火曜日・2月4日に、ASUS JAPANが新しいモバイルノートPC・Zenbook SORAを発表しました。CES 2025のときにお披露目されていた「14型で世界最軽量のCopilot+ PC」・Zenbook A14が、日本仕様のみに「空」をイメージした特別な名前を付けられてデビューします。
ASUSがこの商品の日本市場での販売に相当気合いを入れているのが伝わってくるわけですが、それもそのはず、商品自体が日本のユーザーを狙って綿密に市場調査を重ねて企画されたものなのだそうです。そもそも「Zenbook」だって日本の「禅」から取ったブランドネーム。台湾が本拠のASUSにとって、日本は身近な存在と感じてもらえているようで、嬉しいことです。
世界最軽量の称号は大人げない(笑)富士通に持って行かれてしまいましたが、それでも最軽量モデルで899 g、上位モデルでも980 gというのは、十分に「超軽量」と言えるでしょう。それでいてバッテリーでの動作時間も十分確保されているようですし、デザインもZenらしい薄くスッキリした感じで好印象です。
ただ、どうしても気になってしまうのが、搭載されているSoCがSnapdragon Xシリーズとなる、Arm版Windows搭載機であることです。Windows 11のCopilot機能を内蔵NPUでフル活用できる…という点では最先端なのですが、従来のアプリとの互換性という面では、まだ不安たっぷりです。
とはいえ、巷のメジャーなアプリたちは、かなりArm版ネイティブになりつつあります。また、x64アプリのエミュレーションで、ほとんどのアプリは動くようになっています。変わったところでは、音楽制作に使うDAWアプリのCubaseにも、既にWindows on Armネイティブのプレビュー版が出ています。
ただ、Windowsシステムの深いところやハードウェアに近いところで動くアプリについては、まだまだ互換性の問題があるようです。よく話題に上るもののひとつがプリンタードライバー。例えば我が家で使っているキヤノンのプリンターに関しては、キヤノン製のドライバーはインストールできず、Windows標準のドライバーでの対応になります。しかも「Windows標準ドライバーでは正常に印刷できない場合がある」という話も聞こえてきますし、実際のところ我が家では大丈夫なのか?という不安があります。
そして、それ以上に深刻なのがIME(Input Method Editor; 文字を入力するためのソフトウェア)の問題。もう20年もの間、自分で使うPCにはATOKをインストールして使っているのですが、ATOKもArm版のWindowsではウマく動作できていないものの代表的な一つです。
これについては、制限は結構明確にわかっていて、x86エミュレーションのアプリ上ならx86エミュレーションのATOKで入力できるけれど、Armネイティブのアプリ上では使えない…ということのようです。ただ、コレは非常に厄介で、例えばWindowsのファイルエクスプローラーやタスクバーもArmネイティブなわけですから、日常生活にはどうしても不自由が出てきます。
IMEについては、追加出費になるのはツラいし、標準のMS-IMEに慣れておいた方がよいのでは?と何度かチャレンジしたのですが、どうしても水が合わず、ATOKを使い続けています。おカネをもらう仕事の職場でも、個人用の端末にATOKがインストールされて提供されているので、ATOKだけで全て完結してしまう…というのは幸せなのか、不幸なのか。
あとはゲームの互換性も話題になることが多いのですが、私自身は現在はPCでゲームをすることはないので、あまり気にしていません。ただ、3次元CGをぐりぐり動かすようなアプリだと、ゲームと同様の制限が出てきそうな気がして、やっぱり不安要素ではあります。
SnapdragonがWindows機に載ると聞いたときには、今までのノートPCよりもずっと軽かったり、バッテリーがはるかに長持ちしたり、「通信つながりっぱなし」は当たり前になったり…という世界を期待していました。しかし、昨年の6月にCopilot+ PCの発表と共に登場した製品たちは、想像していたよりもずっと「普通」のノートPCで、正直ガッカリしました。
Zenbook SORAは、まずは軽さで突き抜けて、ようやくSnapdragonらしさの片鱗を見せてくれた製品だと感じています。ただ、ワイヤレスWANが内蔵されないのはやっぱり物足りないですね。そもそもSnapdragon Xは「通信できて当たり前」のスマホのチップセットから派生したものなのに、どうしてこうなっちゃったんだろうなぁ…。
まあ、それ以前にATOKの問題が片付いてくれないことには、Snapdragon搭載機は積極的には選びに行けません。Qualcomm社は「90%のユーザーが使うアプリはArmネイティブで動く」と言っているようですが、個人のニーズの中で不具合があればそこでアウトになってしまいます。アレさえ解決してくれれば、私の中でのハードルはずいぶん下がるのですが。
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