この週末は、妻の店が土曜・日曜とイベントに出店していました。イベントに出るのは4月以来半年ぶり。しかも1日ずつ別のイベントに出るというハードなスケジュールでした。店を始めた頃は、多くの方々に覚えていただくために、週末の度にイベントに出掛ける…なんてこともありました。今は、イベントが開かれること自体が貴重な存在になっています。
新型コロナウイルスの感染拡大がちょっと落ち着いた状況にある中で、どちらの会場にも多くのお客様が訪れていました。アレがこのまま終息するとはとても思えないのですが、落ち着いている今のうちに動いておこう!という行動戦略はアリなのかも知れません。
今回も、会場にはキャッシュレス決済関係の資機材をひととおり用意しておきました。クレジットカード決済のSquareは専用のカードリーダーとiPadを使います。いわゆるQRコード決済は、現在PayPay・auPAY・d払いを用意しています。LINE PayはPayPayのQRコードを使えば支払えるようになりました。
この2日間で、私が妻に代わって店番をしている間だけで、合計3人の方がキャッシュレス決済を利用されました。1日のイベントでひとりが使うだけで大騒ぎしていた最初の頃からすると、出番は確実に増えていると思います。
ちなみに、内訳は3件ともPayPayでした。やはり、普及率としては他の手段を圧倒的にリードしているようです。もっとも、この日PayPayの利用が多かったのには、他にも理由があった気がするのですが、その話はもう少し後にしましょう。
10月から、PayPayはこれまで無料にしていた中小店舗向けの決済システム利用料を有料化しました。基本的には売上金額の1.98 %。「PayPayマイストア ライトプラン」という月額1,980 円のサービスに加入すると、1.60 %に割り引かれます。クレジットカードで3%前後、QRコード決済だと2%台後半あたりが相場ですが、これと比べれば、業界最安値と言って間違いないでしょう。
ちなみに、「PayPayマイストア ライトプラン」というのは、PayPayのスマートフォンアプリで「近くのお店」機能を使って検索できる店舗情報のページを、店舗自身がカスタマイズできるサービス。独自のお知らせやロゴ画像などを載せたり、クーポンを発行したりできるようになります。
とはいえ、1,980円の月額利用料で0.38%の手数料の差をペイするためには、単純計算でPayPayの利用額が月々約52万円以上なくてはならないわけで、かなりの売上規模が必要になります(売上総額ではなくてPayPay決済分だけで…ですからね)。ウチのような超零細店舗には縁がないですね。
妻には、「この利用料設定なら、イチキュッパは払わず、1.98 %の利用料で継続するべき」と伝えました。このプランの契約はしていない妻の店の場合でも、カテゴリーや営業時間などの基本的な情報はちゃんと提供されています。それがPayPayアプリに載っている…というだけでも、十分に宣伝効果があると思っています。そのための広告料としてだけ考えても、1.98 %の価値はあるでしょう。
支払い手段を多く確保しておくことで売上機会が増えるメリットを考えても、契約は続けるべきです。それまで使えたものが使えなくなることで不便になる…というイメージダウンは、業種によるかも知れませんが、結構深刻に響くと思います。
11月に入ってから、浜松市では「PayPayで買い物をすると最大30 %分がポイントで戻ってくる」というキャンペーンが実施されています。妻の店も対象店になっているので、今回PayPayでお買い上げいただいた皆さんも、実質3割引相当で商品を購入できています。
もちろん、このときに店に入ってくるのは70 %分の金額ではなく、購入金額100 %まるまる。店が独自に3割引のセールをしようとすると相当タイヘンなことになりますが、店側が全く懐を痛めなくても、PayPayが肩代わりしてバーゲンセールをやってくれるようなものです。1.98 %なんて、それに比べれば微々たるものだと思いませんか?
ちなみにこのキャンペーン、浜松市の市章と家康くんが案内ページに載っていることからもわかるように、浜松市の予算を原資に行われている事業です。PayPayが始まった当初は、ソフトバンクグループ自身が身銭を切って超大盤振る舞いをしていたはずですが、最近はこうしたコラボキャンペーンを結構見かけます。PayPayが、単なる決済手段を超えて、売上還元のためのプラットフォームとして認知されつつあります。こうなってくれば、そう簡単には廃れません。
PayPayの利用料有料化を見越して、競合他社が期間限定の無料キャンペーンを仕掛けています。彼らはおそらく加盟店を増やせると思いますが、PayPayの契約を解除してまで乗り移る…という動きは限定的なものになると思っています。シェアがひっくり返るところまで勢力分布を変えるのは、とても無理でしょう。
有料化がテレビニュースに採り上げられたときには、「有料になるなら止めようかな」という店も取材されていましたが、一方で、業界トップシェアのPayPayのエコシステムに乗っているメリットは、肌で感じている方も多いのではないでしょうか。当初の無茶とも思えるバラマキも、この状況を作るためであったはずで、勝負をかけてココまでやりきったPayPayは、たいしたものです。
ただ、決済そのものを主業として覇権を狙っていたのは、PayPayだけだったような気もします。一時は乱立したQRコード決済のサービスたちも、自社の別の本業の囲い込み用のツール…という位置づけのものが多かったですよね。
PayPayも系列企業の持つリソースは徹底的に活用していると思いますが、そこに留まらない、ユーザー拡大への意欲を強く感じます。ウチの小さな小さな店に営業の方が足を運んでくださるくらいですから、相当本気です。そういう意味では、現状はなるべくしてなった結果なのかも知れません。
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