2020年になりました。とはいえ、私の周りで何かが新しくなったわけでもなく、相変わらず問題は山積みだったりするわけですが、待っていてどうにかなるわけでもありません。ひとつずつでも、できることを片付けていかなくては。
…と、それはともかくとして。
昨年の(と言ってもつい一昨日の話なのですが)NHK紅白歌合戦は、新しいリビングのテレビから、BS 4K放送で観ていました。4Kらしさを感じられる番組がなかなか出てこない中で、NHK謹製の看板コンテンツならきっと満足できるはず…と思ったわけですが、これがそうでもなかったりします。
2019年の紅白歌合戦のテレビ放送は、地上波のNHK総合とBS 4K、BS 8Kの三つのチャンネルで行われました。同じNHKが同じイベントの中継をしているのだから、基本的に同じ映像が電波に乗ってきているのだと思っていたのですが、実は地上波とBSは別制作になっているのだそうで、画面アングルからして違ったりします。
BS 4K/8K放送では、ホールで観覧している臨場感を体験してもらうことを意図しているのだそうです。音声が4Kで5.1ch、8Kではなんと22.2chというとんでもないチャンネル数のサラウンドで飛んできていることもそのための取組のひとつだと思います。ただ、再生側にそれを再現できるだけの能力がない我が家の場合、残響音ばかりが強く感じてしまい、満足感は今ひとつ。家族には不評でした。テレビ側で音声モードを調整してやることで、ある程度は改善されましたけどね。「音声くっきり」「ミュージック」あたりが有効でした。
それよりも気になったのが、音声が時々途切れるように感じられる部分があったこと。 聞きやすさを考えると、 ステージで演奏が行われているときと、舞台袖のMCを聞かせるときとは、サラウンド音声の構成・設定を変えていくというアプローチがたぶん正解で、仕方ない部分もあります。ただ、演奏中にもときどき同様に途切れる場面があったのはいただけません。もしかすると、この途切れは放送側ではなく我が家の視聴環境側の問題の可能性もありますが。
地上波で出ている歌詞の字幕が、BSでは出てこないのも、あえてそういう形にしたのでしょう。意図はわかるのですが、相変わらず歌詞が聴き取りにくい曲が多い昨今の音楽シーンの中では、ちょっと辛い部分もあったかも知れません。
もうひとつ、画面を見ていて気になったのが、ステージの上で歌手に近寄っていくカメラが画面に映り込む場面が結構多かったこと。おそらく、そのカメラの映像が地上波側では使われていたのでしょう。観客席の感覚を出すために、あえて寄った画像を使わない演出があったのかも知れませんが、プレミアム感を期待してBSにチャンネルを合わせた視聴者にとっては、あまり嬉しくなかったかも。大写しになってこそ4Kのチカラが発揮される…と言う面もあるわけですし。
途中で何度か地上波に切り替えながら観ていたのですが、もうひとつ気付いたのが、地上波ではデータ放送で確認できる曲順情報が、BSでは全く見ることができないこと。曲順そのものは新聞に載ってきたりもするので何とかなるのですが、画面で見られた方が便利です。
一方、地上波では音声が通常のステレオ配信で、以前放送されていた5.1chサラウンドではなくなっています。これも制作側の演出の違いではあるのかも知れませんが、BS 4K/8Kで上位のサービスを提供し、より多くの視聴者を誘導していこうという意図も感じます。
ただ、そうだとすると、地上波でこれまでできていたことがBSではできなくなる…というのは、何とも中途半端に感じます。技術的に難しいことだとも思えないのですが、NHK紅白歌合戦ですらこの調子では、BS 4K/8K放送を普及していこう!という気が業界の皆さんにどのくらいあるのか、首を傾げざるを得ません。
一方で、独自制作の4K映像コンテンツを増やしていったり、テレビ側に自社画質に適合する「NETFLIXモード」を装備させたりしているNETFLIXのような、ネット配信勢力の精力的な動きは目立ちます。私たちは、放送から配信へと、時代が動いていく途上を見ているのかも知れません。
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