CF-SV8の内蔵SSDを交換したことで、1 TB近くの大容量が使い放題になりました。容量が逼迫していたためにこれまで我慢してきたアプリなどを、少しずつデスクトップPCから引っ越し始めています。近年は、スマホ用アプリと同様にオンライン認証が要求されるアプリが増えているので、移行は意外に面倒です。一方で、環境設定などはオンラインのアカウントに保存されているので再設定の必要がないなど、メリットもあるのですが。
2025年1月に予定されているWindows 10のサポート終了までは、デスクトップPCも使えば良いのでしょうけれど、パフォーマンスにほとんど差がないことを考えると、2台を同時に運用するのは効率的ではありません。Windows 10環境の検証用くらいしか意味がないかな?と思っています。
SSDを交換したということで、やっぱり気になるのがパフォーマンスの変化。一般的には、SSDは容量が増えると同時にアクセスするチャンネル数を増やす設計になっていて、コレによって高速化を図っている製品が多いですね。定番の CrystalDiskMark を使って比較してみました。
交換前のSamsung PM981の時点で、シーケンシャル読み込み (SEQ1M Q8T1) の最高速はPCIe Gen3x4での上限近くに達していましたから、これ以上高速にはなりようがありません。一方で、上限値に張り付いていなかった項目については、全般的にずいぶん向上しているのがわかります。
CrystalDiskMarkには、デフォルトの計測設定の他に、NVMe SSD用の計測設定が用意されています。今回は、両方を使って測定してみています。デフォルト設定だと、RND4K Q32T1のWrite(書き込み)でSK hynix GOLD P31の方が下回っていますが、NVMe設定の場合は全ての項目でSK hynix GOLD P31の方が上回る結果となりました。特に多くのランダムアクセスを同時にさばく (RND4K Q32T16) 速度が速くなったことは、Windowsのシステムを動かす上で有利なのではないかと思います。
…と、ここまでは景気のいい話だったのですが、実はひとつ重要なポイントを飛ばした上で話をしています。SK hynix GOLD P31の計測結果は、 BitLocker を無効にしたままで計測しているのです。一方で、PM981の計測結果は、BitLocker を無効にする前の段階で測ったもの。これでは不公平なのでは?という話になります。
そもそも、BitLocker はデバイス全体を暗号化することでセキュリティーを高める仕組みなのですが、当然データを読み書きする際には暗号化・復号化の処理が必要で、その分パフォーマンスを落とす要因になり得ます。SSDの中には、BitLocker の暗号化をハードウェア処理でこなせる「OPAL」という規格に沿った製品があり、これを使えばパフォーマンスの低下は起こらない…と考えても良さそうです。
PM981は、スペックシートをWebで探すとOPAL対応のようです。一方、GOLD P31は非対応。暗号化関係はソフトウェアで捌かなくてはならないので、BitLocker を有効にするとパフォーマンスの低下が見られるはずです。そうした意味では、先の比較は「素の性能」を見るという意味ではそれほど無茶なものでもなかった…とは言えなくもありません。
今どきの CPU には BitLocker に使われる「AES」という暗号化方式で処理を行う専用の命令が組み込まれているので、ソフトウェア処理でもそれほど重くはないのでは?という話もあります。実際に BitLocker の暗号化処理がどのくらい影響するのか、比べてみましょう。
最高の数値を叩き出すシーケンシャルアクセスの「SEQ1M Q8T1」については、2~3%くらいの性能低下になっているようです。ランダムアクセスでは影響はこれよりもずっと大きく、半分からそれ以下の速度になってしまう項目もありました。ただ、PM981の計測結果(BitLocker 有効時)と比べてみると、同等以上の結果を残した…とは言えそうです。
そもそも、BitLocker を使う目的がセキュリティーの向上であることを考えれば、パフォーマンスに致命的な問題が生まれるのでもなければ多少の速度低下程度は許容しなくてはならない…と考えています。これなら、BitLocker によるシステム保護は有効にしておくべきでしょうね。
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