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iPad充電器、最強かも

SSK Worldでは様々なモバイルデバイスのことを記事にしてきましたが、この際に切っても切れないのが充電の話。スマートフォンなどの小型の機器は、USBの給電機能を活用して充電されるのが普通になりましたが、USBはもともとそれほど大容量が供給できる仕様ではありません。

いかにして短時間で満充電まで持っていくのか?という中で、USBの端子やケーブルを活用しつつ、各社がより高電圧・大電流を供給して「急速充電」を実現する製品を投入しています。USB PDという業界標準規格があり、これはパソコンなどのさらに大きな機器にも広がりつつあるわけですが、相変わらず独自の規格も次々に発表されて乱立している…という、何とも困った状況です。


iPhone 8 Plus添付の充電器(左)とiPad(第6世代 ; 2018)の充電器(右)

そんな中で、USBを使った充電向けの拡張規格としては歴史があるのが、iPhoneやiPadの充電器。もともとUSB 2.0までの時代は、標準としては5V×0.5A=2.5Wの電力しか供給できなかったのですが、iPhoneの充電器は5W、さらに大きなデバイスであるiPad用の充電器は10Wもしくは12Wの電力を供給できます。

10W仕様。「Output 5.1V-2.1A」となっています

一昨年我が家で購入したiPad(第6世代)の充電器のスペック記載を見ると、「Output 5.1V – 2.1A」という記載があり、これでほぼ10Wという仕様になっていることがわかります。5Vという電圧はUSB標準と同じですが、2Aは相当な大電流で、接続先の機器を破損させてしまう可能性もあります(現に充電器が壊れることで本体を保護する機器もある)。

ということは、何らかの信号をやりとりして対応できるか判定をする必要があるわけですが、iPhoneやiPadの充電器についてはそんな話を聞いたことがありません。もちろん、各機器専用として提供されている以上、他の機器に使うのは保証外!と言われても仕方ないところです。

とはいえ、iOS/iPadOSの機器とともに、これらの充電器ははおそらく世界一大量に同一仕様のものが流通しているわけで、この「Apple仕様」が事実上の業界標準(いわゆるデファクトスタンダード)になっている面もあります。我が家の愛車・ステップワゴンスパーダにオプションで搭載しているUSB充電ジャックも、「最大2.1A対応」が謳われていて、明らかにiPadに照準を定めています。

ちなみに、iPhoneにiPad用の充電器を接続してみたところ、2A弱の電流が流れて10W近い電力が供給されました。試した機器が比較的最近のiPhoneで、これらはUSB PDにも対応していたりするので、たまたま受け止められるキャパシティがあるだけなのかも知れないのですが。


USBのプラットフォームを活用して急速充電を可能にしている規格としては、USB PDの他にもいくつか存在しています。私の現在使っているスマートフォン・OPPO Reno3 Aでは、Qualcomm社のQuick Charge 2.0が採用されています。その前に使っていたHUAWEI P20 liteにも、独自規格の急速充電器が添付されていました

別の規格に対応した機器同士の組み合わせだと、急速充電が行われないばかりか、全く電力が供給されない例もあります。これでは、せっかく同じUSBの差し込み口があるのに、充電器は別々に用意しなくてはならず、何とも不便なことになっています。

そんな中で、USB PDと同様の規格を使いながらも少々トリッキーな動きをするNintendo Switchと、USB PD機器との相性に難があるReno3 Aで、どちらもiPadの充電器が使えるらしい…との情報を耳にしました。10Wでは、どちらの機器にとってもフルパワーではありませんが、USB標準の電力供給よりはずいぶん大容量で、充電速度も期待できそうです。壊れたら自己責任…ではありますが、ちょっと試してみることにしました。

以前、USB Type-Cに差し込む形の電圧電流計を用意しましたが、今回、iPadの充電器からの出力を計測するために、新しくUSB Type-A端子に差し込むタイプのものを購入してみました。Type-Cのケーブルを差し込める口も付いているので、どちらにも対応できます。数千円の買い物ですから、最初からケチらずにこのくらいのものを購入しておけば良かったですね(汗)。


実際に試してみたところ、Nintendo Switch、Reno3 Aのどちらでも、噂どおりに2A弱の電流が流れ、10W程度での充電ができています。どちらも、もともとそれ以上の電力を受け止める余裕がある機器ですから、これを使って充電しても大丈夫そうな気はしています。もっとも、専用の充電器よりは充電は遅いので、あくまでも「代用品で乗り切る」というレベルですが。

CF-SV8に電力供給 ; 5.06V – 1.835A

調子に乗って、レッツノート・CF-SV8のUSB PD対応Type-C端子にもつないでみました。こちらも10W級の電源供給源として動いています。ただし、CF-SV8の場合はこの出力だとバッテリーの充電はさすがに無理。バッテリーの減りを抑えるための補助電源としては有効そうです。

我が家で動いているUSB給電対応の機器のほとんどで使用可能なiPadの充電器、実は最強かも知れません。いざという時に、コレがあれば何とかなる…という存在にはなってくれそうです。あとは、クルマに搭載されるUSB充電ポートの能力にも、ある程度は期待して良さそうですね。今度乗り換える新車にも、標準で2ポート装備されています。



コメント

“iPad充電器、最強かも” への2件のフィードバック

  1. 電子に溢れのアバター
    電子に溢れ

    USB充電器のアンペア数は、最大出力であり、繋いだ全ての機器に2Aが流れる訳ではありません。

    なので、例えば、iPadの充電器に、ガラケーやワイヤレスイヤホンなどの小さい電力の機器を繋いだとしても、
    その機器が消費する電流以上は流れないので、壊れる心配はありません。

    PCのUSBポートなんかは、たくさんのUSB機器を繋いでも電力不足にならないように、5Aくらい流せるようになっています。

    1. webmasterのアバター
      webmaster

      電子に溢れ さま:
      コメントありがとうございます。
      充電器の規格に書かれているアンペア数はあくまでも最大出力で、接続先の機器の仕様で実際の電流が決まる…というのはよくわかります。ただ、何らかの不具合(内部配線がホコリなどでショートする、とか?)があったときに、機器が想定しているよりも大きな電流が一気に流れ、機器を壊してしまうかも?などと考えると、やっぱり何らかの保護がされていた方が望ましいでしょうから、過不足ない仕様の充電器を使うべきなのだろうな、と思います。
      そもそも、USB PDのように規格に沿った多様な機器に対応していることを謳っているのでもなければ、機器が正式に対応している充電器以外は自己責任!ということになるのでしょうけれど。

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