を選んだり、他球団に活躍の場を探したりしています。
実は、その時点で40代の選手たちは既に選別された存在…というわけで、テクノロジーのちょっとしたアシストでさらに選手生命が伸ばせるのは、当たり前のことなのかも知れません。それは、生まれ持った身体の丈夫さだけではなく、競技生活に向かう姿勢など、精神面の「丈夫さ」も多分に影響していると見て間違いありません。
今年メジャーリーグで15年目のシーズンを終えたイチロー選手も、気がつけばもうすぐ42歳の誕生日を迎えます。すっかり、「超」の付くベテランの領域です。
既に来季もマイアミ・マーリンズでプレイすることが決まっています。来季はメジャーリーグでの通算3,000本安打、その前に日米通算でメジャーリーグの通算最多安打記録(4,256本)を超えることも視野に入ってきます。まあ、通算記録はどこまで行っても参考記録でしかないのですが、来年は、そんな新しい伝説の誕生する瞬間に立ち会えるかも知れません。楽しみにしておきましょう。
一方で、ベテラン選手たちが数多く去る日本プロ野球は、大きく若返り刷新される可能性が出てきます。こちらもまた楽しみですね。
コメントを残す