先日、買いたくても入手が非常に困難になっているアイテムの一つとして、Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ、以下「Switch」)のことを話題にしたところです。その後、状況が変化したとはとても言えないのですが、我が家ではこの週末を1台のSwitchと共に迎えることになりました。とはいえ、実はそれほど頑張ったわけでもないのですが…。
新型コロナウイルス感染症の影響で、中国で生産されていた日本向けのSwitchは生産及び出荷に遅れが生じ、生産状況は改善しているとは言われるものの、相変わらず入手困難な状況が続いています。一時は「希望小売価格」よりもはるかに高い価格で転売されているものばかりだったのですが、最近は複数のオンラインショッピングサイトで抽選販売が行われるなど、正常化の兆しも見えています。
Amazon.co.jpでは、毎週火曜日の午前9時頃にAmazon直売のSwitch本体の在庫が追加され、これについては希望小売価格で買えるようになっています。とはいえ、カートに入れようとしてもボタンがなかなか反応せず、数分経つとまた転売商品だらけの状態に逆戻り…という感じで、これでも入手はやはり困難です。
先日、人間ドックを受けた帰り、近所のショッピングモールのキーテナントで、たまたまおもちゃ売り場の前を通りかかったところ、「Nintendo Switch 在庫ございます」というPOPが上がっているのを目撃しました。そこからしばらくの間の記憶がどうもあやふやなのですが(苦笑)、一緒に来ていた妻と相談した結果、ここで1台購入して帰りました。
「平日の昼下がり、地方都市郊外のスーパーのおもちゃ売り場」というのは、供給量も少ない一方で、買おうと思っている人も少ないことが想定されるわけで、意外な穴場だった…とは言えそうです。ちなみに、店舗のレジ裏に置いてあったSwitchの箱は2つ。そのうちのひとつを我が家で買いましたから、あっという間に売れてしまったのかも知れません。
Nintendo Switchは、その名のとおり任天堂が開発し販売している家庭用ゲーム機です。1983年のファミリーコンピュータ発売以来、「テレビにつないで、様々なゲームを入れ替えて遊べる『家庭用コンピュータ』」としては7代目の製品となりますが、Switchの場合、こうしたカテゴリーの枠にはめるのはちょっと違う、これまでになかった進化を遂げています。
Switchの本体は、6.2型のタッチパネル付き液晶画面を持つタブレットのような形態をしています。これを「Switchドック」というクレードルに差し込んで、テレビ画面を見ながら遊ぶのが基本形で、任天堂ではこれを「TVモード」と呼んでいます。この形態で遊ぶだけなら、他社の家庭用ゲーム機とそう変わりません。それどころか、4K映像出力に対応していない(HDMI出力はフルハイビジョン止まり)など、性能面では劣ります。しかし、それだけで評価できないのが任天堂のゲーム機です。
コントローラーは、「Joy-Con(じょいこん)」と呼ばれる左右の部分(写真の青と赤の部分)を分離することが可能です。Joy-Conには左右それぞれに加速度センサーとジャイロセンサーが内蔵されていて、Joy-Con自体の動きで操作を行うゲームもあります。また、Joy-Con自身を震動させて触感を表現する、いわゆるハプティクスの表現が可能です。iPhoneのホームボタンなどでクリック感を擬似的に認知させているのと同様の技術ですね。
さらには、Joy-Conを本体の左右にある溝に差し込んで固定することで、Switchを携帯型ゲーム機として遊ぶことができます。ゲームがTVモードとこの「携帯モード」の両方に対応していれば、ゲームのプレイ中でも両モード間を自由に行き来して、続きのプレイを楽しむことができてしまいます。
携帯モードのみで遊ぶことのできる廉価版の「Nintendo Switch Lite」も発売されていますが、テレビにつなげないだけでなく、コントローラーが分離できないので、いかにも任天堂らしいと言える「スポーツ・ゲーム」系のゲームには遊べないモノもあります。Liteの方が1万円ほど安いとはいえ、付加価値を考えると無印Switchの方が満足感は高いような気がします。
さらには、本体から2個のJoy-Conを取り外し、それぞれ別のプレイヤーが操作して、一つの本体画面で遊べる「テーブルモード」も備えています。オールドスタイルのゲームを出先で遊ぶときなどに重宝しそうです。
Switchの広告には「いつでも、どこでも、誰とでも」というキャッチコピーがありますが、多彩な動作モードを用意することでこの思想を具現化しようとした、意欲的な製品である…と言えるでしょう。
「いつでも、どこでも、誰とでも」には、もう少し別の意味合いも含まれていると感じます。Switchに限らず、代々任天堂の家庭用ゲーム機を見ていて思うのが、子どもが使うことを徹底的に考えて作られていること。特にインターネットへの接続を前提にした近年のシステムだと、オトナが読んでもちんぷんかんぷん…となりそうなややこしい設定項目がたくさんありますが、さすがに子供たちだけでの設定は難しい(課金に関しては保護者の了解が必要、ということも含めて)としても、かなり噛み砕いたわかりやすい表現になっています。
ハードウェア面でも、子どもが取り扱うことを考慮してか、少々乱暴に扱われても壊れにくい丈夫な構造が随所に見られます。Joy-Conを本体やストラップに取り付ける溝にガッシリした金属製のレールが使われているのは、見た目でもわかりやすいところです。
これは、任天堂がゲーム機を「子どものおもちゃ」と捉えているからではないと思います。むしろ老若男女、情報機器に苦手意識を持っている人たちも含めて、他社のゲーム機よりもはるかに幅広い人たちを対象としているからこそ、こうした造りが必要です。直感的に操作できるコントローラーやタッチパネル画面の設計もそうですね。ゲーム機への敷居を徹底的に下げて、「誰でも遊べる」ようにしようとしています。
任天堂は、19世紀に花札の製造販売を始めたところにルーツを持つ会社で、現在も花札やトランプなどのカードゲームを生産しています。最初はオトナのための遊びに向き合って始まった会社の、すべての人に「遊び」を売ることに対する執念じみたものを感じます。
そもそも、Switchを購入したのは、妻が「あつまれ どうぶつの森」で遊びたい!と言い出したから。早速ダウンロード版を購入して、日々遊んでいます。パッケージ版のソフトだと店頭で入手しにくくなることもありますが、コレなら問題ありません。
私もせっかくなので、妻と一緒に体験中です。このゲームは、1台のSwitchで最大8人のユーザーが遊べるように作られていますが、ゲームの舞台になる「島」は機器1台につき1つ。というわけで、私は妻が作った島に居候させてもらっている…という形です。
「あつ森」は、無人島にやって来たプレーヤーたちが日々を暮らしていくゲーム。最初は自分の家を建て、欲しい道具や家具、衣服などを揃え、さらには開発していくために島の様々な資源(動植物や埋蔵資源など)を収集し、移住者や来客を呼び込んでいく…ということで、「シムシティ」のような都市開発シミュレーションにもつながる面白さがあります。
もっとも、明確な最終目的が設定されているわけではなく、ひとりひとり好きなように楽しめば良いのですが。このユルさも魅力なのでしょう。コレで遊ぶためにSwitchを買いたい人が続出するのはよくわかります。そして、任天堂が史上空前のトンデモナイ決算報告を発表したのもまた然り。STAY HOMEのストレス発散として、ちょうどハマった…ということなのでしょう。
Switch用のゲームには、他にも気になるモノがいくつもあります。全身を動かして遊ぶ「リングフィット アドベンチャー」には興味がありますが、Joy-Conを取り付けるための専用のアタッチメントがセットになっていることもあり、ダウンロードというわけにも行かず、本体並みに入手が困難になっています。アタッチメントは仕様さえわかれば自分で作るので、ソフトはダウンロードさせてもらえば…というわけには、いかないんだろうなぁ(苦笑)。
まあ、当分はSwitchは「あつ森」専用機になるでしょうから、慌てず入手にチャレンジしてみましょう。転売業者から高値で買うのはナシ。彼らの思うつぼです。だいたい、面白いゲームがいくつもあっても、私にはどっぷりハマれる時間はとてもありません。庭いじりもしたいし(笑)。
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