年明け早々に、「今年買うなら、やっぱりAI PCだよなぁ」という話題を出したことがありました。春くらいまでにはそれなりに商品が出揃ってくるのではないかな?と思っていたのですが、予想よりはちょっとペースが鈍い感があります。まあ、それでも比較対象を並べられるくらいの状況にはなりました。
我らがレッツノートは、予想していたとおり CF-FV5 の最上位モデルにのみCore Ultra 7 165H vProを搭載してきました。それも、いわゆる「冬春モデル」のタイミングではなく、3月後半になってからの発表。プレミアムエディションだから、やっぱりvPro Enterpriseに対応しておかなくちゃなぁ…ということで、対応プロセッサーが用意できるこのタイミングになったのかも知れません。
Core UltraならではのNPUを使ったAI活用機能は、Web会議周りを中心にキッチリ載せてきているようです。ただ、おそらくバッテリー消費は少なくなっていると思うのですが、やっていること自体は以前のモデルからあまり変わっていないように感じます。変わったところでは、Webカメラのフレームレートを下げることでバッテリーライフを伸ばす設定も可能です。確かにWeb会議であまり滑らかな動画は要らない気がしますが、昔からこういう小細工は得意なんだよなぁ、この人たちは(苦笑)。
見た目はこれまでのFVシリーズそのもの。バッテリーライフはCF-FV4よりちょっと伸びているようですが、ライバルたちと見比べてもあまり差を感じない現状は変わっていません。そして、374,000 円(10%税込)からというお高い価格設定も従来と全く同じ。それこそ宝くじでも当たらないことには手が出せません。人にオススメするのもだんだん辛くなってきました。おカネが有り余ってる方は、どうぞ。良いモノではあります。
…というわけで、やっぱり「レッツノート以外の何か」を考えざるを得ないわけですが、特に13~14型クラスのディスプレイを装備した大画面モバイルは、幸いなことに結構選択肢が増えています。
レノボのThinkPad X1 Carbon は、つい先日発表された第12世代モデルで、Core Ultraを搭載するようになりました。天板が丸みを帯び、Webカメラ部分が出っ張った新デザインになりました。クリックボタンのない感圧式タッチパッドが選択できるなど、操作性の側でも新機軸が盛り込まれています。それでも、レッツノート同様、あまり冒険はない安心できるアップデートとは言えそうです。OLEDの高解像度ディスプレイや5G/LTEのワイヤレスWANなどがBTOで選べるのも良いですね。
お値段も、Web直販の標準価格では30万円台中盤からと、レッツノートと大差ないレベル。しかし、レノボの場合はもう少し待てばとんでもないディスカウントセールをぶち上げてくれるはずです。まだ現物を見ていないので、ThinkPadクオリティーがどのくらい保たれているか心配もありますが、期待しましょう。
HPの Spectre x360 14-eu は、360度開くタッチパネルのOLED画面を持つ2in1で、デザインにも高級感があります。既に20万円台半ばのセール価格で販売されているのはお得感がありますが、約1.44 kgという重量は、「モバイル」を名乗るにはアウトのような気がします。
DELLの Inspiron 13 も、既にCore Ultraを選べます。こちらは10万円台で手に入るモデルもありますが、やはりちょっと重めなのは気になるところ。そして、RAMが16GBしか選べないのも物足りないところです。NPUを使って、ローカルでいろいろなAI処理をするようになると、RAMはいくらあっても足りなくなるような気がします。最低でも、32 GBくらいは載せたいですね。同社のXPSなら選べる構成になってくるのですが、今度はお値段の方が…(涙)。
dynabook R9/X は、1.0 kg台の結構軽い筐体で、見た目にはあまりクセのないデザインは、安心感こそあるものの、新世代のPCとしてはちょっと寂しい気もします。バッテリーがユーザーで交換できる「CHANGER」でも、早く新世代の製品を出してくれないかなぁ…あちらの方が軽量だし。
結構面白いと思って見ているのが、台湾メーカーの製品。かつて自作PC用のパーツのメーカーとして認知していた彼らですが、今はなかなか尖ったノートPCを売っています。
ASUS Zenbook 14 OLED (UX3405) は、Core Ultra 9 185Hを載せた最上級モデルでも20万円を切る安さが魅力。その名のとおり14型サイズの3K解像度、高輝度・広色域のOLED画面を装備して、RAMは最速のLPDDR5X-7467で32 GB、SSDは1 TBでこの価格ですからね。レッツノートを買う予算があれば、2台買ってもお釣りが来ます。15mmを切る薄さも大したもので、Zenシリーズらしいシンプルかつ凝ったデザインは好みです。ただ、1.2 kgはちょっと重いかも。
MSI Prestige 13 AI Evo A1M は、ひとまわり小さい13.3型画面ではあるものの、こちらも3K解像度のOLEDを載せた上で、1 kgを切る薄型・軽量の筐体が魅力です。最上位モデルは20万円台前半と、Zenbook 14 OLEDよりちょっと高めですが、指紋認証やMicroSDカードスロットなど、こちらにしか載っていない装備もありますし、何より小さくて軽いことは優位性です。そこはかとなくゲーミングノートっぽさを醸し出しているデザインは、ちょっとアレかな。
どちらも、日本語キーボードのレイアウトにどうもイマイチ感があるのがマイナスポイントですが、安く売ってくれるのですから贅沢も言っていられません。案外、このあたりを選ぶ可能性はアリだと思います。
AI PCを名乗れるのは、何もIntel Core Ultraシリーズ搭載PCだけではありません。例えばAMDのRyzenシリーズでも、NPUを搭載したものは既に市販されていて、結構巷に出ていたりします。
AMDのWebサイトで一覧が紹介されていますが、どうもRyzen搭載モデルは各社のラインナップとしてCore Ultra搭載モデルよりも下位にランク付けされているように見えて仕方ありません。演算能力はともかく、特に筐体のデザインに「超軽量」とか「超薄型」とかの尖ったモノが少ないような気がします。
QualcommのSnapdragonシリーズを載せたWindows機も、NPUの性能という意味では非常に面白い存在だと思っているのですが、これがなかなか普及への道を走り出せません。ワイヤレスWANは当然のように内蔵されるでしょうし、消費電力でも有利そうです。まあ、あえて人柱になる意味は、現時点ではあまりないかな。ソフトウェアの互換性を考えると、あまりにもリスキーな気がします。
ひとつ気になっているのが、まだ富士通のFMVからCore Ultraを搭載した製品が登場していないこと。今まさに身を削って軽量化に邁進しているはずのFMV LIFEBOOK UHは、今どうしているのでしょうか。
「世界最軽量」を誇りとしているLIFEBOOK UH-XにCore Ultraが載るときには、今回の記事に登場したどの機種よりもはるかに軽いものになっているのは間違いないだろう…と思っています。よりハイパフォーマンスの姉妹機も出てくるはずで、それは1kgを大幅に下回る、十分「モバイル」できる軽量な製品になっているでしょう。キーボードもしっかり作り込まれるはずです。
それを見届けるまでは、新しいモバイルノートPCを選ぶわけにはいきませんね。まあ、買うためのおカネもないのですが(汗)。
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