先日体験版ソフトでご紹介した、「はじまるA列車」ことNintendo Switch用ソフト・「A列車で行こう はじまる観光計画」。結局、割引セール期間終了ギリギリに製品版をダウンロード購入し、日々遊んでいるところです。
Switchを持ち歩いていれば、ちょっとしたすき間時間に、どこでも遊ぶことができます。Switch本体にはφ3.5のヘッドホン端子があるので、人目を気にしさえしなければ、公衆スペースでも効果音込みで楽しめます。リアルタイムに音への反応を要求されるゲームではないので、Bluetoothでワイヤレスイヤホンをつないでも良いのですが、他のデバイスから接続を切り替えるのが意外に面倒なので、結局Switch用には有線のイヤホンを別に用意しています。
体験版では、チュートリアル的な色合いが強いシナリオ・「はじまる観光計画」を1年分だけプレイできました。製品版にもこのシナリオは用意されていますが、体験版でクリアしていればその状態が製品版にも反映され、シナリオは「やさしい」レベルでクリア済となっています。
製品版にはもう1本、「夢と希望の町」というシナリオがチュートリアルとして用意されています。鉄道に加えてバスやトラックの運行、子会社物件の経営、資材の売買に株式運用・銀行からの融資など、封印されていた機能が紹介されていき、ひととおり使えるようになります。これも「やさしい」レベルで始めて、アドバイスに従って開発を進めていけば、それほど問題なくクリアすることができます。
この2本の他に、それぞれ個性的なテーマが設定された7本のシナリオが用意されています。また、シナリオの難易度は「やさしい」「標準」「達人」の3段階があります。チュートリアルの2本をクリアした後、引き続き次のシナリオに「やさしい」レベルで挑むか、「はじまる観光計画」を「標準」レベルでやり直してみるかちょっと迷ったのですが、新しいシナリオ見たさで、次の「通える古都を目指して」を「やさしい」レベルで始めてみました。
「通える古都を目指して」は、歴史的価値のある観光資産が数多くあるにもかかわらず、交通インフラが整備されていないために観光客が呼び込めていない地域が舞台。マップを見渡すと、奈良をイメージしたシナリオのようですね。スタート時点でいちばん大きな町である「奈桜町」はもちろん奈良市。大仏が有名な「陽大寺」は東大寺、飛鳥時代建立の「方星寺」は法隆寺をモチーフにした名前でしょう。前方後円墳らしき島もあります。
北隣の「陽杜」(モデルは京都、でしょう)と西隣の「大阿真」(大阪、だよなぁ)から観光客を大量に呼び込みつつ、宅地開発も進めます。といっても、昭和30年代が舞台のシナリオなので、大規模なマンションを建てるわけにも行きません。電車とバスを併用して交通の便を確保し、住宅が建つのを促していきます。
初期状態の資金はたっぷりあり、鉄道を通せば観光客が大挙して押し寄せてくれるので、思い切って複線で線路を敷き、いきなり大量に電車を走らせても収益が上がっていきます。このシナリオのクリア基準は「住宅経済規模」「年間観光客数」「鉄道総延長」の3つがありますが、線路を複線にすると延長が単線の2倍になることもあり、結構簡単にクリアできました。
「やさしい」レベルの難易度に物足りなさを感じてきた私。今度は、この「通える古都を目指して」に「標準」レベルで挑んでみることにしました。「やさしい」レベルでは、初期の資金が大量にあるほか、様々な変動要素が最強のレベルに固定されています。
これが、「標準」レベルになると初期の資金が半減するほか、様々な要素が変動するようになってきます。交通網の構築に集中できた「やさしい」とは違い、社員や株主に配慮した動きが必要になっていきます。
ちなみに、「達人」レベルはこんな感じ。条件は標準よりさらに厳しく設定されているものの、ゲーム性としては基本的に標準と同じだと思います。シビアな会社経営に胃を痛めるよりは、まちづくりを楽しみたいと思うので、このレベルには手を出さないかも知れません。
「標準」レベルでスタートしてみると、いきなり壁にぶち当たります。資金が大幅に減らされているので、最初から大々的に鉄道建設を進めてしまうと、あっという間に資金が底をつきます。そもそも、120kmという鉄道総延長の目標を達成するためには、この資金だけでは全然足りないことがわかります。
事業で利益を上げて資金を作ろうとしても、それ程利益率は高いわけでもなく、しかも毎年純利益の半分は法人税で持って行かれますから、それだけで資金を確保するのは至難の業です。大量の資金を調達しようとするならば、株式を公開して市中から資金を調達するのが最良の手になります。
株式公開を行うための条件は、まず2年以上連続で黒字決算にすること。最初は堅実におカネを回して、赤字を出さないところでバランスを取らなくてはなりません。損益計算書を見ながら、どこで出入りしているのかを掴みつつ動いていきます。場合によっては、必要なおカネは銀行から借りることも考えなくてはなりません。
もうひとつの条件が、利益剰余金が潤沢にあること。もうちょっと平たく言えば、事業活動で資本より大きな資産を生み出せているかどうかが評価される…というわけですが…全然平たくなってないか(汗)。会社の価値を、投入したお金以上のモノにできているか?という表現もできるでしょうか。A列車株式会社は、毎年株主に配当を出さなくてはなりませんが、それはこの利益剰余金から出すことになります。
最初はあまり考えずに交通網への投資を中心に進めたら、初年度は赤字決算になってしまい、社員の士気が低下。2年目は黒字化できたものの、期限に微妙に資金が足りなくて1円/株の配当を出すこともできず、株主の信頼度はゼロに。3年目の総会では社長退任を迫られるところまで行ってしまいました。その年には十分な配当をお返しできたので、何とか持ち直したのですが。
銀行から融資も受けながら観光地の間をつなぐ鉄道を早めに整備して、複線の線路に特急と各駅停車を走らせながら、3年目までに住宅経済規模と年間観光客数の目標は達していました。しかし、鉄道を敷く資金が底をつき、4年目の夏に何とか株式公開にこぎ着けて資金を調達。銀行にはおカネをちゃんと返し、鉄道を延伸し、期限最終年度で無事シナリオクリアとなりました。
「やさしい」と「標準」の間には相当大きな差があって、標準レベルでも十分シビアなゲームバランスになっていることがわかりました。シミュレーションたるもの、こうでなくては面白くありません。
サラリーマンをやっているとマトモに読むことはほとんど無いであろう財務諸表ですが、ゲームの中とはいえ、初めて真剣に読もうとしています。巷の社長さんたち、タイヘンなんだなぁ(汗)。
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