…と言っても、もちろん利き手の話ではありません。今さら言うまでもなくそれはヒトの世界では少数派。しかし、日本では明らかに「左優位」となっている世界が、確実にひとつ存在します。今日はこれについての話題です。
クルマにガソリンを入れるときは、基本的にコストコに出掛けます。レギュラーガソリンの1リッターあたりの価格は、周辺ガソリンスタンドの市場価格と比較すると10円くらい安いことが多いです。年間数千キロ以上走る方なら、あのテーマパーク然とした倉庫店に入らなくても、給油するためだけに出掛けるだけで、年会費の元が取れてしまうかも知れません。
コストコ浜松倉庫店(おそらくすべての倉庫店で共通だと思うのですが)の給油所はセルフサービス。一方通行で進入し、一列につき2基の給油機が並んでいるところに、ちょうど高速道路の料金所のように広がって並び、車を横付けしていくことになります。給油機は2基が背中合わせに据え付けられているので、1列おきにクルマの右、左…という形で交互になっています。セルフスタンドとしては、よくあるスタイルですね。
それぞれの列の後ろに、給油を待つクルマの列ができるのですが、給油機の右側にある列の方が明らかに長くなります。我が家の愛車・ステップワゴンスパーダは左後部に給油口がありますから、できることなら給油機の右側に付けたいところなのですが、そのためには長い列に並んで待たなくてはなりません。
給油機はホースが2m以上に長く伸ばせるタイプのモノなので、たいていの場合は給油機の左側に並んで、思いっきりホースを伸ばして給油しています。少々面倒ではありますが、待ち時間は圧倒的に少ないのでストレスは溜まりません。
どうして給油機の右側ばかりが混み合うのか?…これは、給油口が左側にあるクルマの方が巷では多数派だから、ということで間違いないでしょう。しかし、なぜ左側の方が多いのか、それ以前にそもそもどうして右だったり左だったりするのか…と、考えれば考えるほど気になります。まずは、実際に左側の方が多いのかどうかを確認してみたくなり、しばらくの間クルマの後ろ半分ばかりが気になる生活を送っていました。
最初に気付いたのが、国産車は左側が、輸入車は右側が多いようだ…ということ。ただ、すべてに画一的なルールがあるわけでもなさそうです。それでも、メーカーごとのクセがあるようだ、ということは見えてきました。
トヨタ、ホンダ、マツダの車はほとんどが左。スバル車はすべて右。日産は左右どちらもありますが右が優勢なようですね。三菱の車も左右バラバラです…同じ車種でも、年式が変わると右だったり左だったり。軽自動車は各社ともほぼすべて左。EU諸国のメーカー製のクルマはおそらくすべて右。昔のミニクーパー(英国産)は左でしたが、ドイツのBMWが作っている今のMINIは右。…となると、「右側通行の国は右、左側通行の国は左」という流れがあるようにも見えます。
もちろん中には例外もあって、基本が左のトヨタでもランドクルーザーは年式によって右のものがあります。同じトヨタでも86が右なのは、おそらくスバルと一緒に作っているからですね。軽自動車はほぼ左だと思うのですが、スズキのジムニーは右。考えれば考えるほど、決め手が見えなくなってきます。
ネットで情報を収集してみると、給油口の左右について触れた記事はいくつか見つかります。大前提として多くのメディアが触れているのが、給油口はマフラーと反対側にある…ということ。国土交通省の「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」では、「燃料タンクの注油口及びガス抜口は、排気口の開口方向になく、かつ、排気管の開口部から300mm以上離れていること」と決められています。高温の排気ガスが出てくる排気管と、引火しやすい石油を入れる給油口を離した方が望ましいのは当然。左右に振り分ければ確実ですよね。確かに、実際に走っているクルマを見ていると、マフラーと反対側に給油口があるものがほとんどです。
しかし、それならなぜマフラーは右なのか、左なのか?という話になるわけですが、これは、歩行者がいることが想定される路側帯の反対側にマフラーを出す…という思想があったようです。これが「右側通行の国は右、左側通行の国は左」につながると言えます。国によって右側通行か左側通行かは変わりますが、さすがに輸出先に合わせてマフラーと給油口まで設計を変えるクルマはないようです。
左が多い日本車の中では異端と言える右側給油を採用しているスバルでは、「運転席側にある方が便利で安全」ということでこのように作っている…という記事が見つかりました。同じく右側が多いように見える日産でどう考えているのか?がわかる記事は見つかりませんでしたが、もしかすると既に「日本車である」という意識がないのかも知れませんね。グローバルに考えると右側通行が多数派ですし。
昔は、各社ともクルマの構造によって給油口の位置はまちまちだったようですが、利便性や快適性を考えて、設計の側でなるべく統一するように考えるようになったのでしょうね。左右バラバラで作っているメーカーは、それだけクルマ全体としての設計にこだわっている現れなのでしょうか。統一して設計できるだけの技術や余裕がないから…とは考えたくないところですが。
もっとも、すべてが同じ方向に統一できない以上は、できるだけバラバラに分かれていた方が、コストコのようなガソリンスタンドでは列が分散して便利そうです。みんなちがって、みんないい。…違うか。
ちなみに、自分の乗っているクルマの給油口がどちらにあるかは、クルマを降りて見なくても、メーターパネル上の燃料計あたりにある燃料機のアイコンで判別できます。三角の付いている側が、給油口のある側です。結構有名な話なので、皆さんご存じだとは思いますけどね。
このアイコン表示は、セルフスタンドが増えてきた2000年頃から採用が始まったのだそうです。ユーザーの利便性を考えて、誰かが旗振りをしたわけでもなく、各社で共通のアイコンが自然に採用されたようですね。そういうのって、いいなぁ。
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