新しいレッツノート・CF-SV8を、できるだけ多くの場面で意識して使ってみているわけですが、とにかくストレスのない動作が印象に残ります。操作に対する反応の機敏さでは、CF-RZ4をはるかに上回るどころか、自宅のデスクトップPC・HP Pavilion Wave 600よりも上なのでは?と思うこともあるほどです。
そんなことを思いながら、スペック表を見比べてみると、そもそもCF-SV8の基礎体力はPavilion Wave 600と大差ないどころか、上回っている点すらあることがわかってきます。
Panasonic CF-SV8DSJQP | HP Pavilion Wave 600-a072jp (改造アリ) | |
CPU | Core i7-8565U (4C8T, 1.8-4.6GHz, Cache 8MB) | Core i7-6700T (4C8T, 2.8-3.6GHz, Cache 8MB) |
RAM | LPDDR3-2133 16GB | DDR4-2133 16GB |
SSD | SAMSUNG MZVLB256HAHQ (PM981) (PCIe Gen3x4, 256GB) | SAMSUNG 960 EVO (PCIe Gen3x4, 500GB) |
HDD | – | Seagate ST2000DM001 (SATA/600, 7200rpm, 2TB) |
GPU0 | Intel UHD Graphics 620 | Intel HD Graphics 530 |
GPU1 | – | AMD Radeon R9 m470 (PCIe Gen3x4, 2GB) |
CPUが4コア8スレッド動作なのはどちらも同じ。動作クロックについては、ベース周波数ではCore i7-6700Tの方が1GHz上回るものの、Turbo Boost時の最大周波数では、逆にCore i7-8565Uの方が1GHz上回っています。インタラクティブな作業では、ベース周波数よりもTurbo Boostが高い方が有利な気がします。
RAMについても、規格は異なるものの、2.13GHz動作のデュアルチャネルでアクセスできるので、速度面では同程度の性能が期待できます。SSDについてもNVMeでコントロールされる同じサムスン製の同クラスの製品です。世代はCF-SV8に載っているPM981の方が新しいのですが、960 EVOの頃から既に猛スピードでしたから、果たして差が実感できるかどうか?です。
GPUについては、さすがに別チップが追加搭載されているPavilion Wave 600の方に分があるはずなのですが、これが効いてくるのはゲームなどの3D描画。パワーが要求されない通常の画面描画ではCPUに内蔵されたGPUを使うことになりますが、こちらには大した差はなさそうです。
スペック的に同レベルなら、同じくらい動けるのは当たり前。しかし、実際のところ本当に同じなのか?というのは気になるところです。巷にはたくさんのレビュー記事が溢れ、スペックを突き合わせれば見当は付くわけですが、やっぱり当事者同士を直接対決させて納得しておきたいものです。
こういうときに活躍するのが、同一条件のプログラムを動かして性能を比較するベンチマークソフト…ということになります。SSK Worldでもよく使ってきた往年のベンチマークソフト・CrystalMarkが、一昨年AMDからRyzenプロセッサーが登場したときに、多コア対応の2004R7にバージョンアップされました。今回は、これを使って両者を比べてみることにします。
CrystalMark2004R7
CF-SV8DSJQP | Pavilion Wave 600-a072jp | |
ALU | 89708 | 94484 |
FPU | 73621 | 79076 |
MEM | 73053 | 72223 |
HDD | 61942 | 66737 |
GDI | 18880 | 17582 |
D2D | 5455 | 5484 |
OGL | 11742 | 39978 |
CrystalMark | 334401 | 375564 |
総合得点であるCrystalMarkで約4万点、1割そこそこの差しか付いていません。大きな差が付いているのは、外部GPUが活躍するOpenGLの評価だけ。ALUとFPUはCPUの計算能力に関する部分で、これについてはPavilion Wave 600がややリードしていると言えそうではありますが、それ以外はほぼ同等と言っても良いレベルだと思います。
CF-SV8の場合、やろうと思えばThunderbolt 3を使ってとんでもなくパワフルなGPUを拡張することもできてしまいますから、総合力ではすでにデスクトップ機を上回っていると言っても良いかも知れません。タイヘンな時代になったものです。
SSDの性能比較については、巷で結構使われているCrystalDiskMarkも回してみました。
CrystalDiskMark 6.0.1
(Data Size: 1024MiB、数値単位はMB/s)
CF-SV8DSJQP (PM981,256GB) | Pavilion Wave 600-a072jp (960 EVO,500GB) | |
Sequential Read (Q= 32,T= 1) | 3392.835 | 3079.577 |
Sequential Write (Q= 32,T= 1) | 1494.295 | 1660.073 |
Random Read 4KiB (Q= 8,T= 8) | 647.743 | 1565.707 |
Random Write 4KiB (Q= 8,T= 8) | 348.840 | 1234.470 |
Random Read 4KiB (Q= 32,T= 1) | 285.277 | 507.391 |
Random Write 4KiB (Q= 32,T= 1) | 412.708 | 472.017 |
Random Read 4KiB (Q= 1,T= 1) | 39.452 | 47.914 |
Random Write 4KiB (Q= 1,T= 1) | 106.421 | 200.362 |
シーケンシャルの読み書きは両方とも超高速。ランダムアクセスになるとかなり速度が落ちてくるわけですが、それでも相当に速いレベルだと思います。
ランダムアクセスではPM981の成績が960 EVOよりもかなり落ちているように見えますが、これは単なる性能差ではなく、2倍の容量差が効いていると思います。SSDの場合、大容量になるほど同時に多チャンネルでアクセスして、速度を稼ぎますからね。
本当にデスクトップ機に匹敵するパフォーマンスが発揮できるCF-SV8。速いことはいいことではあるのですが、こうなってくると、デスクトップ機の存在意義は何なのか?という問いが湧き上がってきてしまいます。大画面のディスプレイや高機能なマウス、ゆったりしたレイアウトの10キー付きキーボードなどは優位性とは言えません。CF-SV8につないでしまえば良いわけですからね。
Pavilion Wave 600が明らかに優位に立てるポイントは、3D描画能力の高いGPUと大容量のハードディスクを内蔵していること、あとは置きっぱなしにできるオシャレな外観くらいでしょうか。大画面テレビにつないで、マルチメディアプレーヤー的に使う…という展開もアリかも知れません。
一方で、このパワーがあれば、CF-SV8にCakewalkあたりをインストールして、バスパワーで動くオーディオインターフェースも用意すると、モバイルで音楽制作!というのもできてしまいそうです。ただ、そのためにはSSDの容量がちょっと足りなかったかも知れないなぁ…というのはあるわけですが。
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