妻のiPhone 8 Plusは、それまでiPhone 6 Plusの回線を契約していたauショップで機種変更の手続きを行ったわけですが、auショップで回線契約関係の手続きをすると、毎回必ず勧められるのが「スマートバリュー」というプログラムの適用。auの指定する固定回線と組み合わせることで、1回線あたり500~2,000円が割引となります。「1回線あたり」なので、複数の携帯回線をauにまとめれば、かなり大きな通信費の削減効果があります。

この「固定回線」には、au自身が提供するFTTH(Fiber To The Home ; 光ファイバーを加入者宅内まで直接引き込むこと)サービスである「auひかり」の他、電力会社系のFTTHサービス、ケーブルテレビが提供するサービス等が含まれます。我が家でもauひかり以外のサービスなら引き込むことが可能ではあるようですが、現在はUSENの店内BGMや店舗用も含めた複数回線のひかり電話など、NTT西日本のフレッツ光ネクストが前提になっているサービスをいくつか利用している関係上、簡単にインターネット回線を切り替えるわけにもいかない事情があります。


Speed Wi-Fi HOME L01

そんな事情は2年前にも店頭で説明したところなんですが、auショップも簡単には引き下がりません。固定回線の代わりに使えるものとして、「Speed Wi-Fi HOME L01」なるデバイスの導入をオススメされました。

これは、基本的には家庭内で無線LANを経由してインターネットを利用するために使う「Wi-Fiルーター」なんですが、最大の特徴は、インターネット側の回線はLANケーブル等を接続するのではなく、UQ WiMAX 2+とau 4G LTEのワイヤレスWANを内蔵していること。引き込み工事などを行わなくても、家庭内に据えて電源コンセントをつなぐだけで、すぐにインターネットが使えるようになります。見方を変えれば、Wi-Fiタブレットやゲーム機等を外出先でインターネットに接続するために使う「モバイルWi-Fiルーター」を、据え置き型の筐体に収めたもの…とも言えます。

WiMAX 2+では「4×4MIMO+キャリアアグリゲーション」の最新規格に対応し、スペック上は下り最大440Mbpsでの通信が可能となっています。スマートバリューの要件とするための固定回線の代替として使う場合は、専用の料金プランが用意されていて、高速通信できるデータ量の月間の上限はありません。

ただし、WiMAX 2+としての仕様で、3日間で10GB以上通信すると、翌日に速度制限を受けるようです。よっぽどのことがなければ制限は受けないのでしょうけど、家に据え置きで使う場合には、Windows 10の新ビルドをダウンロードするような場合など、制限に引っかかることがあるかも知れません。

もちろん、この「端末」自体にも月額利用料金は掛かるわけですが、スマートバリューで各回線が受けられる割引に加えて、店舗で用意している各種割引キャンペーンを組み合わせると、数ヶ月間契約しておいた後で解約しても結果的に安くなってしまう…という仕掛けのようです。auにとっても、回線数が増えることがマーケティング的にメリットになるので、各店舗にご褒美を出しているかも知れません。

もちろん、我が家には既に最大1Gbpsの光回線があるわけで、コレはどう考えても余分な買い物になってしまいます。それでも、どうせ返すにしても、ちょっとお試ししてみるのも悪くないか…と、受け取って帰ってきました。


背面にはUSBと1000BASE-T対応のLAN

シンプルな円柱形の筐体の背面には、USB 2.0コネクタの他、1000BASE-T対応のLANコネクタが2個付いています。ここに有線でパソコン等を接続することで、Speed Wi-Fi HOME L01の通信を利用できます。

背面にSIM差し込み口とSSID等の記載

底面には、Micro SIMの差し込み口がある他、Wi-Fiで接続するときに使うSSID等が記載されています。また、上面にあるNFCでWi-Fiの設定をすることもできるようです。

AC電源に差し込むだけで準備OK

というわけで、AC電源に差し込みさえすれば(電源スイッチはありません)、あとは各端末でWi-Fiの設定をするだけで準備OK。確かに、これならかなりお手軽に利用できます。電波状況がLEDで表示されていますが、これはWeb設定画面から消灯することも可能。意外に小技が効いています。


「下り最大440Mbps」とはいえ、これはあくまでもベストエフォート(努力目標)ということであり、実際のところどのくらいの速度で通信できるのかは気になるところです。ちょっと計測してみることにしました。

計測には、Windows 10のストアアプリ「Network Speed Test」を使い、私のデスクトップPCからの通信速度を計測しました。このくらいの基礎体力があれば、PCの処理速度がボトルネックになることはおそらくありません。

回線/接続方法 下り速度(Mbps) 上り速度(Mbps)
フレッツ光1Gbps/1000BASE-T 221.61 63.72
Speed Wi-Fi HOME L01/1000BASE-T 36.41 7.77
Speed Wi-Fi HOME L01/IEEE802.11ac 25.82 12.70

さすがに自宅の光回線と比べると数値的な速度差はありますが、Speed Wi-Fi HOME L01でも体感レベルでは十分な速度と言えそうです。Web閲覧程度では、全く問題を感じません。オンラインストレージと大量のデータをやりとりするような場面でもなければ大丈夫でしょう。


モバイルルーターだと、バッテリーだけで長時間動作させなくてはなりませんから、省電力制御で速度を落としてみたり、5GHz帯と2.4GHz帯のWi-Fiが同時に使えなかったり…ということがありますが、Speed Wi-Fi HOME L01の場合はAC電源専用ということで妙な手加減はなく、通信は常にフルパワーですし、5GHz帯と2.4GHz帯は同時に利用できます。思っていたよりもがんばるなぁ…と思った要因は、このあたりにあるかも知れません。

現状では、まだ光回線の方が高速ですが、近い将来5Gの無線通信が普及してくると、さらに速度差は詰まってきて、もしかすると逆転するかも知れません。Speed Wi-Fi HOME L01のスタイルは、意外に近未来の家庭用インターネットゲートウェイの一般的な姿を先取りしているのかも。

とはいえ、やっぱり現状の我が家にはコレは要りませんね。数ヶ月経ったところで、auショップさんにお返ししましょうか。



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