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いいハコなんだけどなぁ。

「いいハコ(1185)作ろう」と言えば、「鎌倉幕府」と続くわけですが、私たちが学校で歴史を習っていたころには、「いい国(1192)作ろう」と覚えていたものです。個人的には未だに違和感が消えないのですが、最近の研究の成果で私たちが「歴史上の事実」だと思っていたことが結構ひっくり返っていて、あまり驚いたりこだわったりしない方がよいのかも知れません。

ただ、この「いいハコ」にしても、源頼朝が鎌倉を拠点として構築した、武家による全国支配体制(当時は「幕府」とも呼ばれなかったとか)がどの時点で成立したと見るか?の差で、どれが正しいとも言いにくい部分があるようです。まあ、1,000年近く前の話が7年ずれたところで、誤差の範囲のような気もします。

…と言うのはともかく、11月になって、いよいよ2024年も終わりに向かいつつあるわけですが、今日は10月末に発表されたちょっと「いいハコ」の話をしようかと思います。


10月31日に、VAIO株式会社(以降VAIO(株))が新しいモバイルノートPC・VAIO SX14-Rを発表しました。同日から予約を開始したとのことで、既に直販サイトで注文できるようになっています。

かつてはソニーのPCのブランドとして知られていたVAIOですが、ソニーがPC部門を切り離してVAIO(株)が独立してから、今年で10周年を迎えたのだそうです。VAIOはSSK Worldにもちょくちょく顔を出すブランドなのですが、ソニー時代には数々の尖ったコンセプトの小型・軽量PCを世に送り出し、VAIO(株)になってからは、質実剛健のモバイルノートPCを作るメーカーとして、企業向けの事業を広げながら地歩を固めてきた印象があります。

最近では、世界最軽量の14型モバイルディスプレイで、同梱のカバーを折りたたむと画面を開いたノートPCの上に(!)セットできるスタンドになる…というVAIO Vision+ 14が登場するなど、ソニー時代のような「尖りっぷり」も取り戻してきた感があります。エッジの効いたカッコいいデザインのハコの中に、モバイルでしっかり仕事ができる力を秘めた「ホンモノ」を作り続けています。


そんなVAIO(株)が、現時点でのモバイル向けの最上位モデルとして投入したのがこのVAIO SX14-R。もともとラインナップにはSX14というモデルがあるわけですが、「コレの改良版」では全然説明になっていないくらい、別物の新モデルになっています。

筐体は、天板と底面が新設計の「熱可塑性カーボンプレート」製ということで、14型で従来よりやや縦長の16:10液晶画面を装備しながら、最軽量モデルは1 kgを下回ります。天板のヒンジ側の縁が折り曲げられたような形状になっているのは、2021年に発表されたフラグシップ機・VAIO Zを彷彿とさせ、わかるファンはニヤリとしそうです。MIL-STD-810H対応の耐久性能も、最近は多くの製品が対応するようになってきたところで、モバイル向けなら押さえておきたいポイントだと思います。ヘアラインの入ったアルミ製のパームレストなど、どこを見ても高級感のあるデザインです。

インターフェースはThunderbolt 4×2、USB Type-A×2、HDMI、有線LAN、φ3.5のヘッドセット端子といったところ。Thunderbolt 4が左右両サイドにあるのはポイントが高いですね。ディスプレイ接続も、電源供給も、左右どちらからでもできることになり、ヒモの引き回しの自由度が上がります。

驚いたのが、製品イメージの本体色が緑色の「ディープエメラルド」という選択。ロゴなどのアクセント色はゴールドが組み合わされています。画像しか見ていないので、実物を見るとどんな印象なのかはわからないのですが、PCの本体色としてはまず思いつかない色合いで、かなり攻めている感じがします。個人的には、ちょっと持ってみたいかも?と思わせる色です。


購入時のカスタマイズ項目がかなり幅広いのもVAIOの特徴の一つですが、このSX14-Rも発売当初から様々な仕様を選べます。液晶画面は最大で2,560×1,600ピクセルのものが選べ、タッチパネル仕様もあります。ワイヤレスWANも5GとLTEのどちらを内蔵させるかを選択できます。

ただ、最上級モデルということもあり、価格層は相当高めです。最小構成で259,800 円(10%税込)からとなり、欲しい装備をあれこれと拾っていくと、40万円超えになってしまいます。まあ、今どきは他社製品でもこのクラスになると似たような価格帯になってしまうので、仕方ないのでしょうけれど。

それよりもただひとつ、実に惜しいと感じるのが、搭載されるSoCがIntel Core Ultra シリーズ1である…ということ。これではCopilot+ PCにはなれません。NPUは搭載されているので、AI機能が使えないわけではないはずなのですが、Microsoft社が「今後のWindowsでは差別化するよ」と宣言しているわけで、大きなマイナスポイントになります。何十万円もする商品を買うときに、間もなく時代遅れにさせられることが確定している製品を、わざわざ選ぼうというほど自分の状況は恵まれていません。ハコとしては魅力的なんだけどなぁ…。

とはいえ、とりあえず今使える製品としては、良くデキたモノであるとはいえそうです。ライバルになりそうなのは、同じIntel Core Ultra シリーズ1を積んでリニューアルしたばかりのFMV LIFEBOOK UHシリーズでしょうか。軽さ至上主義で行くならFMV、ハコの高級感にこだわりたければVAIOということで、どちらも納得のいく体験はできそうです。



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