新しいスマートフォン・AQUOS sense7の画面には、シャープが「IGZO OLED」と呼ぶ自社生産の有機EL(OLED)ディスプレイが使われています。そもそもIGZO(いぐぞー)とはインジウム (Indium)、ガリウム (Gallium)、亜鉛 (Zinc)、酸素 (Oxygen)の4つの元素の頭文字を取った言葉で、これらから作られた酸化物半導体のことです。シャープがスマートフォン向けの液晶ディスプレイに世界で初めてIGZOを使い、当時は省電力・高精細の「IGZO液晶」として大々的に宣伝されました。
ディスプレイ方式が液晶からOLEDに変わっても、「より高精細で省電力のディスプレイが作れる」というIGZOの利点はそのまま生きています。というよりも、OLEDの世界ではIGZOはコレがなくては作れない!という材料らしく、例えば大画面テレビに広く使われているLG製のOLEDパネルもIGZOを使っているそうですね。わざわざシャープが「IGZO」をアピールするのは変な話のような気もしますが、嘘をついているわけではありませんし、マーケティングとしてはそれもアリかもしれません。
IGZO液晶にしても、その後iPhoneやiPad、Nintendo Switchなどに採用されて活躍の場は広がっているのですが、シャープ以外はIGZOを特別にアピールしません。ちなみに、シャープは「IGZO」の商標も取得したのですが、「IGZOは原材料の名称なので商標には使えない」ということで後から取り消され、これを不服としたシャープが裁判を起こした…なんてひと悶着もありました。文字としてのIGZOは結局商標として認められませんでしたが、カタカナ表示の「イグゾー」や図形デザイン等の商標は残ったそうです。
…という昔話はともかく、OLEDの利点を生かしたスマートフォンの機能として、スリープ時にも画面上に時計や一部の通知情報などを表示しておく「常時表示」があります。同様にOLEDディスプレイを採用していたReno3 Aにはこの機能があり、懐中時計的に愛用していました。
AQUOS sense7には、残念ながら常時表示の機能はありませんが、ほぼそれに近い状況を作れるような機能は一応用意されています。ただ、設定によって挙動が変わるので、ちょっとわかりにくいんですよね。
AQUOS sense7には、常時表示のニーズに応えられそうな設定が2項目あります。「設定」→「ディスプレイ」→「ロック画面」と開いていくと、「時計と情報を表示」・「タップで時計を表示」の2つの項目が並んでいるのがわかります。
「時計と情報を表示」をONにすると、画面が消灯しても、左上の方に時刻や通知アイコン等の情報が表示され続けます。真っ黒な画面に青白い文字だけが表示され、最低限の電力消費で間に合うようになっています。Amazon Musicで演奏されている曲名や、次のアラーム設定時刻なども表示してくれます。いちばん下にはバッテリー残量も表示され、充電時には速度も含めて表示されます。
表示が続くのは、マニュアルでは「一定時間」と説明されていますが、時間を調整する設定項目はありません。実際に測ってみたところ、30分間ほど点灯状態が続いた後で消灯しました。こまめに手に取って使うような人なら、常時点灯に近い感覚かも知れません。Reno3 Aの常時表示よりは少し明るめで、文字が読みやすいです。
一方、「タップで時計を表示」をONにすると、画面消灯中に画面をタップしたときに、同様に真っ黒な画面に最低限の情報が表示されます。レイアウトはほぼ同じなのですが、よく見るとデジタル時計のフォントの太さが微妙に違う気がします。表示される輝度もずいぶん暗く、Reno3 Aの常時点灯よりもさらに暗い感じ。表示は5秒ほどで消灯します。
両方の機能をONにすることもできます。このときは、「時計と情報を表示」で常時表示が行われている状態で画面をタップすると、「タップで時計を表示」のやや暗い常時表示に画面が切り替わります。そして、5秒ほど過ぎると1回消灯してからふたたび表示された…のかと思ったのですが、よく見るといちばん下のバッテリー残量の下に出ていた線が消えています。どうも、「時計と情報を表示」と同じ表示画面で、輝度が下がった状況に移行しているようです。もしかすると、フォントの太さが変わったように見えたのは、輝度が異なるからかも。
これらの機能を使えば、常時表示に求めている機能をほぼ満たせる状況は実現できそうです。ただ、両方の機能を有効にしたときに表示の輝度が変化するのは、使っていてちょっと気になりますね。もしかすると、今後のソフトウェアアップデートで修正されるような問題かも知れません。
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