ワタシの新しいスマートフォン・Pixel 8は、USBケーブルを接続しての充電の他に、「ワイヤレス充電」にも対応しています。規格としては国際標準のQi(ちー)に対応し、最大12 Wでの充電が可能…ということになっています。ちなみに、Qiは中国語で「見えない力」を意味する「気」(気功術の「気」ですね)のことで、なかなか粋なネーミングだなぁ…と以前から思っています。
10年以上に妻が使っていたスマートフォンには、Qi対応のワイヤレス充電器が添付されていました。現在ワタシが持っているデバイスの中では、完全ワイヤレスイヤホンのWF-1000XM4がQi対応ですが、スマートフォンでは今回のPixel 8が初めてになります。なお、スマートウォッチのGalaxy Watch4も無接点方式の充電器を使いますが、残念ながらQiには対応していません。あとは妻が現在使っているiPhone 12 ProもQi対応ではありますが、iPhoneの世界には「MagSafe(まぐせーふ)」というさらに気の利いたワイヤレス充電の仕組みがあります。
Qiの動作原理は、充電器とスマートフォンにそれぞれコイルが内蔵されていて、充電器のコイル(給電側)に交流を流すと磁界の変動が発生し、これを受け取ったスマホのコイル(受電側)には電流が発生する…という「電磁誘導」です。直接電気をやりとりしているわけではなく安全性が高いと言えますが、2つのコイルの位置が正しく合っていないと、受電側のコイルに磁束が通らず、エネルギー損失(=発熱)が大きくなったり、そもそも充電できなかったりします。
そこで、磁石を使って給電側・受電側のコイルを強制的に位置合わせしてしまおう!というのがMagSafeの仕掛け。これにより、より高い電力が供給できるようになりましたし、磁石はカードケースやリングストラップなどのアクセサリーを着けるためのインターフェースともなっています。
MagSafeの成功を見て、その仕組みをQiに取り入れた「Qi2(ちー・つー)」が策定され、既に充電器やモバイルバッテリー等には対応製品が登場しています。しかし、残念なのはスマホではiPhone以外にはまだほとんどQi2対応製品が無いこと。有線のUSB PD充電と比べるとスピードが上げられないこともあってか、バッテリーの大容量化も進む中で、積極的に対応する動きになっていません。

とはいえ、せっかく出ている新規格なら、それに合わせた製品を買っておいた方が後々まで使えそうだなぁ…と思い、Qi2対応の充電器一式を購入することに。エレコムのQi2対応ワイヤレス充電器・W-MA04WFと20WのUSB PD充電器・EC-AC7320WFがAmazon.co.jpでセット販売されていたので、これを注文しました。
このワイヤレス充電器には、ブラックの他に「しろちゃん」と呼ばれるカラーが用意されています。ゆる~い顔が描かれたデザインで、エレコムのいろいろなサプライ商品に浸透しています。同等の商品が並んでいると、ついついこちらを選んじゃうんですよねぇ(・ω・)。


充電するときに接触させる面にはQi2のロゴと電力等の仕様の記載があります。そして、反対側の充電中に外側になる面にしろちゃんがいます。銀色だけど、しろちゃんなんですね(笑)。ちなみに黒い筐体の製品にいるのは「くろちゃん」らしいです。




ワイヤレス充電は、間にあまり分厚いものが挟まるとウマく動作しない可能性がありますが、ワタシが持っている2種類のケースはどちらも、装着したままで充電ができていました。Qiの規格としては4 cm離れていても充電できるようになっているらしいのですが、損失がかなり大きくなりそうです。
ワイヤレス充電器を近づけていて感じたのが、Qi2やMagSafeには対応していないはずのPixel 8でも、正しい装着位置である背面中央に吸い寄せられる感触があること。Qiの動作原理上、コイル周りに磁界が発生するはずなので、そのような動きになる可能性はありそうですが、この挙動を見ると、どうも位置合わせの永久磁石は入っていそうな気がします。ただし、ケースを装着すると吸着力はかなり弱くなり、あくまでも位置合わせのガイド程度の力しかありません。MagSafe周辺機器を固定するのはとてもムリです。


電圧・電流計を挟んで確認してみたところ、ケースの有無で電流値が明らかに変わります。ケース付きの方が消費電力が大きいのは、コイル同士がどうしても遠くなるので、同じ充電電力を得るためにはコイルにより多くの電力が必要になるからかも知れません。


それよりも気になるのが、最大15 Wの充電が可能なQi2ワイヤレス充電器に、20 Wの出力があるUSB PD充電器をつなぎ、最大12 WでQiの充電が可能なPixel 8を載せているのに、電力が5 Wそこそこしか出ていないこと。W-MA04WFには「Output: 5W/7.5W/15W」という表記があるので、それ以外のワット数には対応できず、「12W」が選べないせいで5 Wなのか?という仮説も立てたのですが、WF-1000XM4は約3 Wで充電されていますし…今のところ理由は不明です。
不良品の可能性も捨てきれないのですが、フルスピードの15Wで充電できることが確実なデバイスが手元になくて…いや、アレがあったな。また妻に借りてやってみましょう。


バッテリーシェアにも対応
Pixel 8は、自らがQi対応の他のデバイスを充電するための充電器にもなれる「バッテリーシェア」機能に対応しています。給電側にも受電側にもコイルが内蔵されているわけですから、原理的には機能を逆転させればこういう使い方ができるのはよくわかります。スマホ同士でも機能するはずではありますが、実用的には、WF-1000XM4を外出先で電源のないときでも充電できる…くらいしか使い道が無さそうです。
しかも、WF-1000XM4自体は、USB Type-Cで接続できるケーブルさえあれば多くのUSBデバイスから電気をもらえますから、わざわざこの方法で充電する必要もなかったりします。まあ、ホントにいざという時のために使えるオプションがあるよ、とは言えそうです。
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