先日発表された、新しいレッツノート・CF-SR3。先日の記事では「本能的に欲しい!と思える」なんて形容をしたわけですが、それは「よりコンパクトでハイパフォーマンス」や「軽量・長時間・タフ」などとは違うベクトルの魅力を感じ取っている…とも言えます。
CF-RZ4が登場したときにも似たような感情がありましたが、改めて考えてみると、「CF-R1の再来」「最軽量の小さなレッツノートが帰ってきた」など、明確な理由を書き記すことができます。しかし、CF-SR3の場合はそれともちょっと違います。もちろん、機能や性能にも魅力は感じましたが、それよりもむしろ「カッコいいなぁ、コレ」という、非常に漠然とした表現の方が適当な気がします。
Web上でCF-SR3の製品紹介ページを見ると、店頭販売モデル、カスタマイズレッツノート共に、デザインについて紹介する項目が立ち上げられています。これまでも、天板をキャンバスにしてアート作品風にした限定モデルや、ソフトカバーを一体にして販売したCF-J9のような例はありましたが、モデルとして筐体デザイン自体をアピールポイントにしているのは、私の記憶の中にはありません。
CF-R1以来20年間続いてきた明るいシルバーに代わり、ずいぶん落ち着いた色調の新色・カームグレイが基本色として採用されました。この色に合わせるキーボードやホイールパッドのリングは、さらに暗いグレイ系です。液晶ディスプレイの周囲は黒く、画面が広く感じると共に、このエリアに配されているカメラやマイク等が目立たなくなっています。ホイールパッド以外には曲線や曲面が少なく、全体的にスッキリした印象を受けるデザインで、製品ページでは「ノイズレスデザイン」と表現されています。必要な機能構成要素以外の存在感を極力排した、いわゆるミニマルデザインにも通じる考え方ですね。
これまで、レッツノートにおけるデザインは、「軽量・タフ性能のための/ボンネット構造の天板」「縁をなぞってスクロール操作が行える/ホイールパッド」など、機能や性能を実現するためにデザインがある…というアプローチのものでした。結果的に、それが目立つデザイン上のポイントになり、レッツノートのアイデンティティになっていた面もあると思いますが、往々にして「質実剛健」「武骨」などのキーワードで語られ、「オシャレ」「カッコいい」等のイメージとはあまり縁がありません。
ところが、今回は、ノイズレスデザインを実現するために、天板のボンネット構造の凹凸を薄くする代わりに裏側にリブを入れたり、天板のアンテナを仕込んだ樹脂部分(全体はマグネシウム合金ですね)の継ぎ目が見えないようにしたり…という、構造上の工夫が取り入れられています。これまでと全く逆です。もちろん、見た目を追求するあまり本来の機能・性能に妥協しているわけではありませんから、出来上がるモノは「カッコいいレッツノート」になっています。
CF-SR3の外形サイズ(幅 273.2 mm×奥行 208.9 mm×高さ 19.9 mm)はCF-QV1(幅 273.0 mm×奥行 209.2 mm×高さ 18.7 mm)とほぼ同じで、画面周りが真っ黒なのも同じですが、両者の画像を見て受ける印象はずいぶん違います。暗い色調のCF-SR3の方が小さく締まって見える部分はあるのかもしれませんが、それだけではなく、ノイズレスデザインの概念が実際に製品として形にできているということでしょう。
もっとも、QVの筐体は実物を見ているものの、SRの方はまだですから、感想は来月以降に店頭展示を見てから、改めてまとめてみようかと思っています。カームグレイの色調だって、現物を見てみないことにはわかりませんからね。何となく、往年の名機・CF-S21の落ち着いたシルバーの天板色を思い出したのですが…。
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