「A列車で行こう」(Take the ‘A’ Train)といえば、往年のジャズのスタンダードナンバーですが、今回の話題はそことは全くジャンルが異なります。ジャズも好きな音楽のひとつですし、できることなら自分で演奏してもみたいのですが、そちら側に立とうとすると相当ハードルが高く(涙)。
それはともかく、今回の本題。アラフィフにもなって、最近いちばん熱中しているのがNintendo Switchのゲーム…という、社会人としてはいささか問題アリ?の昨今なのですが、先日、ニンテンドーeショップでのダウンロード版ソフトのセール案内を見ていて、気になるモノをひとつ見つけました。
昨年3月に発売になった「A列車で行こう はじまる観光計画」というソフトが、30%OFFの5,374 円(税込)で販売されています。登場したときから気になっていたソフトなのですが、割引販売の対象になったのは今回が初めてになります。
ちなみに、Amazon.co.jpでもパッケージ版だけでなくダウンロード版が購入できるのですが、こちらは6月6日現在で1割引の6,986 円での販売となっています。買うならどう考えてもダウンロード版の方が向いているソフトだ!と思っていたのですが、相当高いお買いもの(計算すればわかる話ですが、定価は7,678 円ですからね)なので、ちょっと手が出ず、今まで来ていました。
「A列車で行こう」シリーズは、鉄道会社の社長になりきって会社を経営するシミュレーションゲーム…というのが、一番簡単な説明ということになると思います。最初の作品が登場したのが1985年ということなので、もう35年以上もの歴史があるブランドです。
最初の2作は、大陸横断鉄道を敷設していくのが目的の、パズル要素もあるゲームだったそうですが、3作目以降はよりフリーハンドに近い状態で、鉄道を基盤にして都市を発展させていくことが目的になりました。私が最初に触れたのは、このスタイルが確立したⅢ、Ⅳあたりからでした。
鉄道会社ですから、もちろん線路を引いて、駅を作って、そこに鉄道を走らせて…というのが基本の仕事。しかし、他にも自社ビルや娯楽施設等の子会社を経営したり、銀行から融資を受けたり、株式売買で利益を上げたりして開発資金を調達し…と、鉄道以外の部分も結構マニアックに作り込まれているのが面白いところです。現実の鉄道会社も、不動産だったり、百貨店やスーパーマーケットだったり、駅の最寄りに大型リゾートを経営していたり…と、多角的に事業を展開していますよね。
多くの人々が暮らすゲーム内の世界をイジりながら変化を楽しむ、いわゆる「箱庭ゲーム」のひとつになるわけですが、このジャンルは海外ではミニスケープ(Miniscape)と呼ばれ、かの「シムシティ」を始め数多くの作品が出ています。「A列車」シリーズのポイントは、日本製ということもあってか、箱庭世界からの反応が日本人の私にとってリアルに感じられるところでしょうか。放っておくと住宅地やビルが無秩序に広がっていってしまうあたり、いかにも日本的(苦笑)。
シリーズはその後、PCや家庭用ゲーム機向けの三次元CG技術の進歩を背景に、よりリアルな鉄道模型のような世界を楽しめる方向に進化しています。また、携帯型ゲーム機や携帯電話等向けにも、気軽に楽しめる形のものが用意されていました。ただ、そこにおカネと時間を投資する余裕がだんだん無くなってきて、しばらくこの手の世界からは離れていました。
「A列車で行こう はじまる観光計画(以下「はじまるA列車」: Twitterなどのハッシュタグとして #はじまるA列車 が使われています)」には、ダウンロードして試せる体験版が用意されています。家庭用ゲーム機でも体験版でお試しができるようになったのは、ホントにありがたい時代になったなぁ…と思いつつ、ちょっと遊んでみることにしました。実は体験してみるのはこれで2回目。発売直後にもちょっと試してみていたのですが、買うのは高いし…と放ってあった、のは別にナイショではありません(笑)。
はじまるA列車の世界は、方眼のマス目の上に高さの概念を持ったモノが配置される構造になっていますが、マス目の対角線方向から見下ろした等角投影法、いわゆる「クォータービュー」で表現されるのが基本です。この状態で線路を引いたり、そこに列車を走らせたり…となります。
クォータービューのレイアウトは、シリーズでは「A列車で行こうⅢ」で採用されたのが最初で、GPUなんて影も形も無かった時代に、限られた計算機資源の中で3次元を感じさせてくれる工夫のひとつだったと思います。キューハチ(NEC PC-9801シリーズ)の画面でこれが動くのを見て、「おお~っ」と唸ったのを思い出します。今のハードウェアはもっと高度な表現ができるのですが、単に懐かしいだけではなく、地物それぞれの位置関係が把握しやすいので、街を開発していくには便利です。
今どきの三次元CGらしく遠近感が表現された「パースビュー」でも街を見渡すことができます。街を運行している電車に乗って、車窓からの景色を楽しむこともできます。画面への描き込みの度合いを細かめに設定すると、Nintendo Switchには少々荷が重いのか、ややもっさりした操作感になりますが、不快なほどではありません。
もちろん操作には左右のJoy-conをフル活用するのですが、画面上に表示されたアイコン類のボタンは、画面タッチで押すことができます。また、ビュー画面をスマホの地図アプリを操作するようにしてタッチパネルで拡大・縮小・回転など動かすこともできます。このあたりを活用できれば、かなり快適な操作ができるのではないでしょうか。
社長(プレーヤー)が操作しなくてはならない要素は非常に多く、ゲーム初心者には相当敷居が高いと思います。それを、Nintendo Switchという「敷居の低さ」では定評のあるハードウェア上で展開するということもあってか、チュートリアル部分が非常に充実しています。使える機能も、説明に応じて少しずつ増やされていきます。それでも、体験版では機能が製品版よりも大幅に限定されているのですが。
説明してくれる登場人物たちが画面に大きく表示され、しかもキャラクターデザインが今までになく「萌える」感じになっているのも目を引きます。昔は硬派なゲームだったのに、こういうのはちょっと…全然嫌いではないぞ(笑)。
損益計算書あたりの説明は、ゲームとはいえ相当本格的に企業会計に則った形で評価され、さすがに難解です。一応「全年齢対象」のゲームですが、もしかするとオトナでも完全に理解するのは厳しいかも知れません。逆に、子供におカネの勉強をさせるには、こういうゲームで遊ばせるのもアリかも。
体験版では、「はじまる観光計画」というシナリオの最初の1年間をプレイできます。「観光客年間20万人以上」「人口2万人以上」というクリア条件が示されますが、ゲームレベルが「やさしい」固定になっていることもあり、ウマくやれば1年以内にクリアも可能です。
鉄道網をきちんと構築すれば、あとは放っておくだけでもドンドン建物が増えて、人もおカネも増えていきます。画面を拡大すると、人々が歩いています。見ているだけでも楽しいですね。このレベルなら、いわゆる「放置ゲー」的楽しみ方もできます。
クリアすると、その時点でプレイは終了となってしまいます。そして、「購入のご検討を!」とばかりに、ニンテンドーeショップに強制連行…となります。体験版ですから、当然そうなるわけですが(笑)。製品版には他にも数多くの個性的なシナリオが用意され、プレイレベルも「標準」「達人」が設定できます。取り組める業務も大幅に多角化します。相当楽しめそうです。
今回の「はじまるA列車」の割引キャンペーンは、明後日・8日の23:59まで。ポチッとするかどうか、まだ迷っております。かなり時間を早送りしているのにもかかわらず、1年間分のプレイに5時間少々かかっているんですよね。購入すると、大量に時間を溶かしてくれそうな予感が(汗)。
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