9月になると、そろそろ今年のiPhoneがどんなものになるかが気になってきますが、その前に、業界の皆さんにとっては気になる国際展示会がドイツ・ベルリンで開催されます。IFA 2018は、世界最大級と言われる「エレクトロニクスショー」で、今年は8月31日から開催されています。
IFA 2018の開幕に先立ち、Intel社が、モバイル向けの第8世代Coreプロセッサーに新しい製品を追加しました。熱設計電力(TDP)が15WのUシリーズ3種類、そしてTDPが5WのYシリーズも3種類です。それぞれ、コードネームでは「Whiskey Lake」「Amber Lake」と呼ばれてきたものになります。IFA 2018でも、これらを搭載した「薄型・軽量」を謳う新製品が数多くデビューしています。
Whiskey LakeのCPUとしての機能・性能は、基本的には1年前に初めて「第8世代」を名乗って登場した「Kaby Lake Refresh」と同じもののようです。4コア・8スレッド動作は変わらず、製造工程の改善でより高い周波数で動作できるようになったりはしているものの、内部構造が劇的に進化したわけではありません。また、近年のIntel製プロセッサーではCPUと統合されたGPU部分の機能強化がひとつのポイントでしたが、今回はそうでもありません。
Whiskey Lakeの最大の強化ポイントは、PCHと呼ばれる周辺回路を制御する部分です。かつては「チップセット」と呼ばれたもので、最近のモバイル用のプロセッサーでは、同じパッケージ内に統合されています。近年、Intel社は新しい10nmプロセスルールを用いた製品の商品化に苦戦していますが、Whiskey Lakeでは、予定どおり行けばとっくにデビューしているはずだった次世代プロセッサーに統合するために開発していたPCHを、従来のCPUに接続してワンパッケージにする…という方法で、パワーアップにつなげています。一時しのぎの対策ではあるかも知れませんが、意外に効果はあります。
Whiskey LakeのPCHでは、USB 3.1 Gen2が統合され、約10Gbpsの通信に対応できるようになります。Thunderbolt 3まではさすがに統合されませんでしたが、現状ではまだ全てのデバイスに搭載するほど一般化はしていない…という判断なのかも知れません。また、IEEE 802.11acの高速無線LANとBluetoothのコントローラーも統合されました。実装面積の減少によるコンパクト化や省電力に貢献しそうです。
特にノートPCの場合、後から拡張するのが困難ということもあり、PCHの強化は嬉しいポイントになる可能性があると思います。外部とのデータ通信が高速になることで、実際に体感性能の向上に寄与する部分も大きいでしょう。派手ではないかも知れませんが、順当に進化したという印象を受けます。
これまでのYシリーズCore プロセッサーでは、「Core i7-7Y75」のように他の製品たちとちょっと違うモデルナンバー(Core Mが登場したときのルールに基づいています)が付けられていましたが、 Amber Lakeでは「Core i7-8500Y」のように他と命名ルールを揃えられたようです。とはいえ、コア数が増えたわけでもなく、Whiskey LakeのようにPCHに手を入れたわけでもなく、モノとしては基本的に現行のKaby Lake世代のYシリーズCoreプロセッサーと同じようです。
では何が変わったのか?ですが、ポイントはTDPが従来の4.5Wから5Wに上げられていること。製造工程の改善も相まって、動作周波数が目に見えて高くなりました。TDPが1割以上大きくなっているので、従来の製品からそのまま載せ替えて…というのは相当難しそうですが、これならクロックアップ相応の性能向上は実感できるかも知れません。
Whiskey LakeとAmber Lakeのことがずっと気になっているのは、この秋以降に新しいモバイルノートPCを購入したい!と考えているから。IFA 2018でデビューした各社の製品も気にはなりますが、やっぱり一番気になるのはレッツノートの2018年秋冬モデルでこれらのプロセッサーがどのように採用されてくるのかです。特に、いちばん小さいレッツノートであり、おそらく大幅モデルチェンジのタイミングになるCF-RZ6の後継機種がどんな形になるのかに注目しています。
登場した「第8世代Coreプロセッサー」自体は、以前から各方面で噂されていたものとほぼ同じで、残念ながらサプライズはありませんでした。 今回の発表の前に、この後継機種に対する予想と希望についてはまとめてみたわけですが、基本線としては変わらない…ということになります。
RZシリーズのスタイル自体は完成度が高いと思っているので、あのサイズ感・形状の中にWhiskey Lakeを搭載して、Thunderbolt 3などのLV/SVシリーズ仕様を盛り込んだ「CF-RV7」を見てみたい!という期待は強いのですが、Amber Lakeを搭載した「CF-RZ7」的なモノが出てくるのかなぁ…という予感の方が強いです。もちろん、Rの枠を超えた新機軸のとんでもないモノが出てくるのなら、それもまた面白そうではありますが。
ともかく、あと1ヶ月くらいの間には何かがわかるはずです。楽しみに待つことにしましょう。
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