「次のSIM探し」シリーズの続き。前回は、「mineoも意外にイイかも」という前振りだけして終わりました。mineo(まいねお)は、NTTドコモ・au・ソフトバンクの回線どれを選んでも同一金額でほぼ同一のサービスが受けられる…という貴重なMVNOですが、サービス内容自体にも、単なる「格安SIM」とはちょっと違った、面白いプランやオプションがいろいろあります。
音声通話に照準を絞って、最低限の金額で回線を維持できる「マイそくスーパーライト」もそのひとつ。mineoには、他社でよくある「○○GBまで高速通信できて○○円」という形のプランである「マイピタ」に加えて、「最大○○Mbpsになるけど使い放題で○○円」という「マイそく」プランが用意されています。
「マイそくスタンダード」は、最大通信速度が1.5 Mbpsに制限される代わりに通信し放題。しかも月額たったの990 円(税込、以下同様)です。1.5 Mbpsなら、スマートフォン上から利用するサービスのほとんどが、さほどストレスを感じずに利用できます。例えばAmazon Music UnlimitedのHD音質も1.5Mbps程度を想定しています。ハイレゾ音楽再生にこだわらなければ十分…といえます。どうせクルマではハイレゾで聴けませんしね。
ただ、マイそくシリーズは全てそうなのですが、平日昼休みの1時間は、マイそくスーパーライトと同じ32 kbpsに速度が制限されます。これはスマートフォンで使うネットサービスとしてはさすがに遅すぎます。使い放題にさせてもらうための条件であることは理解できるのですが…。
マイそく向けには、povo2.0と同じように24時間データ通信を高速で使い放題になるオプションが、198 円で提供されています(こちらはきっかり24時間のようですが)。昼休みの速度制限もこれで回避できるのですが、さすがに毎日使うわけには行きません。マイそくは、昼休みにWi-Fiが利用できる環境にあるなど、ニーズが合致した上で、制限を理解して割り切れる人向けのプランと言えそうです。
「マイピタ」の方は、OCNモバイルONEやIIJmioと比べるとパケット単価は割高な印象を受けるのですが、こちらにもちょっと面白いオプションがあります。「パケット放題Plus」というオプションを付けると、高速通信を使い切った後の通信速度が、通常ならOCNモバイルONEと同じ200 kbpsとなるところを、マイそくスタンダードと同じ1.5 Mbpsまで引き上げることができます。
パケット放題Plusは月々385円ですが、10 GB(1,958 円)以上のマイピタには無料で付けられます。高速通信をON/OFFできること、マイそくのような昼休みの速度制限がないことも考えると、こちらがマッチする可能性もありそうです。いずれにしても、クルマで音楽を聞くために切替作業が発生する面倒は受け入れなくてはならないのですが…。
ちなみに、マイピタでは、使い切れなかった高速通信量を翌月に誰とでも共有できる…という実にユル~い形で、通信量のシェアが可能です。ただ、回線単価がかなり割高なので、mineoと3回線契約するのはちょっとナシかな、と思うところです。マイそくにしてもマイピタにしても、使うならAQUOS sense7の主回線(回線1)向けで、それ以外はpovo2.0にしてしまうのが良さそうです。
他にも、MVNO事業者の中にはなかなか面白い付加サービスを付けているところがあります。例えばソニー系のNURO(にゅーろ)モバイルもそのひとつ。「NEOプラン」は月々20 GBで2,699 円と、ahamoよりちょっと安いくらいの金額ですが、何と上りの通信はカウントしない「あげ放題」となっています。撮った写真や動画をオンラインにアップロードするにはウレシイサービスです。
他にも、LINE/X(旧Twitter)/Instagram/TikTokの通信はカウントしないようになっていたり、3ヶ月ごとに「2ヶ月繰越可能な15 GB」がプレゼントされて実質月々25GB相当になったり…と、とことん通信を使いまくりたい用途には面白い要素が満載です。MNP乗り換えで12ヶ月間1,980 円になるキャンペーンを実施中のようですね。これなら相当お得そうです。
y.u mobile(わいゆーもばいる)は、USENとヤマダ電機のコラボで生まれたMVNOです。「シングル U-NEXT」プランは月々10 GBで2,970 円ですが、これにはUSENの動画等配信サービス「U-NEXT」の利用権(⽉額2,189 円)が含まれていますから、実質「781 円で10 GB」とも言えます。有料配信コンテンツ用に毎月付与される1,200ポイントを追加の10 GBに引き換えて、合計20 GBにすることも可能です。
さらに、通信量は翌月だけでなく有効期限無しで繰越が可能(ただし合計100 GBまで)。中身を見ていくと、U-NEXTをがっつり使っていくならば、相当太っ腹でお得なサービスになっていると言えます。U-NEXTで見たい有料コンテンツはいくつかある(他のサービスでも見られたりしますが)ので、5Gには非対応のようですが、これは面白いかも知れません。これでスマホへの動画配信がカウントフリーになっていれば完璧なんだけどなぁ…って、それは贅沢の言い過ぎか。
MVNOではありませんが、楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」だって、「3,000円で高速データ通信使い放題」が売りのサービスです。楽天サービスエリア内なら、ツボにはまれば圧倒的に快適である可能性があるのですが、パートナーエリアは要するに「ちょっと出来の悪いau」。使用感としてはpovo2.0を下回りそうです。
エリアマップを見ても、私の行動圏内のほとんどで楽天モバイルの5Gの電波は拾えません。いちばん使えてもよさそうな気がする浜松駅前、静岡駅前の繁華街にもぽっかりと穴があります。LTEのエリアマップも、Rakuten最強プランの登場と共に自社エリアとパートナーエリアを区別しなくなってしまったのは不誠実だと感じます。両者の間には明らかに通信品質の差があるはずなのに…。この調子だと、本当に色を塗られた場所でちゃんと使えるのか?も疑いたくなります。
そもそも、楽天モバイルについては事業継続性が最大の不安要素かも知れません。通信事業が経営の足を引っ張り続けている状況で、ある日突然「や~めたっ。Aさんに売ります」とかなりかねない危うさがあります。またすぐに乗り換えるのはイヤですし…。
こうしていろいろ考えてはみるわけですが、どのSIMを選んでも、現状と比べると月々の費用負担はどうしても膨らんでしまいそうです。また、何かしらの不自由や不便も生まれそうです。あとは、プラスの価値となる面をどう評価していくかなのですが…。
OCNモバイルONEがサービス縮小に向かい、例えば通信速度が極端に落ちるなどしない限りは、当面はそのまま行くことになりそうです。もっとも、競争が激しい業界ではあるので、いつどんな新サービス、新プランが登場するかわかりません。情報収集は引き続きアンテナを高く張っていきたいところです。
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