先週、我が家のクルマを使って、ステップワゴンの純ガソリン車とe:HEV(ハイブリッド車)の間で燃費の比較をしてみたところです。2ヶ月間の合計を比較して、冬場は総合的にe:HEVの方が4割ほど多く走れる…という結論を出したところですが、個々の走行場面に沿ってその内訳を見ていくと、e:HEVの燃料の使い方が、従来のガソリン車とずいぶん違うことが見えてきます。
先週給油記録を参照するために使った、Honda Total Careのスマートフォンアプリには、「ドライブノート」という機能があります。クルマを起動・停止させるごとに、自動的に距離と燃料消費量を記録してくれるものです。最近のアップデートで、開始時と終了時の位置情報も記録されるようになりました。
これを見ていくと、どんな目的で走ったときにどのくらいの燃費になったのか、振り返ることができます。残念ながら過去のクルマの分の記録は保存されていないので、e:HEVでの状況しか見られないのですが、それでもわかることはいろいろあります。
最近20日ほどのドライブノートの記録を元に、走行距離や時間と燃料消費量、燃費との関係を見てみることにしました。走行回数にするとほぼ100回になります。ドライブノートの履歴を遡って逐一チェックしている私を見ながら、妻が怪訝な顔をしていました。別に彼女の行動履歴をチェックしようとしているわけではなく、純粋に燃費が気になるだけなのですが(苦笑)。
出てきた数字を並べてみると、1回当たりの走行距離は1 km未満から100 km近くまで、燃費は5 km/Lそこそこから20 km/Lを大きく超えるところまで…と、実にバリエーションに富んでいました。それでも、グラフに落としてみると、傾向らしきものは見えてきます。
横軸を走行距離を、縦軸を平均燃費として散布図を作ると、走行距離が短いときに平均燃費に大きなバラツキがあり、距離が延びていくと20 km/L前後のところに収束していくように見えます。一見、短距離だと燃費が悪く、長距離になると良くなっていく…という風にも見えて、これは純ガソリン車でも見られることですが、このクルマの場合は低さよりもバラツキが気になります。
特に燃費の落ち込むケースが多い3 km以下の走行に限定していくつか見てみると、その前の走行からの経過時間との間に関連性が見えてきます。3 km以下の短距離で12 km/Lを超える燃費が記録されているのは、前回の走行から1時間以内のところに集中しています。1時間半以上間が空くと、10 km/L以上はほとんどありません。とはいえ、短いインターバルでの走行なら常に燃費が良いわけでもなく、やはり気になるのは数値のバラツキです。
メーターパネルのマルチファンクションディスプレイには、瞬間燃費のバーグラフと平均燃費を表示させておくことができます。これをエネルギーフローの図と切り換えながら見ていると、クルマがどんな動きをしているのか、燃費がどうなっているのかが何となく見えてきます。
クルマを起動して、走り始めてからしばらくの間は、瞬間燃費及び平均燃費は非常に低いレベルで推移します。このとき、エンジンが発電した電気でモーターを回すとともに、車載バッテリーにも充電が行われています。
落ち着いてくると、瞬間燃費計がいちばん右の40 km/Lを振り切る場面が目立ってきます。このときには、エンジンは止まり、バッテリーの電気を使ってモーターを駆動している状態になっています。
時々思い出したようにエンジンが始動し、モーターを回しながらバッテリーに充電する…という状態に戻り、瞬間燃費計が10 km/Lそこそこまで落ち込みます。高速での巡航時にはエンジンが車軸に直結されることもありますが、基本的には上記の二つの状態を行き来して、平均燃費は頻繁に上下しながら、最終的には20 km/Lくらいまで上がっていきます。
ちなみに、平均燃費計は二系統のトリップメーターと連動していて、片方はシステムを起動する度に、もう片方は給油をする度に自動的にリセットするように設定しています。満タン法による燃費計算と見比べると、どうも10~15%くらい平均燃費計の数値の方が良い数字を示しているようです。おサイフ的には満タン法の数値が正解ですから、このあたりは意識して読む必要があります。
こうして観察していると、e:HEVの場合、走行状況と燃料の消費が連動しない場面が非常に多いのが見えてきます。基本的に走行状況に連動した分のガソリンを燃やしている…と考えていい純ガソリン車とは、明らかに別物です。
e:HEVの場合、起動直後はエンジンがバッテリーに充電している状況が続き、本来走行するために必要なエネルギー以上のガソリンが投入されています。もちろんそれはムダなエネルギーではなく、その後の走行のための「貯金」を作りながら走っていることになります。
定常走行の状況でも、ガソリンを走行に必要なエネルギー以上に消費している状態と、全く消費していない状態が交互に繰り返されることになります。瞬間燃費の数値を追いかけてもあまり意味がありませんし、平均燃費が上下するのを見て一喜一憂するのも、これまた意味がありません。どちらも、純ガソリン車ではそれなりに意味のある行動だったのですが…全く勝手が違います。
特に短距離の走行での平均燃費にバラツキが大きいのも、この「上がったり、下がったり」の途中で止まってしまうから…ということなのでしょう。あと、燃費計とエネルギーフローを見ている限り、前回の走行でバッテリーに貯め込んだ「貯金」が、短時間なら次回に持ち越せるようです。ただし、先ほどのドライブノートの内容を見る限り、1時間程度までが限度のようですが。
いずれにしても、動作の状況が頻繁に、しかも自動的に切り替わりながら走っているのは確かです。「ハイブリッド車ならではの省燃費ドライブ」があるのでは?と考え、ブレーキのタイミングなど意識して乗ってみていたのですが、システムの動きをドライバーの制御下に置くのは難しく、全く成果が出せていません。
それどころか、妻が特にそんなことを意識せずに普通に転がしたときの方が、燃費が良い場面が結構あります。下手の考え休むに似たり、か(汗)。スムーズに、安全に運転することを心がけましょう。
コメントを残す