昨年10月に購入した新しいクルマ・ステップワゴンスパーダ。購入する際に迷ったポイントのひとつが、カーナビ・オーディオ関係はどれを選ぶか?でした。
カーナビ・オーディオ関係の選択肢は、まず大きく分けると純正品か、サードパーティーか…となるかと思います。私にはどちらも使用経験がありますが、それぞれに長所、短所があり、一概に決められないところがあります。
純正品には、インテリアのデザインにピッタリ溶け込んでくれること、他車に流用が利きにくいため盗難されるリスクが小さいこと、費用を自動車本体の分割払いに組み込めるため相対的に支払いの負担を抑えやすいことなどの利点があります。一方のサードパーティー製品は、超高級機から廉価版まで製品の選択肢が広いこと、最新技術が採用されるのが速いこと、同じ車に乗りながらナビだけを容易に交換できること、逆にクルマを乗り換えたときにナビをそのまま引っ越しできることなどが利点です。
今回は、基本的に純正品から選ぼうと考えていました。というのも、ホンダの純正ナビには私が以前から気になっている機能があったからです。
ホンダの純正ナビには、製造工場で組み込まれるメーカーオプション、ディーラーで取り付けられるディーラーオプション共に、「インターナビ」と呼ばれる通信サービス機能が標準で搭載されています。ワイヤレスWANにより、走行中でも常時通信を行えるようになっているため、従来の車載カーナビにはなかった様々な機能が実現されています。
基本的に、ルート探索を行うと、最初は内蔵の地図を用いて標準的なルートが提示されます。しかし、バックグラウンドでは通信回線を繋いでサーバーに照会し、「インターナビルート」の検索も同時に開始します。最新の道路開設情報が反映され、渋滞情報や高速料金等を考慮して、最も合理的なルートが探索されます。渋滞情報は従来のVICS等だけでなく、インターナビが搭載されたクルマたちから現在の走行情報が送られてくる、いわゆる「プローブ交通情報」も使われています。
…と、これらの機能は、実はスマホのカーナビアプリのほとんどでも提供されているものですが、インターナビの場合はそれが車載カーナビ専用機の練られたインターフェースで使えること、そしてスマホアプリよりも歴史が古く、10年以上の膨大なデータの蓄積があることが強みです。毎月延べ4億km以上という膨大な走行データが蓄積されているそうで、到着予想時刻の推定や、急ブレーキが多いポイントの地図上への表示による注意喚起などに使われています。地震等の災害が発生したときには、各車の走行ルートを元に、「走行可能な道路」の情報が提供されることもあります。ビッグデータ活用の走りですね。
専用の通信モジュールを使えば、通信料は無料。もっとも、これは情報を受信するだけではなく、プローブ交通情報の収集によりインターナビにも大きくプラスになる話なので、単なる太っ腹ということではありません。
いろいろ検討した結果、今回はメーカーオプションのナビを選択しました。カーナビとしての基本性能では、ディーラーオプションとの違いはほぼないのですが、メーカーオプションのナビを装着すると、ボディの前後左右に装備されたカメラを使って、クルマを真上から見下ろしたような視点などで位置を確認できる「マルチビューカメラシステム」が使えるのが決め手になりました。大きな車の車両感覚にはかなり慣れているつもりではありますが、それでもこうしたものがあると便利です。
このマルチビューカメラシステムを付けると、「スマートパーキングアシストシステム」なるものも使えるようになります。これは、駐車場の区画線をカメラが認識して、ハンドルを自動的に制御しながらその枠の中に駐車してくれる…というもの。ドライバーは、シフトレバーの切替とアクセル、ブレーキを操作することになります。
試しにこの機能を使って駐車場に止めてみましたが、ブレーキのタイミングが遅れて前に出すぎてしまったり、スピードの出すぎで警告されたりして、結構ぎくしゃくします。自分でハンドルを操作した方がずっと速いです。おそらく、このクルマでこの機能が起動されることはもうないでしょう。
…というのはともかく、インターナビを使ったルート探索なんですが、最初にカーナビ本体のみで探索した標準ルートとはかなり違うルートが提案されてくることがあります。サーバーとのやりとりがある以上、どうしても少し待たされるのはやむを得ないところではありますが、標準ルートを見て走り始めるとインターナビルートが全然違う方向を示す…ということも結構あるので、ちょっとイラッとすることもあります。
ただ、インターナビが提示するルート自体は、それなりに意図が理解できる合理的なルートに見えます。そして、感心するのは、当初に示される到着予想時刻がかなり正確なこと。従来のナビだと、走っているうちに到着予想時刻はかなり変動しているようなんですが、インターナビではほとんど時刻が動きません。所要時間の実績情報の蓄積が生きているのでしょうか。
インターフェースは、基本的にタッチパネルになっているわけですが、フリックやピンチイン・アウトなど、スマートフォンの流儀を取り入れています。直感的に操作できるのは嬉しいですね。ただ、操作に対するレスポンスはイマイチ緩慢で物足りないところです。
インターナビには、「通信カーナビならでは」の面白さもあります。PCやスマートフォンアプリからも、インターナビのサーバーに接続することで情報が利用できるんですね。これについては、語り出すとなかなか大変なことになりそうなので、改めてご紹介しましょう。
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