11月13日頃から、Windows 10「October 2018 Update」(バージョン1809)の配信が再開されました。10月に入って早々に最初の配信が始まったものの、不具合が見つかって中止となったまま、10月が終わっても再開されていなかったのですが、これでようやくひと段落ということでしょうか。原因は既に判明していたものの、不具合の内容が「ユーザーファイルの消失」という深刻なものだったこともあり、検証に時間を掛けたようです。
自動配信のペースも、かなりゆっくりに設定されているようですね。もっとも、「Windows 10更新アシスタント」やWebサイトからの強制アップグレードなどを使えば、すぐに適用することも可能です。私は、早々に自分で使っている2台のPCに適用してしまいました。
今回も、いろいろな部分で機能追加、仕様変更などのアップデートがありました。ただ、外観としては、期待している新しいUIデザイン指針「Fluent Design System」の適用は、残念ながらあまり進んでいないような気がします。その代わりと言ってよいのかわかりませんが、今回はアプリモード「黒」への対応が進んでいます。設定自体は、ずいぶん前から存在したんですけどね。
例えば、アプリモードを「黒」に設定すると、ファイルエクスプローラーも黒基調の表示に切り替えられます。従来の白基調の画面だと眩しさを感じていたような方でも、これなら目に優しいかも知れません。黒基調のユーザーインターフェースは、Wear OS by GoogleやmacOSなど、他の環境でも採用されてきていますし、個別のアプリ単位でも黒系統のUIは流行っているような気がします。
とはいえ、これには単なる流行にとどまらない、ハードウェアにとっての明確なメリットもあります。以前からSSK Worldでは何度か触れている話ではありますが、有機ELのようなピクセル単位で発光を制御するデバイスの場合、暗い色を多用した画面は省電力につながりますからね。
一方、均一にバックライトを照射する液晶の場合は、画面に表示する色は消費電力にほぼ影響しないはずです。バックライトの光を遮らない白系統の画面の方が電力をムダにしていない…とは言えそうですが、大画面液晶テレビのようにバックライトの輝度を画面領域別に制御するのでもなければ、明度に拘ってもあまり意味がありません。
残念ながら、PCのディスプレイにするような大画面・高解像度の有機ELの普及はもう少し先になりそうですし、既に有機ELが大活躍しているスマートフォンの世界からはWindows 10は既にフェードアウトしていますから、アプリモード「黒」の優位性はどのくらいあるのか不明です。…あ、HoloLensのような被り物デバイスで有機ELを使えるなら、メリットになりそうですね。
機能面としては、クリップボードが強化されているのが気になるところです。クリップボードの設定に、「クリップボードの履歴」「他デバイスとの同期」の項目が加わりました。
両方の項目を有効にしておくと、「Windowsキー+V」のキー操作で表示されるクリップボード履歴に、他のPCで切り取ったテキストのクリップボード情報も同期され、両方が混在して表示されます。複数のPCを並べて使うようなこともあるワタシの場合、あるととても嬉しい機能ですね。画像やファイルまで同期してくれると、もっと使える場面が増えそうですが、それを実現するのはさすがにいろいろ大変そうです。
テキストだけなら、iOSやAndroidのデバイスともクリップボードが同期できそうな気もするのですが、今のところそこまでは実現していないようです。Microsoft社は、Officeアプリの他にもEdgeブラウザーやAndroid向けのMicrosoft Launcherなどを提供し、これらのデバイスとの連携にも積極的に取り組んでいるようなので、まだ何か進展があるかも知れません。
目に見えないところでもアップデートは行われています。地味なところではありますが、個人的には注目に値すると思っているのが、ワイヤレスWANの制御を行う「モバイルブロードバンドクラスドライバー」が更新されたこと。レッツノート・CF-RZ4に内蔵されているワイヤレスWANにも、バージョン1809へのアップデートを行うことでこのドライバーが自動適用されます。
もともと、Windows 8のあたりから対応が進んでいた部分なのですが、基本が20年以上前のLANアダプター時代のものだったのを、今回一新したのだそうです。ドライバーの信頼性が向上しているとのことで、通信の安定性が高まるのならありがたいことです。もっとも、もともとCF-RZ4のワイヤレスWANは動作が安定していましたし、スリープ状態から復帰させたときにも比較的早く接続が確立されるので、不満はありませんでしたけどね。
とりあえず、このドライバー絡みも含めて、October 2018 Updateの適用が不具合を誘発しているようではないので、ホッとしています。とはいえ、油断は禁物。注意深く様子を見ましょう。
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