4月25日から、povo2.0に新しい2種類のトッピングの提供が始まりました。どちらも価格は同じ9,834 円(10 %税込、以下同様)で、それぞれ「300 GBを90 日間」と「データ使い放題7 日間×12 回」という内容になっています。povo2.0アプリで詳細な内容を見てみたところ、どちらにも期間限定の記載が見当たらないので、どうやらレギュラーのトッピングとして追加されたようです。

もともと、povo2.0のトッピングは、他社のプランとビジネスモデルが全く異なるので、比較するのが非常に面倒です。しかし、よくよく内容を見ていくと、明確に対抗する相手を見据えた、しかも非常に攻撃的な価格設定のトッピングになっていることがわかります。もうすこし、噛み砕いてみましょう。


まずは「300 GB・90 日間・9,834 円」から。3で割ると「100 GB・30 日間・3,278円」になります。1ヶ月あたり100 GBのデータ通信をパッケージしたプランと言えば、真っ先に思いつくのは同じキャリア謹製ネット専業プランの「ahamo大盛り」。ahamoには「5 分以内の音声通話かけ放題」が含まれるので、povo2.0の方に550 円の同等トッピングを載せて比較すると、ahamoの 4,950 円に対してpovo2.0が 3,828 円となり、povo2.0の方が2割強安いことになります。

とはいえ、povo2.0が本当に意識したのは、今月から始まった「ahamoポイ活プラン」の方でしょう。こちらは、100 GBのデータ通信付きで7,150円となるものの、d払いの付与ポイント数が通常よりも上乗せされるようになり、最大で4,000ポイント(税抜き4,000 円)分をもらえます。現在、上乗せ分が+10%となるキャンペーン中(期間未定)なので、月々40,000 円以上をd払いに集約できれば、月額2,750 円相当で「ahamo大盛り」が使えることになります。

povo2.0の今回のトッピングでは、さすがにahamoポイ活プランの最大限度の割引相当額には及びませんが、スタート時点の価格としては圧倒的に割安。もともとpovo2.0には「物販をセットにしたトッピング」がありますから、これを使って割安感を稼いでいくことになるのでしょうか。auはローソンを傘下に収めることになりましたから、今後はさらに物販との連携が増えそうです。

ちょっとウマく行ってないな…と思えば、提供内容を柔軟に変えながら進めるのも、毎回売り切りになるトッピングの強みでしょう。古いプランのユーザーに個別に対応し続けなくてはならない他社との大きな違いです。それにしても、NTTドコモさんは、OCNモバイルONEを今後どうやって巻き取るつもりなんだろう?私はできる限り最後まで踏みとどまるつもりなのですが。


「データ使い放題7 日間×12 回」の方は、計算すると「データ使い放題84 日間」。とはいえ、既にある「24時間データ使い放題」は、実際にはほぼまるまる2日使えましたから、ウマくやれば最大で「データ使い放題96 日間」相当に使える可能性があります。

配布されるプリペイドコードの利用期限は160 日ということなので、約半年の期間中に、半分以上は使い放題にできることになります。そして、これを立て続けに使い続けることにすれば、最安で30 日あたり3,073 円(キッチリ84 日間で計算すれば30 日あたり3,512 円)でいつでも使い放題…という環境を作れることになります。

こうなってくると、楽天モバイルの顔色がちょっと変わるかも知れません。彼らのサービスは、基本線が「3,278 円で使い放題」。ほぼ同レベルの価格設定で、au回線を実質的に常時使い放題にできるサービスが登場したわけです。楽天モバイルとしては、自社の電波につながりさえすれば他社回線に品質では負けない!と考えているでしょう。その評価が間違っているとは思いませんが、残念ながら自社回線につながらなければauの劣化版。総合的に見れば、auの方が快適と感じる人はかなりいると思います。

こちらの場合も、サブ回線向けの低容量・長期間トッピングや、物販トッピングによるショートリリーフを組み合わせながら行けば、十分楽天モバイル以上のお得感が出せると思います。なかなか面白い商品です。


povo2.0については、最近ではもうひとつ「データ専用回線の提供」も面白い攻めの一手だと感じています。eSIM専用のサービスで、本人確認書類の厳格な確認が要らないこともあり、「その場で回線契約、すぐ使用開始」というレベルの手軽さが実現できています。音声通話やSMSは使えませんが、トッピングでデータ容量を追加していくところは全く同じです。

楽天モバイルも、「音声通話できない以外はほぼ同じ」のデータ専用回線の提供を始めています。携帯電話が犯罪に悪用される現状への対応で、本人確認が厳しくなったわけですが、個人ユーザーからすれば「音声通話なんて要らないじゃん。LINEあれば話せるし~」という状況ですし、これはこれでアリかもしれません。まあ、法規制に対する抜け道ということにもなるわけで、喜んでいいことばかりではないのですが。

ただ、ちょっと残念なのは、iOSとAndroid以外の環境への対応がまだ弱いこと。私のように、モバイルノートPCにワイヤレスWANの通信モジュールを内蔵しているユーザーにとっても、「使うときだけトッピングする」というpovo2.0は実に相性が良いと思うのですが、回線開設時にはSMSの受信できる端末が必要になりますし、トッピングは現状ではスマホアプリからしか行えません。ひとつのアプリから複数回線に対応することも、相変わらず不可です。

このあたりが改善されれば、実は意外に少ない「5Gにも対応しているデータ専用回線」として爆発的にヒットする可能性もあると思うんですが…今後に期待しましょう。



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