dynabook XP9 CHANGERの話の中でちょっと触れた「auの面白い発表」の話も、ついでにしておきましょう。1月21日に、KDDIが法人向けに新しいサービスを発表しました。PC等の通信機器で、auの通信が一定期間料金を払わずに使い放題にできる「ConnectIN」(こねくてぃん)です。
購入したPCには、すでにau回線に接続できる設定まで済んだワイヤレスWANが内蔵されていて、ユーザーが箱を開けて電源を入れた直後から、もうauの回線がつながりっぱなし…ということになります。もちろんauはタダで自社の回線を開放するわけではなく、PC等の端末価格の中にあらかじめ通信料も含んだ形で販売してもらう仕掛けです。dynabookも第一弾として同社のX83 CHANGERに4年分の通信を組み込んで提供します。
以前から、HPのモバイルノートPCでは「HP eSIM Connect」という同様のサービスが展開されていました。これが好評だったらしく、他社向けにも解放していくことになったようですね。
この話を聞いたとき、真っ先に思い出したのが、長年携帯電話の業界で行われていた「0円ケータイ」。「端末は(ほぼ)無料であげるけど、そのかわりウチの回線を2年間契約してね」という「2年縛り」とのセットで、実質的には月々の通信料の中に端末代金が転嫁されていたのではないか?というものでした。ConnectINがやっていることの構造は、これとは全く逆です。
結局のところは、必要なお金をどんな形で、いつ払うのか?というだけの話。一括払いのモノの側に寄せるか、月額のサブスクの方に寄せるかということですね。大金を簡単に用意できない個人ユーザーには、サブスクとの相性が良かったのでしょうし、企業ユーザーにとっては、モノを買うだけで取引が終わり、その後通信費の管理が延々と続かないのはメリットになるかも知れません。
企業向けに限った話ではなく、個人向けのモバイルノートPCでも、ワイヤレスWANを内蔵させると、月々必要になる通信料をどうするか?は結構悩ましい問題になります。「本体を買ったら○年間は使い放題だよ」と言ってもらえるのは、結構魅力的かも知れません。あとはお値段次第、ではありますけどね。
ConnectINそのものの話以外にちょっと気になったのが、21日のKDDIのサービス発表会の中で、個人ユーザー向けの同様のサービス提供についても言及があったこと。その中で、個人向けには「povoを組み込むのもアリではないか」という発言があったようです。
基本料金が0円で、使いたい通信の分だけトッピングするpovo2.0は、「ときどきしか使わず、使うときには大量に高速で通信したい可能性がある」というPC内蔵のワイヤレスWANに使うにも、非常に相性の良い仕組みだと思います。実際に私も導入を検討したことがありますが、povo2.0のサービスは、1回線にID(メールアドレス)が一つ必要な上に、各回線が自分のスマホ上のアプリでトッピングを管理する設計になっていて、PCで使うのは非常に面倒なことが判明し、導入は断念しました。
今回、KDDIが検討していることを公にしたということは、PC向けにも使いやすいサービス体系が整備されていく可能性があります。「PC向けのデータ通信用povo」の登場には期待して良いかも知れません。
コメントを残す