木曜日・12月24日の夜は、アクトシティ浜松の大ホールに足を運びました。浜松フロイデ合唱団の、ベートーヴェン「第九」演奏会です。
今年は平日の夜、それもクリスマスイブ当日の演奏会ということで、団員の皆さんもお客様がどのくらいいらっしゃるのか不安だったのではないでしょうか。しかし、そこはさすがに30年以上連続で歌い続けている合唱団の、年末恒例の演奏会。隅の方にはやや空席が残っていたのかも知れませんが、ほぼ埋まっている感じではありました。少なくとも、合唱団の皆さんに寂しい思いはさせなかったはずです。
同じ曲を聴いているはずなのに、毎年新しい驚きが発見できるのが、第九の演奏会の面白さなんですが、それでも共通項を見つけられることはあるものです。今年の指揮者は、早稲田大学理工学部卒という異色の経歴を持つ岩村力氏。2009年の演奏会以来、合唱団とは6年ぶりの共演となります。
2009年の演奏会の記事を振り返ると、「力強い表現を前面に出した指揮」と書かれています。今年の演奏も、エネルギッシュな疾走感が楽しい演奏でした。かといって、やたらに速く強い演奏というわけでもなく、決めるところはきっちりと押さえた安定感も印象的でした。楽譜も6年前と同じ新ブライトコプフ版を使われたのだそうですね。もっとも、これには第一楽章が始まって3分ほどで気がつきましたが。6年前に感じた微妙な違和感がよみがえりました。カラダで覚えているものです。
最近は、合唱団の皆さんは第二楽章と第三楽章の間に2~3分ほどかけて入場してくるのが一般的でしたが、今年は第一楽章が始まる前にステージに上がり、ベンチに座って出番を待っていました。私は、第二楽章と第三楽章の間に「間」が不必要に空いてしまっている気がして、例年のスタイルはあまり好きではありません。今回も、ソリストだけは第三楽章前の入場でしたが、間は最小限で済むわけで、これはいい感じでした。
団員の皆さんは、あの特等席で最初から演奏が聴けるんですからうらやましいです。もっとも、ステージの上で2,000人近い聴衆に見られているのは落ち着かないはずですが。私が初めて第九の舞台に立ったときも第一楽章からステージの上にいましたし、よくわかります。
合唱も加わる第四楽章が終わり、「ブラボー!」の声と(ミュージカルの師匠・Jonathanさんよりほんのコンマ数秒タイミングが早かったのが個人的には不満でしたが・笑)万雷の拍手の中、クラシックならではの長~いアンコールタイムが続いたわけですが、この後に第一楽章の初めどころではない強烈な違和感が待っていました。
楽団が退場し始めたのに、指揮者の岩村氏はそのままステージに残っています。そして、彼はおもむろに指揮台隅に置かれたマイクを手に取りました。まさかの指揮者からの挨拶です。夏の浜混の演奏会ならともかく、第九の演奏会で、指揮者に限らず演奏後にステージから誰かのお話が聞ける機会はまずありません。これにはびっくりしましたね。
指揮者という職業からは、何だか堅苦しい人なのかな?というイメージを持たれる方が多いかも知れませんが、私が合唱団時代に見てきた限り、実に気さくな方も多いです。岩村氏は、指揮から受けるイメージそのままの、熱いハートをお持ちの方のようです。やっぱり、この人とは気が合うかも(笑)。
しかも、「今日はたまたまクリスマスイブだから」ということで、マエストロの指揮で合唱団の皆さんがアカペラで「きよしこの夜」を披露。さらに、2コーラス目は客席の私たちも歌に参加することになりました。異例ずくめのアンコールタイムで、なかなか味わえない貴重なクリスマスイブになりましたね。やっぱり、毎年新しい驚きがあります。
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