最近のニュースで、ちょっと気になった記事。福井県の(公財)ふくい産業支援センターが運営するポータルサイト「ふくいナビ」で、すべてのプログラム・データが消えてしまった…ということなのですが、その原因が、受託した会社の契約更新手続きのミスで、「貸与期間が終了した」としてクラウドサーバーからすべてのデータが削除されたから…だったそうです。
クラウドサービスは、「お客様」の大事なデータをお預かりしている立場になるわけですが、契約が終了すれば、「他人様」の大事なデータを勝手に持ち続けているわけにも行かなくなるわけで、データが消去されるという手続き自体はやむを得ないのかも知れません。それにしても、Webサイトを閉めるのに伴い契約終了するのならともかく、現にサービスが稼働し続けていたものを、本当にいきなり止めちゃって良いの?というあたりの連絡が関係各者間で確実にできていたのかは、疑問に感じます。
…と、そのあたりの経緯がどうだったのかはともかくとして、私は、クラウドサービスというのは業務用の堅牢性の高い機器で運用され、管理もプロにお任せしているのだから、ヘタに個人でバックアップに汗を流すよりずっと安心…と思っていました。しかし、コレも「契約更新忘れ」というほんのわずかな手違いで前提が簡単に壊れてしまう可能性があることを、改めて認識しました。
契約問題に限らず、サービス提供業者が倒産したり、データセンターで大規模なトラブルが発生したりしたときに、なおクラウドサービスに全幅の信頼を置いて良いのかどうかは、その時の状況次第です。あまり頼りすぎずに、大事なデータは自分でもしっかり守っていくことが重要でしょう。
データのバックアップを行う際に、こうしておくのが望ましい…という考え方を説明する言葉として、「3-2-1ルール」(The 3-2-1 rule)というのがあります。我が家でも使っているバックアップソフト・True Imageを提供しているAcronis社が言い出したもののようで、これは↓
「3」データのコピーは3組以上持つ:もし元データとともにあるバックアップが破損していたとしても、予備のバックアップがあれば、それを使って復元できるかも知れません。以下の「2」「1」の条件が満たせていれば、すべてが同時に破損する確率は非常に低いものです。
「2」保存手段は2種類以上とする:ローカルのハードディスク、光学ディスク、NAS(LAN上のハードディスク)、テープドライブ、クラウドストレージ(その先の保存手段はいろいろ考えられますが)などいろいろな手段がありますね。同じ手段で複数作っておいても、その手段自体が原因でトラブルが発生すると、すべてバックアップが使えなくなる…という可能性があります。
「1」少なくとも1つのバックアップはオフサイト(別の場所に置く)に:どんなに数多くのバックアップが作ってあったとしても、すべてが同じ場所にあると、災害などですべて同時に失われる可能性があります。
という考え方です。説明を読めば納得できるわけですが、これを実践しようとすると、ユーザーは相当頑張らなくてはなりませんでした。しかし、最近は様々な機器やサービスの登場で、ずいぶん敷居が低くなっています。
我が家の場合、パソコン上に保存してあるデータは、基本的にOneDrive上に保存する形にした上で、すべてのファイルはローカル上に常にコピーを置く設定にして運用しています。ネットワークがオンラインになっている限りは、Windowsのシステムが自動的にハードディスク上のデータとクラウド上のデータを同期して、常にバックアップされた状態にしてくれます。OneDriveが、Microsoft 365のサービスとして1TBもの大容量で使えるからこその技ではあります。
さらに、OneDrive上のデータはすべて、自宅のNAS・QNAP TS-431P上にもコピーを保存するようにしています。これも、TS-431Pのシステム・QTSで提供されているHBS(Hybrid Backup Sync)という仕組みを使えば、定期的に、またはリアルタイムの随時更新で同期させることができます。使えるライセンスが2口あるので、私と妻が使っているOneDriveをそれぞれ同期させています。
この結果、
「3」データはデスクトップPC内、OneDrive、NAS上の3箇所(これに加えレッツノート・CF-SV8は一部をキャッシュとして持っている可能性もあり)
「2」保存手段はローカルなハードディスク、NASとクラウドストレージの計3種類(一部はSSD上にも)
「1」OneDriveのクラウド上のデータは「オフサイト」と言える
となり、3-2-1ルールを満たせていることになります。しかも、明示的に自ら行う作業は全く無しで自動的に、しかもほぼリアルタイムで実現できています。
私の管理するデータで、自宅にあるパソコン上にあるデータと共に(いや、それ以上に?)重要なのが、SSK Worldでこれまで蓄積してきたデータ。こちらについては、サーバーを借りているさくらインターネットさんで提供していただいているSnapUPというサービスで、週に1度スナップショットを記録してもらっています。SnapUP自体は、WordPressのようなCMSで作成したサイトのテストが行えるステージング機能を提供するサービスで、一時保存のためのスナップショット機能をバックアップに利用させてもらっている形です。
あとは、サーバー全体のデータにデータベースも加えて、ローカルにダウンロードしておけば3-2-1ルールを満たせるのですが…これは結構アタマとカラダを使わなくては実現できません。とはいえ、過去にはデータベースが吹っ飛んで再構築を余儀なくされた経験もありますし、しっかり対応しておかなくてはなりません。たまには、ちゃんとやるか(汗)。
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