土曜日・3日は、「ハママツの第九演奏会」を聴くために、アクトシティ浜松の大ホールに足を運びました。NPO法人浜松フロイデ合唱団が40年以上前から続けている、ベートーヴェン交響曲第9番「合唱付き」、いわゆる「第九」の演奏会です。年末の浜松の風物詩のひとつ…と言っても良い存在だと思っています。元団員の贔屓なのかも知れませんけどね。
年末に第九を聴きに出かけたのは、2019年の「アクトシティ浜松開館25周年記念」演奏会以来。翌2020年は、コロナ禍のあおりを受けて演奏会が中止になりました。2021年には演奏会は再開していたのですが、我が家では鑑賞は見送ることにしました。3年ぶりにホールで聴く第九ということになります。
第九の演奏会を話題にする度に、同じ演目のように見えても毎年違う楽しみがあることを主張し続けています。しかし、一方で感じるのは、半世紀前から市民合唱団として自主運営で演奏会を開き続けている、浜松フロイデ合唱団の一本筋の通った矜持です。
今年のオーケストラは富士山静岡交響楽団。2019年の演奏会で「オール浜松」の第九を実現した浜松フィルハーモニー管弦楽団が、2020年に静岡交響楽団と「合体」して生まれた楽団です。あのとき以外は基本的に関東や関西の楽団と組んできた合唱団が今年改めて、そして主催としては初めて、地元の楽団を第九のパートナーに選んだことになります。
来年の演奏会も、この新生「静響」とのタッグになることが決まっているそうです。今後がどうなるか?まではわからないのでしょうけれど、以前から伺っていた「いつかはオール浜松で第九の演奏会を」という夢に向かって、大きな一歩になっていると思います。
その楽団と合唱団を指揮するのは大井剛史氏。合唱団とは6年ぶりの共演になります。その6年前の演奏を、私は「全力疾走する」と表現したのですが、今回も相当に高速の合唱を聴かせていただきました。特に男声合唱あたりからの速さは尋常ではありません。よく知っているベーレンライター版のアレです。
ただ、それは単に速いだけではなく、強弱のメリハリが利いた、聴いていて楽しい演奏でした。…いや、聴いていただけではなく、合唱の皆さんと一緒に歌いながら(さすがに声帯を震わせるわけにはいかず口パクですが)、カラダを揺らしながら、第四楽章をステージの皆さんと一緒に過ごした感覚がありました。コレがあるからライブは好きです。クラシックらしい楽しみ方ではないかも知れませんけどね。
第三楽章と第四楽章の間で合唱団が入場したのも、6年前と同じでした。私は第三楽章からほとんど間を開けずに第四楽章に入る方が好きなのですが、今回は6年前ほどの違和感はありませんでした。入場がスムーズに行われ、そこから時間を空けずに第四楽章に入れたからかも知れません。合唱団は演奏会当日に入場の練習もしているはずで、そこがしっかりハマったのでしょうか。
実は、今回の演奏会は最初にちょっとした違和感に襲われてのスタートとなりました。楽団がステージに入ってくると、最初にするのが各楽器のチューニングを合わせる作業ですが、このときの音が標準音(A=440 Hz)よりもずいぶん高かったんです。もしかすると半音くらいは高かったかも。もっとも、これは先月にヤバいクスリの副作用で絶対音感をかき乱されたせいで、ちょっと神経質になっていただけかも知れませんが。
管弦楽が華やかな雰囲気作りなどのためにチューニングを意図的に高めに設定すること自体はよくありますが、それにしても今回はかなり攻めているな…と感じました。チューニングの設定はもちろん楽団と指揮者の間で打ち合わせて決めるはずで、あるいは曲の速さと音の高さの関連ということもあるのでしょうか。
ただ、普段はピアノの伴奏で練習している合唱団の方々は、このオケのチューニングへの対応にはちょっと苦労したのかも知れません。もともと、どのパートも限界に近い高音で歌っている部分がありますからね。例年どおり「大丈夫かな?」とドキドキするシーンもありましたが、そこは気持ちよいライブ感で乗り切ってくれたと思います。ブラボー!
コメントを残す