我が家のクルマ・ステップワゴンスパーダには、「パドルシフト」という装備が付いています。ハンドルの裏側左右にある、手前側に引くことができるレバーがそれです。
そもそも、ステップワゴンの変速機構自体は無段変速のCVTなんですが、パドルシフトを操作することで一時的に7段のマニュアルシフトとして動作します。右のレバー(パドル)を引くとシフトアップ、左のパドルを引くとシフトダウンが可能です。クルマが停止するか、右のパドルを長く引くかすると、制御は無段変速のオートマチックに戻ります。
もともとは、レーシングカーでハンドルから手を離さずにシフトチェンジができるように考えられた仕組みだそうですね。パドルシフトがあることで、オートマチック車でもエンジンブレーキを利かせたり、積極的に省エネ運転をしてみたり…と、ドライバーの意図をクルマに伝えることができます。
先代の我が家のクルマ・デリカD:5にもパドルシフトは装備されていて、伊豆半島の起伏の激しい道路で実に重宝しました。ステップワゴンを購入するときに、スパーダ以上が必須となった重要な選択条件のひとつでもあります。もっとも、エンジンブレーキの効果自体には少々不満もありますが。
実は、同じパドルシフトではあるものの、ステップワゴンスパーダとデリカD:5では、その機械的な構造がちょっと違います。ステップワゴンスパーダでは、ステアリングホイールの裏にパドルが貼り付いていて、ハンドルを切ると一緒に回ります。一方、デリカD:5ではステアリングコラム上からパドルが伸びていて、ハンドルを切っても位置は変わりません。
この配置の差が、操作性に大きな違いをもたらします。ハンドルを切る角度が90度未満の比較的緩いカーブの場合は、ステップワゴンスパーダのようなホイール設置型の方が操作しやすくなります。ハンドルを持ち替えずに回すので、パドルと手の位置関係が変わりませんからね。
一方、ハンドルを持ち替えるほど大きくハンドルを切った場合には、デリカD:5のようなコラム設置型の方がわかりやすくなります。常に右側がシフトアップ、左側がシフトダウンで変わりませんからね。ハンドルが180度回ると、ハンドル設置型の場合は左右のパドルの役割が反転してしまいます。もっとも、ステップワゴンスパーダでは、シフトアップ側のパドルにだけ手探りで判別できるリブを付けているので、慣れればクリアできるかも知れない問題ではあるわけですが。
このあたりは、どちらが優れていると言うことではなく、設計思想の違いと言っても良いでしょう。よりハンドルを大きく切りながら悪路に入っていく可能性が高いデリカD:5がコラム設置型を選択しているのは、理にかなっています。もっと言うなら、それはサーキットでクルマを鍛え続けるホンダと、ラリーへの参戦を積極的に続けてきた三菱自動車の差なのかも知れません。
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