Microsoft社の次世代OS・Windows 11が、いよいよ10月5日から提供開始となります。この日から、巷にはWindows 11がプリインストールされたパソコンが出てくるはずなのですが、ココに照準を合わせた新型機のリリースはほとんど見られません。現在Windows 10機として提供されている製品なら、Windows 11への対応は大丈夫なはずですから、あえてタイミングを合わせなくてもバージョンアップしてもらえば良い…という判断のところが多いのでしょうか。
そのWindows 10からのアップグレードも同日にスタートします。アップグレードは無償で行えるということなのですが、そもそもWindows 11の動作要件が意外に厳しいのが辛いところ。CPUについてはInsider Preview等を通して要件緩和へのテストも行われていたようですが、最終的にはほとんど対象は拡大されませんでした。基本的に、IntelならCore iシリーズ8000番台以降、AMDならRyzen 2000番台以降の世代ということになります。
ASCII.jpに、この線引きにはSpectreやMeltdownへの対応が関連しているのではないか?という記事があります。Spectre(すぺくたー)もMeltdown(めるとだうん)も、2018年に界隈をかなり賑わせたシステム脆弱性ですね。CPUが処理速度を向上するための「アウトオブオーダー実行」「投機的実行」と呼ばれる仕組みを悪用し、データを盗み取れる可能性がある…というものです。
今どきのCPUは、プログラムを先読みして処理の順番を入れ替えたり(アウトオブオーダー実行)、余力のあるときには想定される分岐先の処理をあらかじめ行ったり(投機的実行)することで高速化を図ります。しかし、ときには先読みが外れて、結果的には「要らなかった処理」になる場合もあります。「要らなくなった処理」の結果が覗けてしまう抜け穴がある…というのがこれらの脆弱性の肝で、覗き方の違いで別の名前が付けられています。
CPUという部品そのものが抱えている脆弱性ということで、根本的にはCPUを新しくしないと解消できないのが厄介なところでした。既存のCPUで対策するためには、OS側で該当する機能を使わせないようにしたり、CPUの内部処理用のプログラム(マイクロコード)を書き換えたりする方法がありますが、CPUの本来の能力をフルに発揮できなくなることにつながり、処理能力の低下を招いてしまいます。
CPUのハードウェア側でSpectre/Meltdown対策が行われたタイミングが、ちょうどWindows 11の対応CPUとされている世代と一致します。Windows 11のCPU要件が厳しいのは、SpectreやMeltdownにこれ以上足を引っ張られたくないから…ということなら、確かに線引きの位置やMicrosoft社の対応とのつじつまが合います。そして、緩和されないのも仕方ない気がします。メーカー側としても、新しいPCに乗り換えてもらった方がウレシイでしょうしね。
ともかく、こうしてCPUの動作要件の線引きが改めて決まったことで、一度は公開が停止されていた「PC正常性チェック」アプリが、ふたたび公開されました。
今回の新バージョンでは、Windows 11の動作要件のチェック内容を、項目別に見せてくれます。レッツノート・CF-SV8では、もともとWindows 11の動作要件を満たしていることがわかっていましたが、項目別に必要な最低ラインと現状を対比して確認することができます。
デスクトップ機のHP Pavilion Wave 600では、CPUの世代(6000番台のCore i7)が要件を満たせていないことがわかります。他のすべての要件については問題ないだけに、何とも惜しいところです。
レッツノート・CF-RZ4については…まあ、多くを期待すること自体が間違いだと思っていましたが、やはりCPUの動作周波数0.8 GHzが引っかかっています(涙)。
…というわけで、ワタシの持っているパソコンでは、CF-SV8のみがWindows 11への切符を手に入れられたようです。他の多くのメーカーと同様に、レッツノートのサポートWebサイトでは、Windows 11への対応情報の案内が始まっています。10月中旬から、新しい製品から順番に対応が始まるようです。CPUの線引きからすると、CF-SV7/LV7世代以降が対応できるはずで、レッツノートでもこれに沿った対応が行われることが明らかにされています。
私が使っているCF-SV8については、情報公開予定日が「2021年12月中旬公開予定」となっています。この時期にアップデート自体が降ってくるのかどうかはわかりませんが、ある程度手動でのアップデート適用も可能になるのではないかと思うので、年内にはWindows 11を試せる環境が整いそうです。
Hyper-Vを活用して、仮想マシンの環境にWindows 11のInsider Previewをインストールしてみていましたが、正規のライセンスがないと、すべての機能を体験させてもらえないようです。そもそも、ウィンドウの角が丸まってすらくれません。見た目の「気持ちよさ」がWindows 11の持ち味のひとつのはずなのですが…。仮想環境だと、画面描画が簡略化されるのでしょうか。
SSDの容量ももったいありませんし、このあたりで一度撤退することにします。年内には来るはずの、その日を待ちましょう。
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